日経平均株価 週間見通し(10/14週):国内の政局不安とトランプ関税砲で下落警戒
日経平均株価の週間見通し(10/14~17週)。公明党の連立離脱と米中貿易摩擦の再燃で下落警戒。株価指数CFD「日本225」の重要チャート水準についてIG証券のアナリストが詳細解説。

要点
今週(10/14~17日)の日経平均株価は内憂外患で下落警戒。公明党の連立離脱による政局の混乱(内憂)に加え、トランプ大統領が対中100%追加関税を表明(外患)。VIXと日経平均VIの上昇は投資家心理の悪化を示唆。日米株高をけん引してきたAI相場に暗雲が漂い、高市トレードの期待も後退する可能性がある。日経平均株価の上昇をけん引してきた主力株の売りを警戒したい。株価指数CFD「日本225」の週間予想レンジは4万3000~4万7000円。
国内の政局不安と米中貿易摩擦の再燃、高市トレードの上昇帳消しに
先週の日経平均株価は上昇して終えた。上げ幅は1週間で2319円だった。しかし、同指数を原資産とする株価指数CFD「日本225」は10日の市場で「高市トレード」の上昇が帳消しになる急落相場に直面。NY時間に4万5151円まで下落する局面が見られた。
株価急落のきっかけとなったのが、公明党の連立離脱表明だった。国内の政局不安が意識され、日経平均株価の下押し圧力が高まっていたところに追い打ちをかけたのが、トランプ米大統領だった。中国が9日、レアアース(希土類)の輸出規制強化を発表。これに反発したトランプ氏は10日午後、自身のSNSで11月1日から中国の輸入品に100%の追加関税をかける方針を示した。中国への重要ソフトウエアの輸出制限も発動するとした。またトランプ氏は、今月末に韓国で行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)にあわせて予定されている中国の習近平国家主席との首脳会談が行われない可能性にも言及した。
日本225の1時間足チャート:10月以降

TradingView提供のチャート
VIX指数は10日、一時22.44へ急上昇する場面が見られた。一方、日経平均ボラティリティ・インデックスは32.48と、6月13日の32.10を超える場面が見られた。日米ボラティリティ指数の上昇は、米中貿易摩擦の再燃に対する投資家の警戒心の高まりを示唆している。
日経平均ボラティリティ・インデックスの日足チャート:2025年3月以降

ブルームバーグのデータを基に作成
AI相場に暗雲、今週の日経平均は下落警戒
今週の日経平均株価は下落相場を警戒したい。10日の米株式市場では、主要3指数が大幅下落で終えた。下落相場をけん引したのが、主力の半導体関連株だった。SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)は6.3%安となり、S&P情報技術セクターの下落をけん引した(同セクターは4%安)。これらの動きは、トランプ関税砲が「AI相場」に冷や水を浴びせたことを示唆した。
米国株の「AI相場」は、日経平均株価の上昇を支えてきた。先週は、アドバンテスト(6857)とソフトバンクグループ(9984)が上昇をけん引した。しかし、他のAI関連株の動きを見ると、ディスコ(6146)、東京エレクトロン(8035)そしてレーザーテック(6920)の上昇は抑制された。ソフトバンクとアドバンテストも10日の市場で反落した。
米中貿易摩擦の再燃は、高値水準にあるAI関連株の調整売りを促す要因になり得る。AI相場が下火になる可能性があることを考えるならば、今週の日経平均株価は下落相場を警戒したい。
AI関連株の変動率:10/6~10週

ブルームバーグのデータを基に作成
ブルームバーグのデータを基に作成
一方、国内の政局不安も日経平均株価の重石となろう。公明党の連立離脱で新たな首相を選ぶ首班指名選挙の情勢が混沌としている。現状、臨時国会の召集が20日の週にずれ込む見通しにあるなか、今週は各党の多数派工作に関する報道が多く見られるだろう。
国民民主党の玉木雄一郎代表を軸に、野党が候補の一本化に向けてまとまる動きを見せれば、AI関連株だけでなく「高市銘柄」の一角である防衛関連の主力銘柄-三菱重工業(7011)、川崎重工業(7012)、IHI(7013)などの株価も売りに直面することが予想される。先週の後半以降、これら銘柄の上昇には息切れ感が見られた。今週、「高市新総裁不利」との思惑で下落拡大となれば、日経平均株価の下押し要因となろう。
防衛株の変動率:10/6~10週

ブルームバーグのデータを基に作成
日本225のチャート分析
予想レンジの下限:4万3000円
日経平均株価の株価指数CFD「日本225」は10日、大陰線で9月2日の安値と10月9日高値の半値戻しの水準4万5297円を下方ブレイクした。短期サポートラインをかろうじて維持したが、RSIは低下へ転じ50を下抜けた。MACDはデッドクロスへ転じるムードにある(日足チャート①を参照)。強気地合いの後退を示唆する動きである。
今週、日本225がさらに下値を目指す場合は、以下にまとめたサポートラインの攻防を意識したい。特に注目したいのが、日足チャート①の50日線と75日線の攻防である。これら移動平均線は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の4万4450円付近と76.4%の4万3400円付近の直下にある。2つのテクニカルラインが密集しつつある水準で下落が止まる場合は、押し目買いを考えたい。
日足チャート②のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の4万4518円を下方ブレイクする場合は、50日線(61.8%戻し)をトライするサインと捉えたい。
日本225が75日線を下方ブレイクする場合は、4万3000円のトライが視野に入ろう。先週、日経平均先物は前日の清算値と比べ2420円の急落となった。10日の日本225は4万5201円で引けた(IGチャート中値)。国内の政局不安と米中貿易摩擦の懸念で今週も2000円前後下落すると想定する場合、4万3000円を今週の下限と想定したい。日足チャート②の短期サポートラインは今週14日に、4万3000円と交差する。
サポートライン
・4万4518円:23.6%戻し
・4万4450円:50日線(10/10時点)、61.8%戻し
・4万3400円:76.4%戻し
・4万3263円:75日線(10/10時点)
・4万3000円:週間予想レンジの下限
予想レンジの上限:4万7000円
日本225の反発局面では、日足チャート①にまとめたレジスタンスラインの攻防を意識したい。
反発要因として注目したいのが、米中貿易摩擦の報道である。トランプ米大統領はディールを重視する。100%追加関税に中国は抗戦の構えを見せており可能性は低いが、対話に向けた動きが見られる場合は、APECでの首脳会談開催と対立緩和の期待が相場を下支えする展開が予想される。しかし、国内の政局不安が相場の重石となろう。日本225の反発は限定的と想定したい。
まずは、レジスタンスラインへ転換する可能性がある4万6000円の攻防が焦点となろう。この水準を難なく突破すれば、次の焦点は4万7000円のトライを意識したい。日経平均はボラティリティが拡大しやすい状況にある。10日の安値(4万5151円)から約2000円上の4万7000円を今週の上限と想定したい。4万6500円の突破は、4万7000円をトライするサインと捉えたい(日足チャート②)。
現状、可能性は低いものの、高市トレードの再燃と米中懸念の後退が重なれば、変動幅が拡大傾向にある日本225は4万7000円台へ上昇する展開を想定したい。この場合は、高市トレードが発生した10月6日の安値4万7260円のトライを想定したい。
レジスタンスライン
・4万7260円:10月6日の安値、レジスタンス転換の可能性あり
・4万7000円:予想レンジの上限
・4万6500円:レジスタンスライン
・4万6000円:レジスタンスライン
日本225の日足チャート①:2025年9月以降

TradingView提供のチャート
日本225の日足チャート②:2025年3月以降

TradingView提供のチャート
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