ドル円 週間見通し(9/15週):予想レンジ146~149円、円安上振れ警戒
今週(9/15~19日)のドル円は146~149円レンジを予想。米FOMCの利下げは織り込み済み。米ドルの短期買い戻しを想定。日銀は政局不安で慎重姿勢維持を予想。ドル円は上振れ警戒。重要チャート水準をIG証券アナリストが詳細解説。

要点
今週のドル円は146~149円レンジを予想。9月米FOMCでの利下げは織り込み済み。思惑先行で米ドル安が進行。今週は米ドルの買い戻しを想定。日銀は新たな不確実性の要因として浮上している政局不安で慎重姿勢を維持か。米ドル買いと円安が重なればドル円の上振れを警戒。
ドル円の週間見通しと予想レンジ
今週のドル円(USD/JPY)は146.00~149.00円レンジを想定。現在の外為市場では米ドル安と円安が交錯している。ゆえにドル円もレンジ相場にある。しかし、今週の金融政策決定会合で日銀の植田和男総裁が利上げに対して慎重姿勢を維持すれば、円安の要因になり得る。9月FOMCでは利下げが確実視されている。思惑先行で米ドル安が進行してきた。今週は米ドルが買い戻される可能性がある。ドル円は上振れを警戒したい。
ドル円の日足チャート:2025年3月以降

出典:TradingView
米FOMC、利下げ織り込み済み、米ドル買い戻しも
今週最初の注目イベントは、16~17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)となろう。雇用関連の経済指標で労働市場の軟化を示唆する内容が相次いだことで、0.25%の利下げは完全に織り込み済み。市場参加者は、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見で、“連続”利下げの可能性を探ろうとするだろう。
しかし、市場ではこの点についての織り込みも進んでいる。OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場では10月の利下げ確率が80%台、12月の利下げ確率が90%台にある。CMEのFedWatchツールでも10月と12月の利下げを織り込む動きが見られる。
米FOMC 利下げ確率の推移:2025年6月以降

ブルームバーグのデータで作成 / OIS市場の予想確率(9月12日時点)
先週11日の米債市場では、10年債利回りが一時4.0%を割り込む局面が見られた。一方、外為市場では米ドル安優勢が続いている。米ドルのトレンドを示すドル指数(DXY)は、日足の一目基準線と89日線がレジスタンスラインとして意識されているMACDはゼロラインを下回る状況にある。
これら市場の動きは、米FRBの利下げを先取りした期待先行の動きと捉えることができる。ゆえに今週はその反動による米金利の反発と米ドルの買い戻しに備えたい。
ドル指数の日足チャート:2025年5月以降

出典:TradingView
日銀会合、焦点は植田総裁の利上げ姿勢、ドル円上振れも
今週18日~19日に日銀が金融政策決定会合を開く。現行の金融政策の維持が予想される。よって市場参加者は、植田和男総裁の定例会見で今後の政策方針を見極めようとするだろう。植田総裁は利上げ姿勢を維持しつつも、その判断については慎重な姿勢を示すと筆者は予想している。国内の政局不安が、新たな不確実性の要因に浮上しているからだ。
石破茂首相の退陣表明により、10月4日の自民党総裁選への関心が急速に高まっている。茂木敏充前幹事長と小林鷹之元経済安保相が出馬を表明。小泉進次郎農相、林芳正官房長官そして高市早苗前経済安保相も出馬の意向を固め今週会見を開くとの報道がある
共同通信の世論調査によれば、小泉氏と高市氏がリードしている。次の選挙で「勝てる顔」を選ぶ必要があることも考えるならば、知名度の高い小泉氏と高市氏が競り合う展開が予想される。しかし、誰が新たな自民党総裁になるにせよ、少数与党という状況下では野党との連携が欠かせない。自民党がどの野党と連携するかで財政・経済政策の方向性が大きく左右されるだろう。自民党総裁選の影響で秋の臨時国会の召集時期が早くても10月中旬以降に後ずれすること、そして関税問題が米国経済に与える影響について引き続き注視する必要があることも考えるならば、植田和男総裁は年内の利上げについて慎重姿勢を示す可能性が高い。
OIS市場では一時、10月会合での利上げを意識する動きが見られた。しかし現在では、50%近くまで上昇したその確率が30%台へ低下している。市場も日銀が慎重姿勢を取らざるを得ないと考え始めている。前述した米ドルの買い戻しと日銀のハト派姿勢が重なる場合、今週後半のドル円(USD/JPY)は上振れを警戒したい。
10月日銀会合 利上げ確率の推移:2025年6月以降

ブルームバーグのデータで作成 / OIS市場の予想確率(9月12日時点)
ドル円 注目のチャート水準
予想レンジの上限:149.00
今週のドル円(USD/JPY)が上値をトライする局面では、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。
週間の予想レンジの上限は149.00を想定。このラインをトライするサインとして、1時間足チャートのフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準148.05レベルと76.4%の水準148.47レベルの攻防に注目したい。週半ばに一目雲の上限が148.50台で推移する。ドル円が148円ミドルを完全に突破する場合は、9月第1週の上昇を止めた148.90レベルを視野に上昇幅の拡大を予想する。このラインの突破は、149.00をトライするサインとなろう。
レジスタンスライン
・149.00:週間予想レンジの上限(日足)
・148.90:レジスタンスライン(1時間足)
・148.47:76.4%戻し(1時間足)、一目雲の上限(週半ばに148.50レベル、日足)
・148.05:61.8%戻し(1時間足)
予想レンジの下限:146.00
筆者の予想とは逆に、植田総裁が利上げに前向きな姿勢を示す場合、ドル円(USD/JPY)は以下にまとめたサポートラインを視野に下落する展開を想定したい。
週間の予想レンジの下限は、8月以降サポートラインとして意識されている146.00を想定。このラインをトライするサインとして、1時間足チャートのフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準147.47レベルと61.8%の水準147.02レベルの攻防に注目したい。いずれもサポートラインに転換する可能性がある水準である。後者のテクニカルラインは147円の維持を見極めるラインである。
ドル円が147円を下方ブレイクする場合は、日足チャートの半値戻し148.80レベルの攻防に注目したい。このラインは8月以降、強固なサポートラインとして機能している。すぐ下の146.74レベルはフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準にあたる。ドル円が146.80レベルを完全に下方ブレイクする場合は、146.20台で推移している89日線のトライを予想する。この移動平均線のブレイクは、146.00を目指すサインとなろう。
サポートライン
・147.47:38.2%戻し(1時間足)
・147.02:61.8%戻し(1時間足)
・146.80:半値戻し(日足)
・146.74:76.4%戻し(1時間足)
・146.23:89日線(日足)
・146.00:週間の予想レンジ下限(日足)
ドル円の日足チャート:2025年4月以降

出典:TradingView
ドル円の1時間足チャート:9月以降

出典:TradingView
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