米国株、週明け波乱恐れ S&P500急落継続 イラン情勢リスク拡大
S&P500は1年ぶりの4週続落。個人投資家の悲観度も10か月ぶりの高さだ。イランでの戦争の長期化が悪材料で週末の戦況激化が波乱要因になりえる。
アメリカの株式市場で悲観論が広がってきた。S&P500種株価指数の20日の終値は1週間前比1.90%安。1年ぶりの4週連続での値下がりとなった。「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価は20日まで3日連続で総崩れとなっている。イランでの戦争が中東地域のエネルギー施設への被害を広げる中、投資家心理の悪化が進んでいるためだ。個人投資家の間での株価下落が長期化するとの悲観論は10か月ぶりの強さになっている。一方、S&P500はこれまでの下落で割高感が後退しており、今後、底打ちへの期待が膨らむ可能性もある。ただ、米国のドナルド・トランプ政権はイランへの増派を進めているとも報じられており、週末の間にも戦況が激化すれば、週明け23日以降のS&P500に波乱が起きるリスクも想定されそうだ。
アメリカのS&P500は週次1.90%安 1年ぶりの4週続落
S&P500(SPX)の20日終値は前日比では1.51%安の6506.48。S&P500は人工知能(AI)ブームをめぐる懸念や英国の住宅ローン会社の破綻が金融株を下落させた2月23-27日週から4週連続で下落したことになる。ブルームバーグによると、4週続落はドナルド・トランプ大統領の高関税政策への懸念が強まっていた2025年3月10-14日週までの4週続落以来、1年ぶりの悪い記録だ。2月28日のイスラエルと米国によるイラン攻撃が発端となったホルムズ海峡封鎖が長期化する中、株価の下落が止まらず、20日終値は1月27日の最高値(6978.60)から6.77%安となっている。
マグニフィセント・セブンは3日連続で全社が下落 エネルギー供給懸念深刻化
株式市場ではS&P500への影響度が大きいマグニフィセント・セブンの7社の株価も不振が深まり、18-20日は3日連続で7社の株価がすべて下落。この結果、20日までの1週間の値動きをみても、テスラ(TSLA)が週次5.94%安で5週続落。NVIDIA(エヌビディア、NVDA)が週次4.19%安となるなど、やはり7社すべてが値下がりしている。エヌビディアが高性能半導体システムの人気の強さを明かした16日には7社の株価すべてが上昇する場面もあったが、18日には米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の記者会見が利下げ期待を後退させており、AI関連投資に巨額の資金を必要とする各社にとっての逆風としても働いているようだ。
S&P500の下落が加速している背景には、イランでの戦争で双方がエネルギー施設に攻撃を加え、原油や天然ガスの生産の落ち込みが長期化することが避けられなくなっていることがある。18日にはイスラエルの攻撃でイラン南部のサウス・パース・ガス田が被害を受ける一方、カタールなどの米国企業に関連したエネルギー施設でもイランによるとみられる攻撃で被害が出ている。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師は20日発表の声明で「安全は国内外の敵からは奪いさられ、イラン国民には与えられなければならない」としており、今後もエネルギー施設に被害が出る恐れがある。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し、WTI原油)は20日の終値で、前日比2.27%高の1バレル=98.32ドルとなった。
VIX指数は15日連続での大台超え 個人投資家の悲観割合は52%で10か月ぶり高さ
こうした中、投資家心理の悪化は続いたままだ。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)は20日の終値で26.78となり、前日よりも11.31%高くなった。イラン攻撃開始後、15営業日連続で20の大台を超えている。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
また投資家の間では株価の不振が長期化するとの懸念も強まっている。米個人投資家協会(AAII)の週次のデータによると、今後6か月で株価が下落すると考える個人投資家の割合は20日段階で52.0%。トランプ氏の高関税政策や米中対立が株式市場を揺らしていた2025年5月2日段階(59.3%)以来の高さとなった。個人投資家の弱気割合は相互関税発表から2日後の4月4日段階で61.9%まで高まったことがあり、その後、8日にはS&P500が当時の最高値から18.90%安まで下落した。
S&P500の割高感は後退 イラン戦争終結の見通しつかず、週末の戦況で波乱の恐れ
一方、S&P500のこれまでの下落は割高感を弱める効果も生んでいるようだ。ブルームバーグによると、S&P500の水準と今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)から算出される株価収益率(PER)は20日段階で約20.3倍。株式市場でのAIブームが本格化した2023年以降の平均値である21.2倍を下回っている。イラン攻撃後の3週間でS&P500の予想EPSは2%ほど上昇しており、企業業績に対する期待の強さも感じさせる。
またイラン情勢をめぐっては早期終結を見据えた情報発信も行われている。イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相は19日の記者会見で、「戦争は人々が考えているよりもはるかに早く終わる」と発言。イスラエルとして今後はエネルギー施設への攻撃を控えることや、ホルムズ海峡封鎖の解消に協力するともしている。
ただ、実際にはイランでの戦争に終わりが見えているわけではない。WSJは20日、米国政府高官の話として、2200-2500人の海兵隊と強襲揚陸艦「ボクサー」などがすでに中東に向かっていると報じた。WSJは13日にも別の強襲揚陸艦などが増派されたと報じている。イランでの戦争の長期化が進む中、週末の戦況激化が週明け23日以降のS&P500に波乱をもたらす可能性がありそうだ。
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