米国株見通し:S&P500 調整警戒も業績見通しが下支え、5月CPIと7300維持が焦点に
S&P500は短期の調整売りを意識する局面に。明日の5月CPIでインフレリスクが高まれば7300ブレイクを警戒したい。しかし、堅調な業績見通しが下支え要因に。株価指数CFD「米国500」の短期展望と注目のチャート水準について。
要点
- S&P500は反発も調整ムードにある。目先の下値焦点は7300レベルの維持となろう
- 米株安の要因としてインフレリスクも警戒したい。明日の5月CPIがインフレ懸念を強める内容となれば、S&P500は7200までの調整加速を想定したい
- 株価指数CFD「米国500」も7300の攻防を注視。上値の焦点は7480直下にある25日線の上方ブレイクとなろう
S&P500短期の調整相場を警戒、7300ブレイクなら下落拡大も
8日の米株式市場でダウ平均が続落したものの、S&P500は反発した。しかし日足ローソク足を見ると2営業日連続の陰線で終え、右肩上がりのトレンドチャネルを下方ブレイク。8日の反発を25日線が止め、レジスタンスラインに転換する兆しが見える。MACDはデッドクロスに転じ調整ムードが強まっている。
今日以降も調整相場が続く場合、下値の焦点は7300の維持となろう。2つのフィボナッチ・リトレースメント(23.6%・38.2%)が展開しているこの水準はサポートラインとして意識されやすい。
S&P500が7300を維持する場合は、今回の調整相場が短期で終息するサインの一つとなろう。逆に下方ブレイクする場合は、7200レベルへの下落を想定したい。直下の7180レベルは半値戻しにあたり、現在は50日線も上昇している。7200レベルもテクニカル面でサポートラインとして意識されやすい状況にある。
S&P500日足チャート:3月以降
TradingView提供のチャート
明日の5月米CPI警戒、調整売り加速も
米株高の調整要因として、今週はインフレリスクも警戒したい。5日の5月雇用統計が労働市場の底堅さを示したことで、翌日物金利スワップ(OIS)市場では年内の米利上げが強く意識され始めている。明日発表の5月米消費者物価指数(CPI)は、ブルームバーグがまとめた市場予想で前年同月比+4.2%と4月の+3.8%から加速し、3年ぶりに4%台へ乗せる見込みだ。コア指数も+2.8%から+2.9%に小幅ながらも加速が見込まれている。
労働市場の底堅さに加えてインフレ加速が確認されれば、年内利上げ観測が一段と強まり、米債市場では長期金利への上昇圧力がさらに強まるだろう。これら市場の動きが、4月以降の米株高を冷ます調整の引き金となる可能性がある。
米消費者物価指数(CPI)の動向:過去1年間
ブルームバーグのデータで作成 / 赤棒グラフ・ドット:5月予想
主要企業の業績見通しは堅調、調整相場は短期終息も
AI・半導体相場の調整売りとインフレリスクが重なれば、S&P500は冒頭で述べた7300の下方ブレイクと7200レベル(半値戻し、50日線)までの下落はありうる。しかし、現在の時点では調整相場がリスク回避相場へ発展する可能性は低く、4月以降の株高を程よく冷ます健全な調整にとどまる公算が大きいと筆者は考えている。
その理由の一つが業績見通しの強さにある。ファクトセットによれば第2四半期(Q2)のEPS成長率は前年比+21.7%と、2四半期連続で20%超を見込む。ポジティブ・ガイダンスを示した企業は61社と5年平均の44社を上回る。原油高の逆風も大半の企業が吸収すると見込まれ、業績相場の地力の強さが続くことが予想される。
先週のAI・半導体株売りの一因となったのがブロードコム(AVGO)1社の決算だった点にも注目したい。エヌビディア(NVDA)は2026年5〜7月期の売上高見通しをレンジ中央値で910億ドル(±2.0%)とし、ブルームバーグがまとめた市場予想(873.6億ドル)を上回った。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の2026年1~3月期決算では、データセンター部門の売上高が前年同期比+57.2%の57億7500万ドルだった。ブルームバーグのコンセンサスによれば、4~6月期は前年同期比+101.60%の65億3200万ドルが見込まれている。半導体セクター全体で業績見通しの不透明感が強まっているわけではなく、ブロードコム1社の「高すぎた期待の調整」を引き金とした現在の調整相場は短期で終息する可能性がある。
一方で、短期的な割高感は否めない。ブルームバーグのデータによればS&P500の予想PER(12か月先)は20.5倍と5年平均の19.96倍をわずかではあるが上回る。
S&P500 予想PERの動向:過去5年間
ブルームバーグのデータで作成 / 予想PER:12か月先
3月末を基準日とし、5月末までにS&P500は+16%の大幅高を演じた。RSIは8日時点で73、50日線との乖離率は7%台と、2025年4月以降の株高局面で高水準にある。
結論として、ファンダメンタルズ(企業業績の見通し)はS&P500の強気シナリオを支える要因となろう。しかし、目先は上値追いに慎重さが必要な局面と言える。
S&P500 日足チャート:2025年3月以降
ブルームバーグのデータで作成
米国500のテクニカル分析、下値7300、上値25日線が焦点に
今日以降も調整売りが続く場合、S&P500の株価指数CFD「米国500」も、まずは7300の維持が最初の下値焦点となろう。7310〜7330ゾーンは23.6%戻し(7312)と上昇中の50日線(7326)が重なる。このゾーンの下方ブレイクは、7300トライのサインとなろう。
米国500が7300を明確に下方ブレイクすれば、7200のトライを視野に下落拡大を想定したい。サポート転換が確認された7200を今週の下限と予想する。
明日の5月CPI、翌11日の5月PPIと続けてインフレ加速が示されれば、金利上昇と利上げ警戒から売りが強まり、下限予想の7200を下方ブレイクしかねない。このケースでは、38.2%戻しにあたる7120までの調整売り加速を想定しておきたい。
注目水準:サポート
・7330:サポートライン
・7310:23.6%戻し(7312)
・7300:重要サポートライン
・7200:下限予想、サポート転換の水準
・7120:38.2%戻し
8日の米株式市場でS&P500は、半導体株の買い戻し主導で反発した。今回の調整相場が短期で終息すれば、米国500は7300を維持することが予想される。明日からの5月インフレ指標が総じて市場予想の範囲内に収まれば、反発を後押ししよう。
上値トライの局面では、25日線の突破が最初の焦点となろう。この移動平均線は現在、直近高安の半値戻し(50% / 7471)と重なる水準で推移している。1時間足チャートの2つの短期レジスタンスラインの突破は、半値戻しをトライするサインと捉えたい。
米国500が7470台を完全に突破すれば、7500を視野に反発加速を想定したい。7500は1時間足の61.8%戻し(7501)にあたる。米国500が7500台へしっかりと上昇する場合は、レジスタンスとサポートの双方で意識されてきた7540が上値の節目となる(1時間足)。同水準を今週12日までの上限と予想する。
注目水準:レジスタンス
・7540:上限予想
・7500:61.8%戻し
・7470台:半値戻し、25日線
米国500の日足チャート:2026年3月以降
TradingView提供のチャート
米国500の1時間足チャート:6月以降
TradingView提供のチャート
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