ドル円予想 8/15:146円の底堅さ確認、今日は米国の期待インフレ率と小売売上に注目
インフレ指標に振り回される米ドル。今日は7月小売売上高と8月期待インフレ率で大きく動く展開が予想される。ドル円の予想レンジは146.45~149.00。注目のテクニカルラインについてIG証券のアナリストが簡単に解説。

要点
・今週のドル円は米インフレ指標に振り回されている
・今日も米経済指標が変動要因に、期待インフレ率と小売売上高に注目
・ドル円の予想レンジは146.45~149.00レベル
インフレ指標に振り回される米ドル
米労働省労働統計局(BLS)が14日に発表した7月生産者物価指数(PPI)は前月比0.9%上昇した。2022年6月以来、およそ3年ぶりの大幅な伸びとなった。前年同月比は3.3%上昇し、こちらも改定された前月の2.4%から大幅な伸びを示した。
予想を大きく上回った7月PPIを受け、この日の米債市場では金利が上昇。外為市場では米ドル買い優勢の展開となった。予想の範囲内におさまった7月消費者物価指数(CPI)は「米金利の低下→米ドル安」の要因となったが、7月PPIは真逆の要因となった。今週の米ドルは、インフレ指標に振り回されている。
ドル指数のチャート:5分足 12日以降

出典:TradingView
米国の8月期待インフレ率と7月小売売上に注目
今日は、8月のミシガン大学消費者信頼感指数と期待インフレ率の速報値が発表される。いずれも米消費者のマインドを考える上で重要な指標である。ブルームバーグがまとめた消費者信頼感指数の市場予想は62.0と、61.7から小幅な改善が見込まれている。先行景況感も前月の57.7から58.4へ改善する見込みである。
今週、米ドルのトレンドはインフレ指標に左右される状況にある。ゆえに、今日の期待インフレ率でも大きく動く可能性がある。ブルームバーグの最新予想では1年先のそれが4.4%と、前月の4.5%から低下する見込みにある。5~10年先の期待インフレ率は、前月と同じ3.4%で横ばいの予想にある。期待インフレ率が予想外に低下する場合は米ドル安、予想外に上昇する場合は米ドル買いの要因になり得る。
ミシガン大学期待インフレ率の動向:過去1年間

ブルームバーグのデータで作成 / 赤ドット:8月予想
米ドルの変動要因としてもう一つ注目したいのが、米個人消費の指標である7月小売売上高である。
ブルームバーグがまとめた市場予想は前月比0.6%増。予想外の強さを見せた6月と同じ水準になることが見込まれている。GDPの算出に使用されるコントロール・グループは0.4%増と前月の0.5%増から小幅に低下するものの、3ヶ月連続の増加が見込まれている。
米小売売上高の動向:過去1年間

6月の個人消費の強さは、今後予想される物価の上昇を見据えた消費者の動きとの指摘がある。だが、7月小売売上も個人消費の底堅さを示唆すれば景気懸念の後退要因になり得る。
7月PPIが予想外に上振れしたタイミングで、強い小売売上高と期待インフレ率の上昇が重なれば、米ドル買いの進行が予想される。この場合ドル円(USD/JPY)は、週間IG為替レポートで指摘した149円台を目指す可能性がある。
ドル円の見通しとテクニカル分析
予想レンジの上限:149.26レベル
ドル円(USD/JPY)のトレンドを日足チャートで確認すると、50日線がサポートラインとして意識され、14日も相場を下支えした。日足ローソク足には長い下ヒゲが現れ、146.00レベルでの底堅さを改めて示唆した。
今日の米経済指標が総じて利下げ期待を後退させる内容となれば、ドル円は以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。11日のIG週間為替レポートでは、今週の予想レンジ上限を149.40と想定した。この水準をトライする可能性は残るが、上昇の局面で148円台を維持できない状況と45分足のRSIとストキャスティクスが買われ過ぎの水準へ上昇した後低下トレンドにあることも考えるならば、予想レンジの上限を149.00レベルと想定したい。この水準は、7月中旬に何度かドル円の上昇を止めた経緯がある。ドル円が149円台へ上昇しても、149.20台まで低下している200日線で反落する展開を想定したい。
ドル円が149.00を目指すサインとして、45分足チャートの3つの水準、147.97レベル、148.20レベル、148.51レベルの攻防に注目したい。
レジスタンスライン
・149.26:200日線
・149.00:予想レンジの上限
・148.51:8月12日の高値水準
・148.20:レジスタンスライン
・147.97:76.4%戻し
予想レンジの下限:146.45レベル
上述の米経済指標が総じて市場予想を下回る場合は、米ドル安を想定したい。この場合のドル円(USD/JPY)は、以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。
予想レンジの下限は、昨日相場をサポートした50日線を想定。この移動平均線は現在、146.45レベルにある。ベッセント米財務長官は14日、前日にブルームバーグテレビで述べた自身の利下げ見通しの発言を軌道修正してきた。短期金融市場では12月の政策金利の予想水準が3.7%を割り込む場面が見られたが、現在は3.7%台へ再び上方修正される状況にある。強い7月PPIも重なり利下げ期待が後退している状況を考えるならば、ドル円が下値をトライしても146円台を維持すると予想する。
ドル円が50日線をトライするサインとして45分足チャートの2つの水準、147.50レベルと147.10レベルの攻防に注目したい。いずれもサポートラインへ転換する可能性がある。
サポートライン
・147.50:サポート転換の可能性あり
・147.10:サポート転換の可能性あり
・146.45:50日線、予想レンジの下限
ドル円のチャート:日足 昨年12月以降

出典:TradingView
ドル円のチャート:45分足 8月12日以降

出典:TradingView
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