ドル円週間見通し(8/18週):予想レンジ145.40~148.50、円高警戒
今週のドル円展望。7月の国内CPIとジャクソンホール会議でのパウエル米FRB議長の講演に注目。円高を警戒。注目のチャート水準についてIG証券のアナリストが分かりやすく解説。

要点
・8月に入り外為市場は再び米ドル安優勢の状況にある
・今週はジャクソンホール会議が開かれる、22日のパウエル講演に注目
・7月の国内CPIが予想を上回る場合は円高の要因に
・ドル円の週間予想レンジは145.40~148.50
米ドル安再び
7月に反発ムードが高まった米ドルだが、8月に入り再び米ドル安優勢の状況に転じている。米ドル相場のトレンドを示すドル指数(DXY)は先週15日時点で2.1%下落した。
米ドルの変動率:月初来

ブルームバーグのデータで作成 / 8月15日時点
3回利下げの思惑、ジャクソンホール会議、パウエル講演に注目
再び米ドル安へ転じている要因は、米連邦準備制度理事会(FRB)による年内3回利下げの可能性にあると筆者は考えている。
7月の雇用統計と同月ISMの雇用指数は労働市場の軟化を示唆した。先週のインフレ指標はまちまちの内容だったが、短期金融市場では80%台の確率で9月の利下げを織り込む状況にある(8月15日時点)。10月の利下げ確率は、「雇用統計」ショック時の70%台から50%台へ低下している。12月の利下げ確率は70%台で推移している。
現状、年内2回の利下げがベースシナリオである。しかし、今後の経済指標で米国の景気懸念が強まる場合、市場参加者は3回利下げの可能性を意識すると思われる。この思惑は米ドル安の要因となろう。今週21日に8月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値がある。市場予想を下回る内容となれば、米ドル安を想定したい。
米FOMC 利下げ確率の変動:6月以降

ブルームバーグのデータで作成 / OISに基づく予想確率 / 8月15日時点
※マイナス:利下げ
今週21~23日に米ワイオミング州で開催される経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開かれる。過去、この会議で米金融政策の方向性が示された経緯がある。現在は、その米金融政策が再び利下げ局面へ転じるかどうかの分岐点にある。ゆえに、市場参加者は22日23時(日本時間)に予定されているパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の経済見通しに関する講演に注目するだろう。市場参加者が利下げに前向きな講演内容と捉える場合は、米ドル安の進行を想定したい。
縮小傾向の日米利回り格差、円高警戒
今週は円高を警戒したい。15日に発表された4〜6月期の国内実質GDP速報値が予想を上回り、国内の10年債利回り(長期金利)が1.57%まで上昇する場面が見られた。利下げ期待で米金利の上昇が抑制されているため、日米の利回り格差は縮小の傾向にある。この動きは、ドル円(USD/JPY)の下押し要因である。
日米利回り格差の動向:今年4月以降

ブルームバーグのデータで作成
10月の金融政策決定会合で日銀が利上げに踏み切る可能性を伝える報道が見られる。ブルームバーグによれば、OISに基づく10月の利上げ確率は現時点で30%台後半にあり確実と言える状況にはない。しかし、今後の経済指標次第でこの確率が上昇する可能性がある。
目先の注目指標は、今週22日の7月全国消費者物価指数(CPI)である。ブルームバーグがまとめた市場予想では総合が前年同月比3.1%、コア指数は同3.0%といずれも前月の3.3%から低下が見込まれている。ゆえに警戒すべきは、予想外にインフレの粘着性が示される場合である。このケースでは、年内の利上げ観測の高まりによる円高を想定したい。前述したパウエルFRB議長の講演が米ドル安の要因となれば、ドル円(USD/JPY)の下落幅拡大を警戒したい。
国内 消費者物価指数の推移:過去1年間

ブルームバーグのデータで作成
ドル円の週間見通しとテクニカル分析
予想レンジの下限:145.40
日足のRSIは50を下回り、MACDはゼロラインを視野に低下基調にある。今週ドル円(USD/JPY)が下値をトライする局面では、以下にまとめたサポートラインの攻防を意識したい。
週間の予想レンジの下限は、4月22日の安値と8月1日の半値戻しに当たる145.40レベルを想定。すぐ下の145.36レベルに89日線が上昇している。重要サポートラインである146.00の下方ブレイクは、145.40をトライするサインと捉えたい。
ドル円が146.00を目指すサインとして2つの水準-146.75レベルと50日線の攻防に注目したい。前者は先週15日の下落を止めた水準である。後者の50日線は現在、146.48レベルで推移している。ドル円が50日線を下方ブレイクする場合は、146.00のトライを想定したい。
サポートライン
・146.75:サポートライン(45分足)
・146.48:50日線(日足)
・146.00:サポートライン(日足)
・145.40:週間予想レンジの下限、すぐ下に89日線(日足)
予想レンジの上限:148.50
筆者の円高懸念が杞憂に終わる場合、ドル円(USD/JPY)は今週も148円台へ上昇する展開を想定したい。しかし、米ドル安がドル円の重石となることが予想される。8月12日の高値水準(148.52レベル)にあたる148.50レベルを今週の予想レンジの上限と想定したい。
ドル円が148.50レベルをトライするサインとして、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。45分足チャートの147.50レベルはレジスタンスラインへ転換する可能性がある。15日の反発を止めたフィボナッチ・リトレースメント76.4%のトライは、148.00レベルの攻防となる。13日の反発を止めた148.20を突破する場合は、予想レンジの上限148.50レベルのトライを意識したい。
レジスタンスライン:45分足
・148.50:週間予想レンジの上限、8月12日の高値水準
・148.20:レジスタンスライン
・147.97:148円の攻防、76.4%戻し
・147.50:レジスタンスライン
ドル円のチャート:日足 昨年12月以降

出典:TradingView
ドル円のチャート:45分足 8月12日以降

出典:TradingView
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