最高値更新のS&P500。早期利上げ観測の後退が強気地合いを支えている。ただし年内利上げの可能性はくすぶる。強気維持の試金石として、今週はFOMC議事要旨に注目したい。週間想定レンジは7600〜7900。
アメリカ株式市場は強気地合いにある。それを象徴しているのが株式市場の時価総額のうち約80%をカバーするS&P500だ。先週、終値ベースで7798.99ポイントまで上昇し最高値を更新した。13日の取引時間中には7816.70ポイントと、7800ポイント台へ乗せる場面が見られた。翌14日の市場でも一時7800ポイント台へ上昇した。
S&P500のボラティリティ指数VIXとナスダック100のボラティリティ指数VXNは8月以降、低下基調を鮮明にしている。
VIXとVXN 日足チャート:2026年1月以降
これらボラティリティ指数が低下すると同時にS&P500の上昇が加速した状況は、早期利上げ観測の後退が強気相場を支えていることを示唆している。
事実、8月に入り発表された雇用や物価に関連した経済指標の内容を受け、9月の利上げ観測は6割台から2割台へ急速に後退している。年内1回利上げの織り込み度も8割台へ低下している。
FOMC 各会合の利上げ見通し:4月以降
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S&P500の強気地合いを支えている要因としてもう一つ注目したいのが、株高のすそ野の広がりだ。
4月から6月中旬頃にかけては、半導体セクターがS&P500の上昇相場をけん引してきた。しかし、6月22日を境にして、SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)は軟調地合いへ転じている。8月に入り反発する局面が見られるが、50日線がレジスタンスラインとして意識され、上値の重い状況が続いている。
SOX指数 日足チャート:2026年3月以降
注目は、半導体セクターの調地合いを他のセクターの買いが相殺している状況だ。この点をS&P500セクター別パフォーマンスで確認すると、SOX指数が軟調地合いへ転じて以降、エネルギー、ヘルスケア、金融など、景気敏感株からディフェンシブ株まで幅広い銘柄への買いがS&P500の上昇をけん引している。
早期利上げ観測の後退に加えて、株高のすそ野が広がる状況もまた、短期的にS&P500を下支えする要因だ。
S&P500セクター別パフォーマンス:6月23日~8月14日
しかし今週は、S&P500の反落を警戒したい。強気相場維持の試金石として注目したいのが、19日(日本時間20日未明)に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月28~29日開催分)だ。
8月第1週の雇用指標では、7月雇用統計(非農業部門雇用者数)を含め、総じて労働市場の減速が示唆された。先週14日の7月小売売上高は予想外の減速となり、8月のミシガン大学消費者信頼感指数は51.0と市場予想55.0、および7月確報値55.2から大きく低下した。これら一連の指標が早期利上げ観測の後退を招いた。
ただし後退しているのは「早期」の利上げ観測であって、年内の利上げ見通し自体は根強い。織り込み度は8割台へ低下しているが、今後のインフレ動向次第では、利上げ観測が再燃する可能性がくすぶる。
今回の議事要旨で注目したいのが、そのインフレと利上げに対する見解だ。7月の会合では、クリーブランド、ミネアポリス、ダラスの3地区連銀総裁が0.25%の利上げを主張して反対票を投じた。3人が同じタカ派の方向で反対したのは2016年9月以来である。
利上げ見送りに回った参加者の中にも、インフレリスクを警戒する見解を述べた可能性がある。雇用と個人消費に関連した経済指標の下振れが続く中、インフレ抑制のため将来の利上げの必要性を認識している参加者が多いと判明する場合は、利上げ観測の再燃につながる可能性がある。このケースでは、S&P500の調整売りを警戒したい。
今週も利上げ観測の後退がS&P500を下支えする場合は、7800ポイント台の定着が焦点の一つとなろう。これに成功する場合は、日足チャートのフィボナッチ・エクスパンション161.8%の水準7870ポイントを視野に、上昇拡大を想定したい。先週13日の取引時間中の高値7816ポイントの上方ブレイクは、7870ポイントをトライするサインと捉えたい。
7870ポイントも突破すれば、次の節目水準7900ポイントのトライが視野に入る。今週はこのラインを上限と想定したい。
注目の上値水準:レジスタンス
★7900ポイント:予想上限
・7870ポイント:フィボナッチ・エクスパンション161.8%(日足)
・7816ポイント:先週13日 取引時間中の高値
日足MACDはS&P500の強気地合いを示唆している。一方、RSIは買われ過ぎの水準付近まで上昇している。1時間足のRSIが買われ過ぎの水準へ到達する場合は、短期の調整売りを想定したい。
今週、S&P500が下値をトライする局面では、サポート転換が確認されている7770ポイントの維持が最初の焦点となろう。このラインを下方ブレイクする場合は、10日線が推移する7730ポイント台のトライを想定したい。この移動平均線を下方ブレイクする場合は、7700ポイントのトライを想定したい。このラインは、1時間足の23.6%戻し(7698ポイント)にあたる。
前述のFOMC議事要旨が米株安の要因となれば、調整売りが加速する展開を想定したい。7700ポイントを下方ブレイクするケースでは、次の節目水準7600ポイントを視野に下落拡大を警戒したい。1時間足の38.2%戻し7620ポイント台の下方ブレイクは、7600ポイントをトライするサインとなろう。下の水準7570ポイント台に25日線が上昇しており、このラインはテクニカル面でもサポートとして意識されやすい状況にある。ボラティリティの拡大を警戒し、7600ポイントを今週の下限と予想する。
注目の下値水準:サポート
・7770ポイント:サポート転換が確認されたライン(1時間足)
・7730ポイント:10日線(7734)
・7700ポイント:1時間足23.6%戻し(7698)
・7620ポイント:1時間足38.2%戻し(7624)
★7600ポイント:予想下限
・7572ポイント:25日線
S&P500 日足チャート:2026年3月以降
S&P500 1時間足チャート:7月下旬以降
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