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JPモルガン 金融不安前の株価を回復 シティなども好決算 景気には懸念

JPモルガンの2023年1-3月期決算が好感され、株価は7.6%上昇した。FRBの利上げが背景にあるが、景気の先行きへの懸念もふくらむ。

出所:ブルームバーグ

3月に金融不安が拡大した米国で大手銀行の経営状態の安定性が示された。米大手銀行のJPモルガン・チェースが14日に発表した2023年1-3月期決算は総収入、1株当たり利益ともに市場予想を大きく上回る好決算。JPモルガンの株価は前日比7.6%高となり、不安拡大前の水準を回復した。好調な業績は米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを進める中で、金利収益が大きく伸びたことが要因だ。同じ大手銀行のシティグループとウェルズ・ファーゴもそれぞれ好決算を発表している。ただし米国経済の今後の先行きは金融システムへの不安で不透明さを増しており、経営陣からは景気後退の可能性を懸念する声も出ている。

JPモルガン決算、市場予想を大きく上回る

JPモルガンの決算は総収入が前年同期比24.5%増の393億ドル、1株当たり利益は55.9%増の4.10ドルだった。金融情報会社リフィニティブによると、総収入は直前の市場予想を8.7%上回り、1株当たり利益も予想を20.9%上回った。JPモルガンの14日の株価(チャート)は前日終値から10ドル近く高い138.73ドルで取引を終え、金融不安拡大の3月7日の水準を回復した。

好決算の原動力となったのは金利収益だ。1-3月期の金利収益は前年同期の約1.5倍にあたる207億ドル。FRBの利上げが市場金利の上昇につながったことで、融資の際の金利を高く設定することができたうえ、預金に支払う利息などのコストは大きく上がらなかったことなどが理由だ。一方、投資銀行事業における手数料収入は債券引受業務が減ったことなどから減少。住宅ローン業務の手数料収入も減った。

また14日にはシティグループとウェルズ・ファーゴも2023年1-3月期決算を発表した。いずれも増収増益の好決算で、シティグループの株価(チャート)は4.8%値上がりした。ウェルズ・ファーゴの株価(チャート)は0.05%値下がりした。

ダイモンCEO、「嵐の予兆」は消えていない

米国では3月10日にシリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻した。市場金利の上昇で保有する債券の価値が下がったことで巨額の損失が発生し、経営が不安視され、預金の引き出しが殺到したことが原因だった。その後、シグネチャーバンクも経営破綻したことから、金融システム全体への不安が高まり、JPモルガンなどの大手銀行も含めて金融業界全体の株価が下落する事態となっていた。今回の決算は大手銀行の経営への不安を払拭する内容だったといえる。

ただし金融不安をきっかけに米国経済の先行き不透明感は強まった。FRBは物価上昇を抑え込むための利上げを進めながら、景気後退リスクも注視せざるを得ない状況だ。また、3月下旬には銀行融資の残高が減少するなど、金融機関が個人や企業への貸し出しに慎重になっている様子もうかがえる。今後、経済活動が落ち込んでいけば、資金需要が減るなどして、銀行の業績に逆風となる可能性もある。

JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは決算発表に際してのコメントで「嵐の予兆」は消えていないと指摘。金融システムは全体として健全であることに触れつつ、「貸し手がより慎重になる中で、貸し出しをめぐる状況は絞り込まれていくだろう。このことが消費に与える影響は見通せない」と言及し、景気の先行きに警戒感を示した。シティグループのジェーン・フレイザーCEOも決算説明会で「米国は今年中に緩やかな景気後退に入る可能性が高くなった」と話している。


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