ドル円見通し:ドル高加速で1年11ヶ月ぶり161円台、162円台視野も突然の円急伸を警戒
外為市場で米ドル高が進行。ドル円は1年11ヶ月ぶりに161円台へ上昇した。焦点は米利上げへシフト。突発的な円高を警戒しつつ、重要水準161.95円そして162円台が射程に入る。目先の見通しについてIG証券のアナリストが詳細に解説。
要点
- 米国とイランが戦闘終結の覚書に署名。中東の緊張緩和で原油安が進む一方、外為市場では米ドル高が加速している。この逆行は、市場の焦点が中東情勢からFRBの利上げへシフトしていることを示唆している
- 年内、それも早期の利上げ観測が強まり、米2年債利回りは2025年2月以来となる4.2%台へ上昇する場面が見られた。OIS市場では、早ければ9月の利上げの可能性を織り込みつつある
- FRBの利上げ観測を受け、米ドルのトレンド転換ムードが強まっている。今年後半は米ドル高が外為市場の一大テーマとなろう。ドル円(USD/JPY)は2024年高値161.95円が射程に入る。突破すれば162円台の攻防へシフトしよう。一方で、突然の円高には引き続き警戒したい
強まる米ドルのトレンド転換ムード
外為市場で米ドルのトレンド転換ムードが強まっている。2025年はトランプ関税ショックで米ドル安が進行した。しかし、今年2月28日に米国とイスラエルがイラン攻撃に踏み切って以降、その流れは止まり、米ドル高の圧力がじわじわと高まっていた。
そこに重なったのが、米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。ウォーシュ新体制の下で開かれた初会合は“タカ派”と受け止められ、金融政策の方向性を反映する米2年債利回りは一時4.2%台と、2025年2月以来の水準へ上昇した。
米2年国債利回り 15分足チャート:FOMC以降の動向
TradingView提供のチャート
一方、翌日物金利スワップ(OIS)市場では、早ければ9月のFOMCで米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切る可能性を織り込む動きが見られる。
米政策金利の見通し
ブルームバーグのデータで作成 / 19日午前10時時点
中東懸念後退でも米ドル高、テーマは「有事のドル買い」から米利上げへ
米国のトランプ大統領とイランのマスード・ペゼシュキアン大統領は米東部時間17日、軍事行動の即時かつ恒久的な終結を宣言する覚書にそれぞれ署名し、即時に発効した。
原油先物価格には下落圧力が強まり、NY原油先物価格は18日の取引で一時73.58ドルと、3月上旬以来の安値を付けた。北海ブレント原油先物価格も80ドルを割り込む状況にある。
原油先物価格 4時間足チャート:今年5月以降
TradingView提供のチャート
注目すべきは、中東懸念が後退する中で米ドル高が進行している状況だ。本来であれば、現在の中東情勢は米ドル安の要因だ。しかし、実際には米ドル高が加速する今の状況は、外為市場の焦点が中東情勢から米金融政策へ移っていることを示唆している。強まる利上げ観測は米ドルのトレンドを一変させつつあり、今年後半は米ドル高が外為市場の一大テーマとなろう。
米ドルの動向:2026年3月以降、6月18日まで
ブルームバーグの為替データで作成
ドル円のチャート分析、焦点は161.95円突破、円急伸を警戒
18日のニューヨーク外国為替市場でドル円(USD/JPY)は、一時161.80円台へ上昇する場面が見られた。日足RSIは買われ過ぎの目安である70付近にある。一気に161.80円レベルまで急騰した状況も踏まえれば、目先は調整の米ドル売り・円の買い戻しを警戒したい。
特に注視すべきが投機筋の動向だ。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、円ショート(売り)ポジションが26万枚を超え、売り越しは14万枚超にある。次の重要ラインとなる161.95円は2024年7月の高値水準であり、当時、政府・日銀は為替介入で円安阻止の姿勢を打ち出した。米ドル高の影響でユーロドル(EUR/USD)などドルストレートに下落の圧力が高まり、クロス円での円安が抑制されている。しかし、対米ドルでの円安進行を警戒した為替介入の思惑は強まりやすい状況にある。
目先は、実際の為替介入の有無にかかわらず、これを材料とした調整の円買い戻しを警戒したい。本日は米市場が祝日(ジューンティーンス)で市場参加者が少なくなるが、ロンドン時間を含め、突発的な円高には身構えておきたい。この警戒姿勢は来週以降も変わらない。
非商業部門 円のポジション動向
CFTC、ブルームバーグのデータで作成 / 6月9日時点
調整の反落局面では、4時間足チャートにまとめたフィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。
まず焦点となるのは160.00円の維持だ。160.00円には現在、21日線が上昇している。一方、市場の介入警戒から円高が進む場合は、159円台の維持が鍵を握る。サポート転換が意識された159.50円レベルを下方ブレイクすれば、159.00円のトライを想定したい。テクニカル面では50日線の攻防が分かれ目となろう。政府・日銀が為替介入に踏み切る場合は、4〜5円規模の円高(ドル円の急落)を警戒したい。
注目水準:サポート
・160.93円:38.2%戻し
・160.66円:半値戻し
・160.39円:61.8%戻し
・160.00円:心理的節目、21日線
・159.50円:サポート転換水準
・159.00円:節目水準、50日線(159.07円)
一方、為替介入への警戒を内包しつつ米ドル高に支えられ、ドル円(USD/JPY)の上値トライが続く場合は、2024年7月高値161.95円のトライとブレイクアウトが焦点となろう。昨日の高値水準161.81円の突破は、161.95円をトライするサインと捉えたい。
ドル円が161.95円を突破すれば、162.00円台への攻防シフトを想定したい。このケースでは、フィボナッチ・エクスパンション161.8%水準である162.51円レベルの攻防に注目したい。このテクニカルラインを突破すれば、次の節目水準163.00円が視野に入る。
注目水準:レジスタンス
・163.00円:節目水準
・162.51円:フィボナッチ・エクスパンション161.8%
・162.00円:節目水準
・161.95円:2024年7月高値
・161.81円:昨日の高値水準
ドル円 日足チャート:今年4月以降
TradingView提供のチャート
ドル円 4時間足チャート:5月下旬以降
TradingView提供のチャート
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