日経平均、バブル後最高値へ足踏み AI株不安がS&P500に影
日経平均はバブル後最高値へわずかに上昇。一方、エヌビディアやマイクロソフトへの懸念はS&P500の上昇の不安に。
日経平均株価が記録更新を持ち越した。24日の終値は1週間前比で40.33円高。4週連続の値上がりで、取引時間中には7月初めのバブル後最高値を超える場面もあったが終値では128円届かなかった。一方、アメリカの株式市場でも、S&P500種株価指数が4週連続の値上がりを達成。ただし投資家の安心材料となっていたアメリカの長期金利(10年物米国債利回り)の低下はこのところ減速しているほか、復調を続けてきた人工知能(AI)関連の大型銘柄にも不安材料が目立っており、S&P500の勢いに悪影響が出る可能性がある。
日経平均株価はバブル後最高値まであと128円
日経平均(N225)の24日の終値は3万3625.53円。4週連続の値上がりは4月から6月にかけての10週連続以来の記録だ。日経平均は先週末の段階でも7月3日につけたバブル後最高値(3万3753.33円)まで168円に迫り、20日と24日の取引時間中には記録を更新する場面もあった。しかし利益確定の売りには抵抗しきれず、終値ではわずかに距離を縮めるに終わっている。
一方、S&P500(SPX)の24日の終値は1週間前比で1.00%高にあたる4559.34。こちらも4週連続の値上がりで、この間の上昇率は約11%に達している。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが打ち止めになったとの観測が金利の先高観を弱めていることが、引き続き株式市場の好材料となっている。
ただし米国の長期金利低下は足元では横ばい傾向だ。24日のニューヨーク債券市場での長期金利の終値は4.484%で、6営業日連続での4.4%台。約5%だった10月下旬から約3週間で4.4%台に到達した後、4.3%台までの低下にはブレーキがかかっている。FRBの利上げ打ち止め観測は、ジェローム・パウエル議長の1日の記者会見を機に加速し、14日発表の10月消費者物価指数(CPI)での物価上昇減速なども裏付けとなったが、その後は新たな補強材料が出ていない。
エヌビディアやマイクロソフトの株価に不安
また、長期金利低下を背景に復調していた「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク株をめぐる雲行きも再び怪しくなっている。半導体大手で、AI開発向け事業が急成長しているNVIDIA(エヌビディア、NVDA)は21日に事前予想を超える2023年8-10月期の好決算を発表したが、米政府の対中国輸出規制の影響が懸念材料として意識された。株価は決算発表直前から24日の終値までで4.3%下落している。
また、AIブームの火付け役であるOpenAI(オープンAI)の経営混乱は、オープンAIに出資するマイクロソフト(MSFT)の株価に影響した。オープンAIでは取締役会が17日にサム・アルトマンCEOを解任した後、従業員の9割がアルトマン氏の復帰がなければ退社すると表明。結局、22日にアルトマン氏のCEO復帰が発表され、取締役会の陣容見直しも決まったが、アルトマン氏と取締役会の対立関係が解消されたわけではないようだ。この間、マイクロソフト株の値動きは値上がりと値下がりを繰り返し、上値が抑えられた形になった。
2023年の米国株式市場の活況はAIブームに支えられてきたが、オープンAIが2022年11月に生成系AI「ChatGPT」の高い性能で世界を驚かせてから1年が経つ中、不安材料が意識されやすくなっている。FRBが7月まで続けてきた利上げが経済活動を減速させる可能性は依然としてくすぶっており、米国株の勢いがどこまで続くかが日経平均の先行きにも影響しそうだ。
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