円高圧力衰えず 141円台復帰の可能性 トランプ氏はドル安志向か?
ドル円相場は18日は142円台で推移。トランプ氏のFRB批判がドル安志向の現れと受け止められた。米国経済への不安も円高材料になっている。

ドル円相場での円高圧力が衰えない。ドル円相場は日本時間18日午後1時30分までの取引では1ドル=142円台前半で推移。前日には143円台をつける場面もあったが、141円台復帰をうかがう値動きとなっている。アメリカのドナルド・トランプ大統領は17日に、米連邦準備制度理事会(FRB)に利下げを促しており、トランプ氏のドル安志向が材料視されたことが円高要因となった。一方、トランプ氏の高関税政策がもたらした世界経済の不透明感は日本銀行の利上げを難しくしている側面もあり、円高要因が積み重なっているわけではない。それでも世界経済混乱への不安は安全資産としての円が買われる効果も生んでおり、ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、円高方向の動きが意識されることになりそうだ。
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ドル円相場で円高が再進行 141円台復帰をうかがう値動き
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間18日午前9時すぎに一時、1ドル=142.22円をつけた。17日朝に日米関税交渉で為替相場が議題にならなかったと伝わり、143.08円まで円安に動く流れもあったが、改めて円高圧力が強まった形だ。ブルームバーグによると、関税交渉の内容が伝わる直前には141.62円まで円高が進んでおり、足元の値動きからは141円台再突入も想定されそうだ。

トランプ氏がFRBのパウエル議長を批判 ドル安志向の現れか
再燃した円高の流れはトランプ氏の言動が要因だ。トランプ氏は日本時間17日午後7時すぎに自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、FRBのジェローム・パウエル議長について「いつでも遅すぎるし、誤りを犯す」と批判。もっと早くに政策金利を下げるべきだったとし、解任の可能性を示唆した。また、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は日本時間18日未明に、トランプ氏が3月初めの段階でパウエル氏の解任を検討していたと報じた。
トランプ氏はかねてから円や人民元を例に挙げつつ、為替相場の水準が米国の製造業に不利なドル高になっていることに不満を示してきた。トランプ氏はSNSへの投稿で原油価格の低下や、米国が関税収入で「豊かになる」ことに触れ、利下げの必要性を強調している。パウエル氏は16日のシカゴでの講演で、トランプ氏の高関税政策が物価上昇につながる可能性が高いとし、利下げを急ぐ必要がないとの立場を示唆していた。
日銀の利上げ見通しは後退 7月の確率は27%まで低下
一方、トランプ氏の動向は日銀が見据える利上げにとっては逆風といえる。トランプ氏の高関税政策は、4月3日に発動した自動車関税を含め、日本経済や世界経済を混乱させる要因。トランプ氏は9日には相互関税を一部停止しつつも、中国との対決姿勢はエスカレートさせている。日銀はこれまで物価上昇と賃上げの好循環の実現が見通しに沿って進んでいるとして利上げしてきたが、経済状況を再点検する必要性が高まっている。
こうした中、金融市場では日銀の利上げ時期の見通しが後退した。ブルームバーグによると、日銀が7月の金融政策決定会合で利上げを決めることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間18日午後1時段階で27%程度。トランプ氏が2日に相互関税の内容を発表する前には80%近い確率が見込まれていたが、利上げ期待は大きく縮小したといえる。
また、ドル円相場の値動きの背景となっている日米の金利差は横ばい傾向が続いている。ブルームバーグによると、相互関税が一部停止された9日以降、米国の長期金利(10年物国債利回り)は4.4%前後、日本の長期金利は1.3%前後で推移し、金利差は3.0%ポイント程度が維持されている。

FX市場では米国経済への不信も 「安全資産」の円やユーロが上昇
ただ、トランプ氏の高関税政策がもたらした世界経済の混乱は、震源地となった米国経済への不信も生み出している。FX市場では安全資産とみなされる円とユーロがともにドルに対して強くなっており、投資家の不安の現れといえそうだ。ブルームバーグによると、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)の17日のニューヨーク市場での終値は相互関税発表前の1日終値比で5.30%のユーロ高。円の対ドル相場でも5.04%の円高が進んでいる。

このため世界経済の混乱が日米両方の経済を冷やした場合、FX市場では円がドルよりも買われやすくなる可能性がある。ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、円高圧力が根強く残る展開も考えられそうだ。
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