テックからヘルスケアへ資金がシフトしている。今週のナスダック100は調整売りを警戒したい。6月の米雇用統計が利上げ観測に影響を及ぼす可能性あり。株価指数CFD「米国テク株100」の注目水準をIG証券のアナリストが詳細に解説。
米AI相場への不透明感が再び強まりつつある。この点を端的に表したのが、先週のナスダック総合とナスダック100(NDX)だ。いずれも週次で4%超下落し、ダウ(0.6%高)やラッセル2000(1.0%高)など他の主要指数を大きく下回った。
S&P500のセクター別パフォーマンスにも注目したい。先週最も上昇したのはディフェンシブセクターのヘルスケア(6.96%高)だった。同じディフェンシブの公益と生活必需品も上昇した。
一方、最も下落したのが、エヌビディア(NVDA)など主力の半導体株が属する情報技術(5.36%安)だった。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は週次8%安で終えた。
S&P500セクター別パフォーマンス:6月第4週
今年4月に現在のAI相場が始まった。それ以降(4月1日以降)のトレンドを確認すると、情報技術が26.2%高とS&P500(12.6%高)を大きく上回っている。
注目したいのが、6月上旬以降の動きだ。「ブロードコム・ショック」(同社のAI半導体の売上見通しが市場の失望を誘ったこと)をきっかけに、テック(AI関連銘柄)からヘルスケア(ディフェンシブ銘柄)へのローテーションが1カ月近くかけてじわりと進行していることが分かる。
この資金シフトに伴い、S&P500とナスダック100の上値も重くなっている。
S&P500セクター別パフォーマンス:2026年4月1日~6月22日
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AI相場の不透明感を強めている要因は、個別企業の動きにも表れている。象徴的なのが、メモリー半導体大手マイクロン・テクノロジー(MU)の決算が米株式市場に与えた影響とアップル(AAPL)の株価動向だ。
マイクロンは先週24日(日本時間25日早朝)に2026年3-5月期(第3四半期)決算を発表した。市場予想を上回る好決算で同社株は急騰した。しかし、AI相場全体を押し上げる効果はなかった。むしろ、同社の値上げ余波でアップルがMacとiPadの値上げに踏み切り、アップルの株価は先週4.8%安で終えた。
さらに、オープンAIがIPOを2027年まで延期する検討に入ったと報じられ(米ニューヨーク・タイムズ紙)、AIインフラ投資の勢いが鈍るとの見方も懸念材料となった。
直近のボラティリティ指数の動きにも注目したい。26日時点でS&P500の予想変動率(30日間)を示すVIXは18.41と、警戒の目安とされる20を下回って推移している。一方、ナスダック100版の恐怖指数であるVXNは30.82と、中東の地政学リスクが強く意識された3月以来の高水準にある。
両者の乖離は、AI相場に対する市場参加者の警戒心が高まっていることを示唆している。
VIXとVXN 日次チャート:2026年1月以降
米債市場では、長期金利の指標である米10年債利回りが5月下旬の4.68%台から現在は4.36%台へ低下している。一方、米金融政策の方向性を織り込む2年債利回りは、3月上旬の3.4%前後から一時4.2%台へ上昇し、足元も4.0%台で高止まりしている。年内かつ早期の利上げを織り込んだ動きだ。
この状況は、翌日物金利スワップ(OIS)市場でも見て取れる。足元では、9月会合の利上げの可能性を7割程度織り込む動きが見られる。
米政策金利の予想推移
今週の試金石は、7月2日の6月米雇用統計だ。7月3日が独立記念日振替で米国市場が休場となるため、通常より前倒しで発表される。
ブルームバーグがまとめた市場予想では、非農業部門雇用者数が前月比11.5万人増(5月の17.2万人増から減速)、失業率は前月から横ばいの4.3%が見込まれている。平均時給は前年同月比3.5%(5月の3.4%から加速)が予想されている。
米雇用統計 各項目の動向:過去1年間
強い米雇用統計は、米AI相場の調整売りを加速させる要因になり得る。雇用統計前の5月JOLTS求人件数(6/30)と6月ADP雇用統計(7/1)も強い内容となれば、その可能性はより高まろう。
最も影響を受ける株価指数がナスダック100だ。日足RSIは50を下回り、MACDもデッドクロスに転じている。25日線を下抜け、同線がレジスタンスに転じる兆しもある。先週相場を支えた50日線を下抜ければ、28500を視野に下落拡大を警戒したい。
IG証券の株価指数CFD「米国テク株100」は今週、以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。
ナスダック100 日足チャート:2026年3月以降
下限予想:27500
IG証券の株価指数CFD「米国テク株100」は、25日線と50日線を一気に下抜けた。日足RSIは43近辺と50を割り込み、日足MACDはデッドクロスに転じゼロラインを視野に下降している。今週は下値トライを意識したい。
まず焦点となるのが、6月26日の下落を止めたフィボナッチ・リトレースメント23.6%戻しの28880レベルだ。ここを下抜ける場合は調整売りの加速を想定し、サポートとして機能してきた28200のトライが視野に入ろう。この水準をも下抜ければ、38.2%戻しの27700レベルが視野に入る。
現在、90日線が27500近辺へ切り上がっている。2月から3月の下落局面でレジスタンスとして意識されたこの移動平均線が、今度はサポートに転換するかが注目される。27500を今週の下限と予想する。
注目水準:サポート
・28880:23.6%戻し(28876)
・28200:サポートライン
・27700:38.2%戻し(27711)
・27500:下限予想、90日線
上限予想:30000
一方、米国テク株100の反発局面では、50日線の攻防が最初の焦点となろう。この移動平均線がレジスタンスに転換すれば、地合いの弱さが意識されよう。
逆に50日線を上抜ければ、同じくレジスタンス転換の可能性があり直近高安のフィボナッチ・リトレースメント38.2%水準でもある29600が視野に入る。
米国テク株100が29600を突破する場合は、先週相場の反発を止めた25日線の攻防が焦点に浮上しよう。この移動平均線も突破すれば、心理的節目の30000が視野に入る。フィボナッチ・リトレースメント61.8%戻しでもある30000を今週の上限と予想する。
注目水準:レジスタンス
・30000:上限予想、61.8%戻し(29970)
・29800:25日線(29802)
・29600:レジスタンス転換の可能性あり、38.2%戻し(29548)
・29410:50日線
※移動平均線の水準:6月26日時点
米国テク株100 日足チャート:2026年1月以降
米国テク株100 4時間足チャート:6月以降
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