米株式市場ではAI相場が失速し、資金はバリュー株・中小型株へシフトしている。今週のナスダック100は上値の重い展開が予想される。注目のチャート水準をIG証券のアナリストが詳細解説。
先週の米株式市場は強気地合いを維持した。しかし、ナスダック100は0.72%高と、NYダウの1.76%高やS&P500の1.97%高と比べて小幅だったことは、AI相場の勢いが失速していることを示唆している。
6月上旬、ブロードコム(AVGO)の決算をきっかけに、AI相場は調整売りに直面した。
S&P500のセクター別パフォーマンスを確認すると、6月以降、現在のAI相場の主役であるマイクロン・テクノロジー(MU)をはじめとした主力の半導体株が属する情報技術セクターが最も下落している。
アルファベット(GOOGL)とメタ・プラットフォームズ(META)が属するコミュニケーション・サービスのセクターも下落した(下チャート赤矢印を参照)。
S&P500セクター別パフォーマンス:6月1日~7月2日
ナスダック100版の恐怖指数「VXN」とS&P500の予想変動率(30日間)の指標VIXが拡大傾向にある状況もまた、AI相場に対する市場の警戒心を示唆している。
VXNとVIX日足チャート:2025年以降
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しかし、米株式市場がリスク回避ムードに覆われているわけではない。冒頭のS&P500セクター別パフォーマンスを改めて確認すると、バリュー株優勢の状況が見て取れる。
特にディフェンシブ・セクターのヘルスケア、公益そして生活必需品が上昇している状況は、AI投資一辺倒から出遅れ感のある優良なバリュー株へのセクターローテーションを示す動きだ(パフォーマンスチャート、緑ラインを参照)。
この点は、以下の株価指数の倍率チャート(分子にナスダック100、分母にNYダウとラッセル2000)も示している。6月以降、トレンドが下降へ転じている状況は、AI相場の恩恵を受けるナスダック100に対して、NYダウとラッセル2000が優勢にあることを示している。言い換えれば、優良なバリュー株と中小型株への資金シフトが見て取れる。
米株価指数の倍率チャート日次:2026年1月以降
AI相場が失速している状況を考えるならば、今週のナスダック100は調整売りを警戒したい。
下値の焦点は、IG米国株レポートで注目している28500レベルの維持だ。この水準が調整売り加速の局面でサポートラインとして機能すれば、今後も重要な下値水準として意識されよう。50日線の下方ブレイクは、28500をトライするサインと捉えたい。
一方で、AI相場の調整売り加速で28500を下方ブレイクする可能性も警戒しておきたい。このケースでは、半値戻しの水準27760レベルの維持が焦点に浮上しよう。
一方、ナスダック100の反発局面では、レジスタンスラインに転換する兆しが見られる25日線の攻防に注目したい。この移動平均線の上方ブレイクは、節目水準30000をトライするサインと捉えたい。
ナスダック100 日足チャート:2026年1月以降
今週、ナスダック100の変動要因として注目したいのが、6月ISM非製造業景気指数だ。6月雇用統計で早期の利上げ観測が若干だが後退している。新規受注や雇用を含め、総合的にサービス企業の活動拡大を示す内容となれば、ナスダック100を下支えすることが予想される。
ISM非製造業景気指数の動向:2025年1月以降
ナスダック100に連動する株価指数CFD「米国テク株100」は、次のセクションでまとめたチャート水準の攻防に注目したい。
今週の米国テク株100の想定レンジを28000~30600と想定し、下値をトライする局面では、6月下旬の下落相場を止めたフィボナッチ・リトレースメント23.6%水準28876レベルの攻防が最初の焦点となろう。
次の注目水準は、サポートラインとして意識されている28200だ。この水準を下方ブレイクすれば、下限予想28000のトライを想定したい。直下には90日線が上昇している。テクニカル面でも28000レベルはサポートラインとして意識されやすい状況にある。
AI相場が失速するなかで米国テク株100が上値を目指す局面では、6月の中旬以降、レジスタンスラインとして意識されている30600レベルまでの反発が限界と予想する。
50日線を完全に上方ブレイクすれば、節目30000のトライを意識したい。この水準は、直近の高値と安値のフィボナッチ・リトレースメント76.4%にあたる(4時間足チャート)。50日線と30000の水準がサポートラインに転換する場合は、30600のトライを想定したい。6月30日の高値水準30326レベルの上方ブレイクは、30600をトライするサインとなろう。
筆者の想定が外れ、上限予想の30600をブレイクアウトする場合は、6月3日の高値30760のトライが視野に入る。同水準を上抜ければ、次の節目31000の攻防を意識したい。
注目水準
■サポート
・28876:23.6%戻し
・28200:サポートライン
・28000:下限予想
・27850:90日線
■レジスタンス
・31000:節目水準
・30760:6月3日の高値水準
・30600:上限予想
・30326:6月30日の高値水準
・30000:節目水準、76.4%戻し
米国テク株100 日足チャート:2026年1月以降
米国テク株100の4時間足チャート:5月下旬以降
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