米国株、イラン戦争リスクに不安 S&P500上昇 金利高が見通しに影
S&P500は8週続伸。イラン戦争終結への楽観が続き、米国企業の収益性への期待も強まった。ただ、イラン情勢は不透明で、金利高も株価の重荷だ。
アメリカの株式市場にイラン戦争をめぐる楽観が広がっている。S&P500種株価指数の22日の終値は1週間前比で0.88%高。イラン戦争が終結に向かうとの期待を背景に8週続伸となっており、投資家の不安心理は大きく後退した。また、半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の決算発表後、S&P500構成銘柄の利益への期待は強まっており、今後も最高値更新が続いていく可能性が出ている。ただ、イラン戦争の終結が本当に実現するかどうかは依然として不透明。原油価格の高止まりが、22日に新体制に移行した米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを難しくするという不安要素もある。金利高は人工知能(AI)サービス拡充に巨額の投資を必要とする大手ハイテク株の値動きにとっても悪材料で、各社の株価には伸び悩みも感じられた。S&P500の今後の見通しをめぐっては、イラン和平協議への期待が後退するリスクがぬぐえず、米国株式市場の3連休明けの26日にS&P500が下落する展開も考えられそうだ。
アメリカのS&P500は週次0.88%高 8週続伸で最高値に接近
S&P500(SPX)の22日の終値は前日比では0.37%高の7473.47。週次での上昇(0.88%高)は8週連続で、ドナルド・トランプ大統領が3月31日にイランからの撤退に言及したことを機に始まった勢いが続いている。22日の終値は14日の最高値(7501.24)からは0.37%安の水準まで回復している。
イラン戦争終結期待で投資家心理改善 エヌビディア決算は企業収益見通しに追い風
S&P500の好調さの背景にあるのはイラン戦争が終結に向かうとの期待だ。ドナルド・トランプ大統領は20日、イランとの和平協議は「最終段階にある」と言及。イラン側からも両国間の溝が「一定程度」狭まったとの見方が示されている。イラン戦争終結に向けた楽観は、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の値動きにも表れている。シカゴ・オプション取引所によると、VIX指数の22日の終値は16.70で、2月2日(16.34)以来の低さとなった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
また、株式市場ではAIブームへの期待が根強いことも株高要因。エヌビディアが20日の決算発表で示した2026年5-7月期の総収入の見通しは前年同期比95%増にもあたり、一部投資家の高い期待には沿えなかったものの、急成長が見込まれている形だ。こうした中、米国企業の利益成長への期待は大きく拡大。ブルームバーグによると、S&P500構成銘柄の今後12か月の予想1株当たり利益は22日段階で350ドル程度となり、エヌビディアの決算発表前日にあたる19日との比較で4%増。この結果、S&P500の水準と構成銘柄の予想1株当たり利益から算出される株価収益率(PER)は21.3倍程度で、最高値をつけた14日段階の22.3倍程度から割高感が和らいでいる。
原油価格は高止まり FRBの年内利上げ確率は95%まで上昇
ただ、イラン戦争の見通しが不透明であることは間違いなく、石油の重要通商ルートであるホルムズ海峡の封鎖状態の長期化は原油価格を高止まりさせている。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(7月渡し、WTI原油)の22日の終値は前日比0.26%高の1バレル=96.60ドル。イスラエルと米国によるイラン攻撃前日にあたる2月27日終値との比較では44.14%高もの水準だ。原油高は米国を含む世界各国の企業や個人の経済活動を弱めかねず、S&P500にとっての逆風といえる。
また原油高がもたらす物価上昇圧力は、22日にケビン・ウォーシュ新議長が就任したFRBの利下げへの期待を消失させた。ブルームバーグによると、22日の金融市場で見込まれている12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.870%で、現状の政策金利(3.50-3.75%、中間値3.625%)を大きく上回る水準。年内利上げ確率は95%となっている。FRBの利上げ見通しは、米国の長期金利(10年物国債利回り)を上昇させており、22日終値の4.559%は6営業日連続での4.5%超えとなった。金利高は株式投資の相対的な魅力を低くする、S&P500にとっての悪材料だ。
エヌビディアは週次4.43%安 イラン戦争の情勢悪化でS&P500に逆風も
このため株式市場の値動きには足取りの重さも感じられ、S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の値動きは不調だ。米国企業の収益期待を高めたエヌビディア(NVDA)の株価の22日の終値は1週間前比で4.43%安だった。また、アルファベット(GOOGL)も週次3.48%安となるなど、7社中4社が値下がりしている。各社はAIサービス強化のために巨額の資金を必要としており、金利上昇が今後の資金調達のコストを大きくする側面がある。各社の株価はAIブームへの期待で急騰を続けてきただけに、投資家が向ける視線は厳しさを増しているといえそうだ。
S&P500の今後の見通しをめぐっては、米国とイランの和平協議の進展次第で波乱に見舞われる恐れがあることは否めない。米国とイランが和平合意案をやりとりする間に、トランプ氏がイランの対応に不満を示せば、軍事攻撃の可能性が意識される展開も考えられる。米国の株式市場は25日がメモリアル・デーのため休場で、3連休の間にイラン情勢が大きく変化すれば、26日のS&P500に下落圧力がかかる可能性もある。
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