ドル円、強まる円高圧力 日銀利上げ期待じわり 米国経済見通し焦点
ドル円相場ではベッセント氏の発言や日本の4-6月期GDPが円高要因に。15日発表の米国の7月小売売上高がさらなる円高を招く可能性もある。

ドル円相場で円高圧力が徐々に増している。ドル円相場は14日の取引では一時、1ドル=146円台前半をつけ、3週間ぶりの円高水準を記録。15日には147円台まで戻しているものの、円高の流れは残っているようだ。14日の円高はアメリカのスコット・ベッセント財務長官による日米の金融政策に関する発言が金利差縮小を招いたことが要因。また15日に発表された日本の2025年4-6月期GDP速報値は予想を上回る堅調さで、金融市場では日銀の利上げ見通しがじわじわと強まっている。一方、日銀自身は物価の動向を慎重に見極める考えで、円高が急激に進む状況にはなさそうだ。ただ、米国経済の弱さが米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを意識させれば、円高圧力が強まる可能性があり、今後のドル円相場の見通しをめぐっては、15日発表の7月小売売上高の結果が次の焦点となる。
ドル円相場は一時146円台前半 ベッセント財務長官、日銀は「後手に回っている」
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間15日午後2時17分段階で1ドル=147.12円で取引されている。ブルームバーグによると、14日午後3時30分ごろには146.21円をつけ、7月24日(145.86円)以来の円高水準を記録。145円台をうかがう値動きだった。その後、15日未明には147.96円まで円安に戻す場面もあったが、円安の流れは一服したようだ。

14日の円高はベッセント氏の日米の金融政策に対する言及が要因のひとつ。ベッセント氏は13日にブルームバーグテレビでのインタビューで、FRBが9月に0.5%利下げに踏み切る必要性に言及。同時に日銀については、植田和男総裁と話したことを明かしたうえで、利上げが「後手に回っている」とし、利上げで物価上昇を制御する必要があるとの見方を示した。これを受けて金融市場では日本の長期金利(10年物国債利回り)が上昇するとともに、米国の長期金利は低下。ブルームバーグによると、ドル円相場の背景となる日米金利差は日本時間15日午後2時17分段階で2.704%ポイントとなり、4日(2.684%ポイント)以来の小ささとなっている。

日本の4-6月期の成長率は想定以上の堅調さ 日銀の利上げへの期待は上昇
また15日朝に内閣府が発表した日本の4-6月期GDP速報値も円高要因といえる。実質成長率は前期比年率換算で1.0%となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の0.4%を大きく上回る結果。輸出が成長率を1.3%ポイント押し上げたほか、個人消費の伸び率も0.6%と堅調だった。米国のドナルド・トランプ大統領の高関税政策で不透明感が高まる中でも日本経済が堅調さを示したことは、日銀が利上げに踏み切る環境を整える材料が加わったとえいそうだ。ブルームバーグによると、赤沢亮正経済再生担当相はGDPの結果を受け、景気の緩やかな回復が確認されたとすると同時に、物価上昇継続が景気を下押しするリスクとなっているとした。

こうした中、金融市場では日銀の利上げへの期待がじわりと高まっている。ブルームバーグによると、金融市場で見込まれている12月の金融政策決定会合後の政策金利の水準は15日午後2時17分段階で0.652%で、5日につけた0.608%を底とした上昇傾向が出ている。ブルームバーグは年内利上げの確率は約69%と試算している。

一方、日銀の植田総裁は7月31日の決定会合後の記者会見で利上げを急がない姿勢をにじませていた。ドル円相場が円安になることで輸入物価が上昇し、国内物価が上がりやすくなることについても、円安が想定を超える大きさで動かない限りは問題視しないとの考えを示唆している。このため日銀の利上げへの期待が急速に高まって、円高圧力が大幅に強くなることは考えにくそうだ。
米国経済の弱さが示されれば円高加速も 7月小売売上高が次の焦点
ただしドル円相場ではトランプ関税で見通しが悪くなっている米国経済の弱さがFRBの利下げへの期待を強める形で、円高材料が提供される可能性は残る。ブルームバーグによると、7月雇用統計が市場予想を裏切る弱さだった1日のドル円相場では1日で3.35円の円高が進行。今後も米国経済への不安が高まれば、円高圧力が強まることも考えられそうだ。
こうした中、ドル円相場では米国東部時間15日午前8時30分(日本時間15日午後9時30分)に発表される7月の小売売上高が注目される。ブルームバーグがまとめた事前予想では、前月比での伸び率は0.6%となり、前月(6月)から横ばいの見通し。自動車と部品を除いたベースでは0.3%となり、6月(0.5%)からの消費減速が見込まれている。結果が予想よりも下振れた場合には、FRBが利下げで経済活動を下支えする必要性が意識され、ドル円相場で円高が進む展開も想定される。

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