米国株週間見通し:利上げ警戒もAI相場がナスダック100下支え、マイクロン決算で31000視野も
年内の米利上げ観測が急浮上するも、AI相場が米株高をけん引している。今週はマイクロン決算に注目。好決算でAI相場が続けば、ナスダック100は次の節目水準31000が視野に。株価指数「米国テク株100」の注目水準についてIG証券のアナリストが詳細に解説。
要点
- FOMCを受け年内の利上げ観測が急浮上している。しかしAI相場主導の株高が続き、ナスダック100は最高値圏の攻防を維持している。今週25日の5月米PCE価格指数でインフレ加速が示される場合は、利上げ観測を一段と強めるだろう。それでもAI相場が続くかどうかが今週の焦点の一つだ
- 今週、もう一つの焦点がマイクロン・テクノロジーの決算だ(24日)。AI相場加速の要因となれば、ナスダック100は次の節目水準31000を視野に上昇拡大が予想される。だが、同社の株価急騰を考えるならば、「ブロードコム・ショック」再来も警戒しておきたい
- 株価指数CFD「米国テク株100」の週間想定レンジは28200~32000
利上げ観測急浮上もナスダック100は最高値圏を維持
ウォーシュ新体制で初となった17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、"タカ派"と受け止められた。年内の利上げが強く意識され、先週の米債市場では金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りが一時2025年2月以来となる4.2%台へ上昇する場面が見られた。翌日物金利スワップ(OIS)市場では、早ければ9月会合で米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切る可能性を織り込む動きが見られた。
米政策金利の見通し
ブルームバーグのデータで作成 / 6月19日時点
今週25日に、FRBが金融政策の判断で重視する5月の個人消費支出(PCE)価格指数が発表される。ブルームバーグの市場予想は前年比4.1%(前回3.8%)、変動の大きい食品・エネルギーを除くコア指数も3.4%(前回3.3%)と、いずれも加速が見込まれている。インフレの再加速が確認されれば利上げ観測が一段と強まろう。
急浮上する早期の利上げ観測は、本来であれば米国株にとってリスク要因だ。しかし、先週の主要株価指数は上昇で終え2週続伸。特にナスダック100の上昇率2.6%は、他の主要指数を上回った。利上げリスクを跳ね除け、AI相場が株高をけん引し続けていることを示す動きだ。
米株価指数 週次騰落率:今年3月以降
ブルームバーグのデータで作成 / 6月19日までの動向
ブルームバーグのデータで作成
AI相場のすそ野の広がりと加速を受け、ハイテク株比率の高いナスダック100は最高値圏の攻防を維持している。
日足チャートでトレンドを確認すると、6月第1週の調整売りは28500レベルのサポート転換で止まり、先週は25日線で反発。調整相場の局面で、かえって地合いの強さが確認された。RSIは50を上回るも、買われ過ぎの水準70まで余裕がある。MACDでゴールデンクロスが確認される場合は、強気地合いが再び加速するサインとなろう。
6月3日の取引時間中に付けた高値30762を突破すれば、次の節目水準31000を視野に上昇拡大が予想される。
ナスダック100 日足チャート:今年3月以降
TradingView提供のチャート
24日引け後にマイクロン決算、AI相場の持続性を左右
24日の取引終了後に、メモリー半導体大手のマイクロン・テクノロジー(MU)が2026年3〜5月期(第3四半期)決算を発表する。前述の半導体関連銘柄のパフォーマンスチャートが示す通り、同社株は足元のAI相場をけん引する主役の一角だ。それだけに決算結果は、今週後半のAI相場とナスダック100の方向性を大きく左右する可能性がある。
ブルームバーグのコンセンサスでは、Q3売上高が前年同期比約280%増の約354億ドル、株式報酬費用を除いた調整後EPSは20.30ドルと、前年同期(1.91ドル)の約10倍に急拡大する見通しにある。3月に会社側が示したガイダンス中央値(売上高335億ドル±7.5億ドル、調整後EPS 19.15ドル±0.40ドル)を上回ることが予想される。
けん引役はDRAMだ。ブルームバーグのQ3売上高コンセンサスは前年同期比約286%増の約273億ドルと全体の約8割を占める。NANDも約254%増の約76億ドルへ拡大する見込みだ。背景にあるのは、生成AI向け広帯域メモリー(HBM)を起点とした記録的なメモリー価格の上昇だ。
しかし、市場の関心は2026年6〜8月期(第4四半期)の業績見通しに集中しよう。ブルームバーグのQ4売上高コンセンサスは前年同期比約275%増の約425億ドル、調整後EPSは24.82ドル(前年同期3.03ドル)と、一段の伸びを見込む。収益の柱であるDRAMは前年同期比約258%増の約322億ドルが予想され、AI需要がメモリー価格高を通じて収益を押し上げる見通しにある。焦点は、この強気の業績見通しを会社側のガイダンスが裏付けられるかだ。投資家の期待を上回る見通しが示されれば、マイクロン株の上昇が予想される。その流れがエヌビディア(NVDA)をはじめ他のAI・半導体株へ波及すれば、ナスダック100は強気相場の加速が見込まれる。
一方で警戒したいのが、「ブロードコム・ショック」の再来だ。6月3日のブロードコム(AVGO)決算(2026年2〜4月期)では、5~7月期のAI半導体売上高見通しが160億ドルと市場予想の172億ドルを下回り株価が急落した。その影響は他の主力株にも波及し、6月前半のナスダック100の調整売りを促した。市場の高い期待と直近の株価急騰を考えるならば、マイクロン決算でも同様の展開となる可能性がある。AI相場の調整売りが再び強まる場合は、ナスダック100もその動きに追随しよう。
マイクロン・テクノロジーの決算見通し:EPS・売上高
出所:ブルームバーグのコンセンサス(6月19日時点)
マイクロン・テクノロジーの決算見通し:各セグメントの売上高
出所:ブルームバーグのコンセンサス(6月19日時点)
米国テク株100のチャート分析、週間想定レンジ28200~32000
今週もAI相場主導の株高が続けば、ナスダック100は次の節目水準31000の攻防が視野に入ろう。
IG証券の株価指数CFD「米国テク株100」も焦点は同じだ。4時間足チャートにまとめたテクニカル指標を見ると、31000レベルはフィボナッチ・エクスパンション100%水準にある(31052)。6月3日の取引時間中の高値30760レベルの突破は、31000をトライするサインと捉えたい。
31000レベルの攻防では、この水準がサポートラインに転換するかどうかに注目したい。マイクロン・テクノロジー(MU)の決算がそのきっかけになり得る。投資家の期待に応える業績見通しを示すことができれば、同社の株価上昇が予想される。他の半導体株にも買いのすそ野が広がればAI相場の加速を受け、米国テク株100は次の節目水準32000を視野に上昇拡大が予想される。31500を一気に突破すれば、32000のトライを意識したい。
6月以降、米国テク株100のボラティリティが拡大傾向にある。上昇局面では予想外の上振れを想定し、2つのフィボナッチ・エクスパンションが重なる32000を今週の上限と想定したい(4時間足チャート)。
注目水準:レジスタンス
・32000:上限予想
・31500:32000トライを見極める水準
・31000:フィボナッチ・エクスパンション100%(31052)
・30760:6月3日高値水準(30759)
一方、マイクロン・テクノロジーの決算がAI相場の調整売り要因となれば、米国テク株100は、以下にまとめたチャート水準を視野に調整の反落を警戒したい。
焦点は29000の維持だ。テクニカル面では25日線と50日線の攻防に注目したい。いずれの移動平均線もサポート転換が確認された29800レベル、29200レベル付近で推移している(6月19日時点)。29200(50日線)の下方ブレイクは、節目水準29000をトライするサインとなろう。
マイクロン決算がブロードコム・ショック再来のトリガーとなれば、米国テク株100の29000下方ブレイクを想定したい。このケースでは下落拡大を警戒し、サポート転換が確認された28200までの下落を警戒したい。この水準を今週の下限と予想する。
注目水準:サポート
・29800:サポート転換水準、上に25日線(29850)
・29200:サポート転換水準、直下に50日線(29116)
・29000:節目水準
・28200:下限予想、サポート転換
※移動平均線の水準:6月19日時点
米国テク株100 日足チャート:今年2月以降
TradingView提供のチャート
米国テク株100 4時間足チャート:6月以降
TradingView提供のチャート
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