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ドル円見通し(4/30):米利下げに不透明感、円安進行 24年高値161.95視野も

止まらない円安。強まる米利下げの不透明感。短期の米ドル高再燃なら、ドル円は2024年高値161.95レベルが視野に。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

要点

  • 日銀が利上げ姿勢を維持しても円高の反応は限定的。ドル円(USD/JPY)は、29日の市場で節目の160円を突破。3月下旬に相場の上昇を止めた160.50レベル手前まで上昇する場面が見られた。
  • FOMCで利下げ見通しの不透明感が強まった。短期の米ドル高再燃を警戒したい。欧州中央銀行(ECB)と英中銀(BOE)の6月利上げも意識され、日銀のタカ派姿勢は海外中銀の利上げ観測に埋没する構図にある。円安と介入リスクのバロメーターとなるクロス円の動向を注視したい
  • ドル円が161.00(161円)へしっかりと上昇すれば、2024年高値の161.95レベルのトライが視野に入る。ただし、円安主導の上昇は政府・日銀による為替介入のリスクを高める。「不意打ちの円高」には要警戒。反落局面では21日線、50日線、158.50レベルの攻防に注目したい


日銀 利上げ姿勢維持も円安止まらず

日銀は28日の金融政策決定会合で、大方の予想通り政策金利である無担保コールレート翌日物の誘導目標を0.75%に据え置いた。

ただし、4月の経済・物価情勢の展望(展望レポート)は"タカ派"寄りだった。2026年度の生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)見通しは1月時点の+1.9%から+2.8%へ大幅に上方修正した。2027年度の見通しも+2.0%から+2.3%に引き上げた。また、2028年度の見通しは+2.0%とした。

展望レポート コアCPIの見通し

展望レポート コアCPIの見通し 出所:日銀「経済・物価情勢の展望(2026年4月)」

3会合連続で利上げ見送りとなったが、9名中3名(中川順子・高田創・田村直樹の各審議委員)が利上げを提案し反対を表明。植田総裁が就任して以降で反対は最多となった。日銀内部でインフレと円安進行に対する警戒感がにじみ出た格好だ。

植田和男総裁は会見で、ホルムズ海峡の封鎖が継続しても利上げの可能性に言及し、中東情勢を利上げ見送りの口実とはしない姿勢を示した。一方で、経済・物価見通しの確度はかなり低下したとの認識も示し、今後の情勢の見極めにはデータと時間が必要との慎重姿勢ものぞかせた。タカ派的コミットメントと慎重姿勢を織り交ぜた今回の会見内容から、政策判断の柔軟性を確保したいという植田総裁の意図が垣間見えた。

総じて"タカ派"寄りに映った今回の日銀イベントだったが、円高の反応は限定的だった。ドル円は一時159円を割り込んだものの滞空時間は短く、すぐに米ドル高・円安基調へ反転。29日の外為市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)前に節目の160.00(160円)を突破すると、3月下旬に相場の上昇を止めた160.50レベルを視野に上昇が拡大した。以下で詳述する通り、主要なクロス円でも円安が進行している。

ドル円15分足チャート:4月27日~29日

ドル円15分足チャート:4月27日~29日 TradingView提供のチャート

「円安・介入バロメーター」のクロスを注視

円安進行の警戒サインはすでに点灯している。4月以降、外為市場では「有事のドル買い」が失速し、米ドル安のトレンドにある。しかし、日本円はその米ドルに対して円安優勢の状況に陥っている(赤ライン)。

注目はクロス円だ。対主要通貨(G10通貨)のパフォーマンスを確認すると、クロス円で円安が進行していることが分かる。ドル円(USD/JPY)の上昇だけを見ていては米ドル高と円安、どちらが主導しているのかが分からない。しかし、クロス円の動きを追うことで、現状のドル円を支えているのが円安であることが分かる。クロス円は「円安バロメーター」としての役割を果たす。

ドル円が160円を突破した後もクロス円の上昇が続く場合は、政府・日銀による為替介入の可能性が高まろう。ゆえに、クロス円は「介入リスクのバロメーター」としても注視する必要があろう。

日本円の動向 対G10通貨:4月1日~29日

日本円の動向 対G10通貨:4月1日~29日 ブルームバーグの為替データで作成

日銀の利上げ姿勢、海外中銀の利上げ観測に埋没

米連邦準備理事会(FRB)は29日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、大方の予想通り政策金利を据え置いた。

声明では、中東地域の動向が経済見通しの高い不確実性の一因になっていると指摘。ミランFRB理事は利下げを主張し反対票を投じた。また、3名の参加者(クリーブランド連銀ハマック総裁、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁、ダラス連銀ローガン総裁)は、今回の声明に緩和バイアスを示唆する文言を盛り込むことに反対した。OIS市場では今年12月のFFレート(上限)の予想水準が3.6%台へ上昇し、年内利下げの不透明感が強まっている。利下げ観測の後退は、短期的な米ドルの買い戻し要因として警戒したい。なお、パウエルFRB議長は5月15日に議長としての任期を終えた後も、理事としてFRBに残ると語った。

今日は欧州中央銀行(ECB)理事会とイングランド銀行(英中銀、BOE)の金融政策委員会(MPC)が重なる。OIS市場では現在、日銀が6月会合で利上げに踏み切る可能性が織り込まれているが、ECBとBOEも同じく6月の利上げ観測が浮上している。

今年12月の各政策金利の予想水準を確認すると、日銀は1.17%前後と最大2回利上げの可能性が後退している。対してECBは2.77%前後、BOEは4.52%前後と、いずれも最大で3回の利上げが視野に入る。

5月5日に会合を控えるオーストラリア準備銀行(RBA)も注目される。レポート掲載時点で5月の利上げ確率は70%台で推移し、3会合連続の利上げが視野に入る。

これら海外中銀の政策見通しを踏まえるならば、元々利上げで大きく出遅れている日銀がタカ派姿勢を維持しても、それが円高要因になりにくい構図が外為市場で形成されている。上記のパフォーマンスチャートは、この点を如実に示している。

日銀と海外主要中銀 政策金利の見通し

日銀と海外主要中銀 政策金利の見通し ブルームバーグのデータで作成 / 30日 午前7時時点

ドル円のチャート分析、24年高値161.95が視野に

ドル円(USD/JPY)は29日、節目の水準160.00(160円)を完全に上方ブレイクし、3月下旬の高値水準160.48レベルまで上昇した。160.50レベルを目先のレジスタンスラインと想定する場合、この水準のブレイクアウトは、次の節目水準161.00(161円)をトライするサインとなろう。日足MACDのトレンドと、RSIが「買われ過ぎ」の水準に到達していない状況を踏まえれば、今日以降は、161円台の攻防を意識したい。

前述の通り、現在の外為市場では短期の米ドル高再燃と円安進行を警戒する局面にある。161円台へ上昇する場合は、2024年の最高値161.95レベルが視野に入ろう。しかし、円安主導の上昇となれば、政府・日銀による為替介入の警戒感を高める。実際の為替介入の可能性も考えるならば、上昇局面では「不意打ちの円高」を警戒したい。
注目のチャート水準:レジスタンス
・161.95:2024年の最高値
・161.00:次の節目水準
・160.50:レジスタンスライン

ドル円の反落局面では、160円の維持が最初の焦点となろう。159円台へ反落する場合は、今月22日以降相場をサポートしている21日線の攻防に注目したい。この移動平均線を維持すれば、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。

現在のドル円は、介入絡みの突発的な円高を警戒する局面にある。しかし、実際の為替介入以外での円高ならば、日足ローソク足の実体ベースで相場をサポートしている158.50レベルでは反発する展開を予想する。このラインの上には現在、50日線が上昇している。
注目のチャート水準:サポート
・160.00:節目の水準
・159.31:21日線
・158.57:50日線
・158.50:サポートライン


ドル円 日足チャート:2026年1月以降

ドル円 日足チャート:2026年1月以降 TradingView提供のチャート

ドル円 週足チャート:2023年9月以降

ドル円 週足チャート:2023年9月以降 TradingView提供のチャート

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