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ドル円、イラン停戦で円高進行 158円台前半 円安圧力の再燃も

ドル円相場は米イラン停戦を受けて1.6円程度の円高が進行。ただ、長期的な停戦の難しさや米国内の物価上昇過熱への警戒は円安圧力といえる。

ドル円、イラン停戦で円高進行 158円台前半 円安圧力の再燃も 出所:ブルームバーグ

ドル円相場が円高に振れた。ドル円相場は日本時間8日午後の取引で1ドル=158円台前半で推移。前日のニューヨーク市場の終値から1.6円程度の円高をつける場面もあった。アメリカのドナルド・トランプ大統領がイランとの2週間の停戦に応じたためで、「有事のドル買い」の巻き戻しが起きた形だ。FX市場では円以外の主要通貨も8日の取引でドルに対して強くなっている。また8日に発表された日本の2月の毎月勤労統計で実質賃金の伸び率が2か月連続でのプラスになったことや、原油価格の下落が米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しを強めたことも円高材料となった。ただ、米国とイランの2週間の停戦の先行きには不透明感もあり、改めてホルムズ海峡をめぐる不安が再燃する恐れもある。さらにホルムズ海峡の開放後も原油価格の高止まりが続けば、FRBの利下げ見通しが後退する可能性もありそうだ。こうした中、米国では10日に3月の消費者物価指数(CPI)が発表される予定で、ドル円相場での円安が再燃する展開も考えられる。

ドル円相場は一時158.05円 前日終値から1.57円の円高

ドル円相場(USD/JPY)は日本時間8日午後5時6分段階で1ドル=158.13円で取引されている。ブルームバーグによると、午後3時台には158.05円をつけ、3月23日(158.02円)以来、2週間半ぶりの円高水準となる場面もあった。8日の円の高値は、7日のニューヨーク市場の終値との比較では1.57円の円高水準にあたる。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

米国とイランが2週間の停戦に合意 豪ドルやポンド、ユーロも対ドルで上昇

8日の円高進行はトランプ氏がイランとの2週間の停戦に応じたことが要因だ。トランプ氏は日本時間8日朝、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、イランがホルムズ海峡を開放することを条件に「イランに対する爆撃を2週間停止することに同意する」と表明した。イランのアッバス・アラグチ外相もトランプ氏の停戦受け入れを踏まえ、「2週間、ホルムズ海峡の安全な通航が可能になる」とした。

米国とイランの停戦合意を受け、8日のFX市場では、2月28日のイスラエルと米国によるイラン攻撃以降続いてきた有事のドル買いが巻き戻されている。ブルームバーグによると、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)は日本時間8日午後5時6分段階で、前日のニューヨーク市場終値と比べて1.23%の豪ドル高。ポンドの対ドル相場(GBP/USD)は1.03%のポンド高、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)は0.88%のユーロ高となっている。円の対ドル相場が0.94%の円高に振れていることと合わせて、主要通貨がそろってドルに対して買われている形だ。

円、ポンド、豪ドル、ユーロの対ドル相場の推移のグラフ

日本の実質賃金は2カ月連続で上昇 日銀の4月利上げ確率は55%に

また8日の金融市場では日本経済に関する円高材料も浮上した。厚生労働省が発表した2月の毎月勤労統計(速報値)で、実質賃金の伸び率が前年同月比1.9%増となり、1月(改定値)の0.7%増に続く、賃金水準の高まりが確認されたためだ。ブルームバーグによると、8日午後5時6分の金融市場で見込まれている4月27、28日の金融政策決定会合後の政策金利の水準は0.867%まで上昇し、利上げ確率は55%まで上がった。日銀の植田和男総裁は3月19日の金融政策決定会合後の記者会見で、賃金と物価がともに緩やかに上昇してく流れが維持されているとの見方を示し、利上げ姿勢を維持していた。

日銀の政策金利の見通しの推移のグラフ

同時に米国とイランが2週間の停戦に合意したことは原油価格を下落させており、米国内の物価上昇圧力の弱まりが、FRBの利下げを後押しするとの見方も広がった。ブルームバーグによると、金融市場で見込まれている12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は日本時間8日午後5時6分段階で3.496%で、1回の利下げが行われる確率は55%。前日の27%から利下げ見通しが強まっており、ドル円相場での円高圧力といえる。

FRBの政策金利の見通しの推移のグラフ

米国とイランの停戦合意に不透明感 原油価格高止まりならFRBの利下げ期待後退も

ただ、米国とイランの停戦合意の持続性には疑問符もつく。イランのタスニム通信によると、停戦期間中の協議のたたき台になるイランが示した10項目の提案の中には、イランによるホルムズ海峡の管理やウラン濃縮の継続など、米国がこれまで反対してきた内容が含まれている。このため2週間の協議の間に改めて両国間の立場の違いが表面化し、ホルムズ海峡をめぐる緊張感がドル買いにつながる展開も否定できない。

さらに仮にホルムズ海峡の封鎖が解除されたとしても、産油国の原油生産の回復に時間がかかれば、原油価格が今後も高止まりを続ける可能性もある。この場合はFRBの利下げへの期待が改めて後退することも考えられる。

10日発表の3月CPIは総合指数の伸び率が3.4%の見通し 上振れなら円安再燃も

こうした中、米国では10日午前8時30分(日本時間10日午後9時30分)に3月CPIが発表される予定。ブルームバーグがまとめた事前予想では総合指数の伸び率が3.4%となって2024年4月(3.4%)以来の高水準となる見通し。食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は2.7%となり、総合指数の伸び率を下回ると予想されているが、それでも前月(2月)の2.5%やFRBが目標とする2%を大きく上回る水準だ。

アメリカの消費者物価指数の伸び率の推移のグラフ

実際に発表される3月CPIの伸び率が市場予想を大きく超えた場合、米国の物価上昇の過熱感が意識される可能性がある。米国とイランの長期的な和平に向けた道のりの険しさと合わせて、3月CPIが今後のドル円相場を円安方向に動きやすくすることも考えられる。


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