マイクロソフト、成長再減速見通し 30日決算 安値株価の下落加速も
マイクロソフトの2025年1-3月期決算は成長の減速が続く見通し。世界経済が混乱する中、弱気な業績見通しを示せば、株価が下落する恐れがある。

マイクロソフトが30日に発表する2025年1-3月期決算は、総収入の成長ペースが2四半期連続で前四半期から減速する見通しだ。人工知能(AI)ブームの提供基盤となっているクラウド事業は供給能力の制約で伸び悩んでおり、加速の道筋がつけられない状況。また、設備投資負担の重さも投資家に嫌気されており、利益面でも成長が停滞するとみられている。こうした中、マイクロソフトの株価は2024年7月につけた最高値から20%超下落した安値圏で推移しており、投資家の株価上昇への期待は高まっていない。アメリカのドナルド・トランプ大統領の経済運営という不確定要素がのしかかる中、マイクロソフトが30日の決算発表で業績に弱気な見通しを示せば、株価には下押し圧力がかかり続けそうだ。
マイクロソフトの2025年1-3月期決算は総収入が10.8%増の見通し
マイクロソフトはアメリカ東部時間の30日午後5時30分(日本時間31日午前6時30分)に決算会見を開く。ブルームバーグのまとめによると、マイクロソフトの1-3月期決算に関する事前予想は、総収入が前年同期比10.8%増の685.27億ドル、1株当たり利益(EPS)が9.9%増の3.23ドルと見込まれている。予想通りになれば、総収入と1株当たり利益はともに伸び率が2四半期連続で、前四半期の実績よりも小さくなる。マイクロソフトは直近22回の四半期決算のうち2回で、総収入が事前予想を超えられなかった。1株当たり利益では1回、市場予想を下回っている。

マイクロソフトの株価は一時、最高値から24%安まで値下がり
マイクロソフトの株価(MSFT)は2024年の1年間での伸び率が12.09%高にとどまり、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の中で最も悪い成績だった。2024年7月5日につけた最高値(467.56ドル)からの下落基調が続いており、2025年4月8日の354.56ドルまで24.17%安となっている。22日の終値は366.82ドルだ。

ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は22日段階で26倍程度で、前回決算(2024年10-12月期)の発表があった1月29日段階での32倍程度から、割高感が大きく和らいでいる。また、アナリストが提示する目標株価の平均は492ドルで、現状よりも34%ほど高い。72人のアナリストのうち65人は買いを推奨、7人は売りを勧めている。
クラウド事業の成長は19%で横ばい見通し 加速見込めず
マイクロソフトの成長減速が見込まれている要因は、AIブームを背景として成長を牽引するはずのウラウド事業が伸び悩んでいるからだ。ブルームバーグによると、クラウド事業の1-3月期の収入は前年同期比19%増の約263億ドルになる見通しで、前四半期から伸び率がほぼ横ばいになるとみられている。マイクロソフトはクラウド事業の現状について、AIサービスへの需要は高いものの、供給能力が追い付いていないとしており、成長加速が見込みにくい状況のようだ。

設備投資は利益の重荷に 世界経済の混乱も業績に逆風か
一方、マイクロソフトはAIサービスの供給能力を高めるため設備投資を積み増してきた。10-12月期の設備投資額は226億ドルで、総収入に対する比率は33%まで高まっている。ただ、設備投資増額は成長のために不可欠とはいえ、利益を削る側面があることは否定ない。マイクロソフトによると、2026年6月通期の設備投資額の前期比増加率は2025年6月通期よりも小さくなる見通しだが、30日の決算会見で4-6月期以降の業績について、設備投資の伸びを抑えつつ、収入の伸びを加速させるシナリオを描かなければ、株価に下押し圧力がかかる可能性がある。

また、マイクロソフトの業績をめぐっては、マクロ経済をめぐる不安要素もある。ドナルド・トランプ大統領の高関税政策などが引き起こした世界経済の不透明感はAIサービスへの需要を落としている恐れもあるほか、半導体サプライチェーンの混乱が設備投資コストの上昇や半導体不足につながる懸念も否定できないからだ。サティヤ・ナデラCEOの発言から経営環境悪化が感じられた場合も、マイクロソフトの株価にとって悪材料となる恐れがある。
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