ドル円 週間見通し(2/23週):156円突破か153円台へ反落か、トランプ新関税警戒
IG証券のアナリストによるドル円の週間見通し。円安・米ドル高継続なら156円の突破が焦点に。トランプ新関税による米ドル安の再燃を警戒。下値の焦点は153円台の維持。
要点
- 先週の円相場は前週の円高から一転、円安優勢の展開となった。GDPの下振れに加え、日米金融政策に対する市場の思惑が円安の一因となったと考えられる
- 今週も円安・米ドル高が継続する場合、ドル円の焦点は156円の突破となろう。焦点は月末のドル買いと27日発表の1月米PPI。156円台で底固めとなれば、157円を視野に上昇拡大も
- ドル円は152円から155円台へ急反発。円安再燃でさらに上昇すれば、政府・日銀による為替介入の警戒感を高めよう。「トランプ新関税」による米ドルの急反落にも注意が必要だ。下値の焦点は153円台の維持
円高から一転、先週は円安再燃
先々週(9~13日の週)の外為市場では円高が進行した。しかし、先週(16~20日の週)の円相場は、一転して円安に振れた。注目すべきは対米ドルの動向だ。先々週は3%高、先週は1.5%安と上下に大きく振れる展開となった。
円相場の変動率
ブルームバーグの為替データで作成
2025年10-12月期の実質GDP成長率(1次速報)は前期比年率+0.2%(前期比+0.1%)となった。2四半期ぶりのプラス成長ながらも、ブルームバーグがまとめた市場予想(前期比年率+1.6%、前期比+0.4%)を大きく下回った。外為市場は円安で反応した。
高市早苗首相と日本銀行の植田和男総裁が2月16日に会談した。高市首相は18日の記者会見でこの会談について「経済・金融情勢に関する定期的な意見交換の一環として行った」と述べた。金融政策については「コストプッシュではなくて、賃金上昇を伴った2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向け、適切な金融政策を行うことを期待する」とも語った。
高市首相は現在のインフレをコストプッシュ型と考えている。「賃金上昇を伴った2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現」への言及も踏まえれば、「適切な金融政策」の言及は、利上げ判断で日銀に慎重さを求めたと解釈できる。
次の利上げ時期について翌日物金利スワップ(OIS)市場では、早くて4月と見込む。ただし4月に限れば、その確率は60%以下だ。予想される今年12月のターミナルレートも1.25%で大きな変化は見られない。日銀の緩慢な利上げ見通しと米利下げの不透明感が重なり、日米の金利差があらためて意識されたことも、円安圧力を強めた要因と考えられる。
日銀 利上げ確率の推移
ブルームバーグ、OIS市場のデータを基に作成 / 2月20日時点
強まる米利下げの不透明感、1月PPIに注目
今週の外為市場は、企業の決済需要や機関投資家のポートフォリオ調整による実需・リバランス要因での米ドル買いが入るか注目したい。円安が再燃する状況下で月末アノマリーの米ドル買いが重なる場合、ドル円(USD/JPY)は反発相場を維持しよう。
米ドルの支援要因として、米利下げの不透明感が強まっていることにも注目したい。この点の詳細については、20日のIG為替レポートで述べた。
関連レポート
・【為替】ドル円見通し(2/20):円安再燃・米ドル高で156円視野、急反落には要警戒
今週27日に1月の米生産者物価指数(PPI)が発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想では、前月比と前年同月比でいずれもインフレ鈍化の見通しにある。
米生産者物価指数(PPI)の動向:過去1年間
ブルームバーグのデータを基に作成 / 赤の棒グラフとドット:1月の市場予想
20日発表のPCE価格指数(昨年12月)は前月比+0.4%(コア+0.4%)と、前回11月(いずれも+0.2%)から上昇した。前年同月比も+2.9%(コア+3.0%)と11月の水準(いずれも+2.8%)を上回り、インフレの粘着性が示された。20日の外為市場では米最高裁によるトランプ関税の無効判断が材料視され、PCE価格指数の結果に対する米ドル買いは限定的だった。しかし、FOMC参加者のインフレ再燃に対する根強い警戒感が確認された状況で、今週のPPIも予想外に上振れる場合は、利下げ期待がさらに後退しよう。
現状、翌日物金利スワップ(OIS)市場では6月の利下げを織り込む状況にある。だがその確率はじりじりと低下している。6月に限れば50%を割り込む状況だ。利下げ期待のさらなる後退は、米ドル買いを促す要因になり得る。
米FOMC 利下げ確率の推移:3月・4月・6月
ブルームバーグ、OIS市場のデータを基に作成 / 2月20日時点
トランプ新関税15%、米ドル安再燃を警戒
米ドルは現在、買い戻し局面にある。だが今週、その流れを一変させかねないリスクがある。「トランプ新関税15%」だ。
トランプ米大統領は20日、米連邦最高裁がIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく相互関税・フェンタニル関税を違憲と判断し無効にしたことを受け、通商法第122条に基づく世界一律10%の新関税を賦課する大統領令に署名した。同関税の適用期間は最長150日で米東部時間24日午前0時1分(日本時間同日午後2時1分)に発効する。しかし、それを待たずにトランプ氏は翌21日、自身のSNS(Truth Social)で10%関税を15%に引き上げると表明した。
昨年から続く「米ドル不信」の背景にあるのはトランプ関税だ。関税率15%への引き上げ表明は、米ドル買いの勢いを削ぐ要因になりかねない。仮に米PPIでインフレの粘着性が確認されてもドル売りが進行すれば、「米ドル不信」が再燃しているサインと言える。
ドル円のテクニカル分析、156円突破か?153円台へ反落か?
156円の突破なるか
今週もドル円(USD/JPY)が強気地合いを維持する場合、最大の焦点は156.00の突破だ。テクニカル面では50日線の攻防が焦点となろう。
ドル円が156.00をトライするサインとして注目したいのが、155円ミドルの攻防だ。このレベルを挟んで下に89日線(155.43)、上にフィボナッチ・リトレースメント61.8%水準155.60(4時間足チャート参照)が展開している。特に後者のテクニカルラインは、先週の上昇を止めた経緯がある。155.60レベルのブレイクアウトは、156.00をトライするサインと考えたい。
ドル円が156円台の攻防となる場合は、156.50レベルのトライが視野に入ろう。この水準は、レジスタンスラインに転換する可能性がある。156.50を今週の上限と予想する。
想定を超える上昇でドル円が156.50をも突破すれば、157.00が視野に入る。だが、短期間での上昇拡大は介入警戒感を高めるだろう。米ドル安が再燃する可能性もある。上昇拡大の局面では急反落を警戒したい。
注目のチャート水準
・157.00:レジスタンスライン(4時間足チャート)
・156.50:上限予想(4時間足チャート)
・156.00:50日線(日足チャート)
・155.60:61.8%戻し(4時間足チャート)
・155.43:89日線(日足チャート)
※移動平均線の水準:2月20日時点
米ドル安再燃なら急反落を警戒
ドル円(USD/JPY)は152円から155円へ急反発している。円安再燃でさらに上昇が拡大すれば、政府・日銀による為替介入への警戒感が再び高まるだろう。トランプ新関税を受けた米ドル安の再燃にも注意が必要だ。
今週、ドル円が下値をトライする局面では154円の維持が最初の焦点となろう。154.50はサポートラインに転換する可能性がある。154.50の下方ブレイクは、「高市トレード」の半値戻し154.25をトライするサインとなろう(日足チャート参照)。154.25も下方ブレイクすれば、154.00の攻防を意識したい。テクニカル面で154.00は、直近高安の半値戻しにあたる(4時間足チャート参照)。
米ドル安が再燃する場合は、153円台への反落を警戒したい。このケースでは153.50の維持が焦点となろう。この水準はサポートラインに転換する可能性がある。テクニカル面ではフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。153.50を今週の下限と予想する。
このレポートでは4時間足を採用したが、時間足のRSIとストキャスティクスで相場の過熱感を確認しながら、今回取り上げたチャート水準をトライする局面で買われ過ぎ・売られ過ぎのサインが点灯する場合は、反落・反発を想定したい。
注目のチャート水準
・154.50:サポート転換の可能性あり(4時間足チャート)
・154.25:半値戻し(日足チャート)
・154.00:サポートライン、半値戻し(4時間足チャート)
・153.50:下限予想、61.8%戻し(4時間足チャート)
ドル円の日足チャート:昨年10月以降
TradingView提供のチャート
ドル円の4時間足チャート:1月下旬以降
TradingView提供のチャート
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