ドル円、イラン戦争激化で円安急進も 159円台 為替介入の効果は?
ドル円相場は159円台後半。週初めまでの160円台からは円高に戻したが、イラン戦争を背景とした円安圧力は根強い。
ドル円相場で円安急進の可能性がくすぶっている。ドル円相場は日本時間3日午後の取引で1ドル=159円台後半で推移。前週末から週初めの取引でつけた160円台半ばからは円高に戻したものの、円安圧力の根強さを感じさせる水準だ。アメリカのドナルド・トランプ大統領が今後2-3週間、イランへの攻撃を激化させる考えを示す中、「有事のドル買い」が加速する展開が想定される。一方、日本政府は円安急進への警戒を強めており、為替介入も辞さない構え。金融市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に利上げに踏み切るとの観測が後退しており、日本政府にとって為替介入の大義名分が立ちやすい環境も生じた。ただ、このところのFX市場は円だけでなく他の主要通貨もドルに対して弱く、為替介入による円高効果の持続性には疑問符もつく。イランでの戦争の落ち着きが見通せるようになるまでは、円安急進シナリオが消えることはなさそうだ。
ドル円相場は159円台後半 イラン戦争を背景に160円-158円台の値動き
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間3日午後3時11分段階で1ドル=159.62円で取引されている。ドル円相場はイラン戦争を背景としたドル買いが進む中、前週末3月27日のニューヨーク市場で160円を突破。ブルームバーグによると、日本時間の週初め30日午前7時台には160.46円をつけ、2024年7月11日(161.76円)以来、1年8か月ぶりの円安水準となった。
ドル円相場は1日には、トランプ氏が今後2-3週間という時間軸を示して「極めて早期にイランを去ることになるだろう」と述べたことで、158.28円まで円高に振れる場面もあった。しかしトランプ氏は日本時間2日朝に伝わったホワイトハウスでの演説では、今後2-3週間はイランに対して激しい攻撃を加えるとの姿勢を強調。SNSへの投稿で示していたイランの発電所などへの攻撃を猶予するための交渉期限である「米国東部時間4月6日午後8時」に向けて、円安が加速する展開も考えられそうだ。
日本政府は円安急進を警戒 FRBの利上げ観測後退で為替介入の環境整う?
一方、日本政府は円安急進への警戒を強めている。片山さつき財務相は3日の閣議後記者会見で、為替相場について「あらゆる方面で万全の対応をとる」との立場を改めて強調した。ドル円相場が1ドル=160円を超えた30日朝には、財務省の三村淳財務官も記者団に対して「この状況が続けば、そろそろ断固たる措置も必要になる」と述べていた。日本政府は2024年7月11日、為替介入でドル円相場を161円台後半から157円台半ばまで円高方向に動かしたとみられいている。ブルームバーグのデータによると、ドル円相場は11日まで10営業日連続で取引時間中に161円台をつけていた。
また足元の金融市場の動向は1週間前に比べて、日本政府が為替介入を決断をしやすくなった側面もある。FRBのジェローム・パウエル議長が30日のハーバード大学でのイベントで、イラン戦争を要因とした原油高が物価上昇を加速させれば金融政策上の対応を迫られる可能性に触れながらも、現段階ではそうした事態には至っていないとしたためだ。FRBが利下げ姿勢を維持する中でドル円相場が円安方向に急進すれば、日本政府は経済の実態から乖離した「投機的な値動き」とみなし、為替介入の理由にすることができる。
実際、金融市場ではパウエル氏の発言前の3月26日段階では年内の利上げ確率が57%あると見込まれていたが、足元ではFRBの次の金融政策変更は利下げ方向だとみなされている。ブルームバーグによると、2日の金融市場で見込まれている12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.574%で、現状の政策金利(3.50-3.75%、中間値3.625%)よりも低くなっている。
日米金利差は再び縮小傾向 日本の長期金利は27年1か月ぶりの高さに
こうした中、ドル円相場の背景となる日米の長期金利(10年物国債利回り)の差は再び縮小してきた。ブルームバーグによると、2日終値段階での日米金利差は1.927%ポイントで、26日段階の2.142%ポイントから大きく縮小。3月9日以来の小ささとなった。米国の長期金利がパウエル氏の発言後に低下傾向となる一方、日本の長期金利は27日と2日の終値で2.380%をつけ、1999年2月5日(2.463%)以来、27年1か月ぶりの高水準となっていることが要因だ。
このため日本政府が為替介入に踏み切ったとしても、イラン戦争が続く限りは、有事のドル買いによる円安を抑え込めない可能性がある。ドル円相場の今後の見通しは引き続き、イラン戦争の動向をめぐる思惑に左右されるとみられ、円安急進の可能性も根強く残っていきそうだ。
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