金価格見通し:米利上げ観測急浮上、ドル高加速で節目4000ドル割れも
金価格の週間見通し。利上げ観測の高まりを受け外為市場では米ドル高が進行。金価格は弱気地合いが鮮明に。5月米PCE価格指数でインフレ加速となれば、心理的節目4000ドル割れを警戒。反発しても上値は限定的となることが予想される。週間想定レンジは3900~4355ドル。
要点
- “タカ派”のFOMCを受け米利上げ観測が急浮上。外為市場では米ドル高が進行し、金価格は弱気地合いが鮮明となってきた。主要なテクニカルラインに上値を抑えられ、RSIとMACDも弱含み。今週の金価格も下値トライを意識したい
- 今週の注目材料は25日の5月米PCE価格指数。インフレ加速が示されれば利上げ観測が一段と強まろう。「米ドル高の加速→金価格の下落拡大」を警戒したい
- 週間想定レンジは3900~4355ドル。心理的節目4000ドルの下方ブレイクを警戒。買い戻しが入っても、4355ドル付近までの戻りが限界か
金価格、弱気地合いが鮮明に
金価格(XAU/USD)は、中東の地政学リスクが意識された3月以来となる3週続落で、弱気地合いが次第に鮮明となっている。
金価格 週次騰落率:2026年2月以降
ブルームバーグの価格データで作成
日足チャートでトレンドを確認すると、主要な移動平均線(21日線・50日線・200日線)で相場の戻りが止められ、RSIは50を、MACDはゼロラインをそれぞれ下回っている。3月の急落を止めた重要ライン4100ドル(3月23日安値)、そして直近6月11日の安値4024ドルが視野に入る。
金価格 日足チャート:2025年10月以降
TradingView提供のチャート
米利上げ観測急浮上、PCE価格指数で米ドル高加速を警戒
金価格を取り巻く最大の逆風は、年内の米利上げ観測が急浮上していることだ。
先週17日に米連邦準備制度理事会(FRB)は、ウォーシュ新体制下での初の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開いた。経済見通し(SEP)では、2026年のPCEインフレ率(コア)予想中央値が3.3%と、3月時点の2.7%から0.6ポイントも上方にシフトした。一方、フェデラルファンドレート(FFレート)の予想中央値は、3月時点の予想3.4%から3.8%へ上方にシフトし利下げ観測が完全に後退。年内の利上げを想定する状況に急転している。外為市場では米ドル高が進行し、金価格には売り圧力が強まっている。
ドル指数と金価格 1時間足チャート:5月以降
TradingView提供のチャート
今週の注目材料は、25日に発表される5月の米個人消費支出(PCE)価格指数だ。5月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)ではインフレ加速が示されており、FRBが重視するPCE価格指数でも同じ結果が確認されれば、利上げ観測はさらに強まる公算が大きい。
本来であれば、インフレの高進は金の支援材料だ。しかし今の局面では、利上げ観測による米金利の上昇・高止まりと、それに伴うドル高の影響が上回る。そのため、PCE価格指数でインフレ懸念が強まる場合、金価格は下落拡大を警戒したい。
米個人消費支出価格指数の動向:過去1年間
ブルームバーグのデータで作成 / 赤棒グラフ・ドット:5月の市場予想(6/19時点)
金価格のチャート分析、週間想定レンジ3900~4355ドル
2025年以降、金価格のボラティリティは高い水準で推移している。足元の予想変動率(1ヶ月)はピークから低下し、平均(19.78%)に近づきつつあるが、なお21%台と平均を上回る(6月19日時点)。弱気地合いが鮮明となるなか、5月PCE価格指数が米ドル高を加速させれば、金価格の下落拡大が予想される。
金価格の予想変動率 日次:2025年以降
ブルームバーグのデータで作成 / 予想変動率:1ヶ月(年率換算)
今週も金価格が下値を目指す場合、最初の焦点は、3月の急落相場を止めた4100ドル(4098ドル)の維持だ。この水準を下方ブレイクすれば、6月11日の安値4024ドルが次の下値ターゲットとなる。4024ドルの下方ブレイクは、4000ドルをトライするサインと捉えたい。
金価格が4000ドルを割り込めば、昨年10月にサポート転換が確認された3900ドルを今週の下限と想定し、この水準を維持できるかを確認したい。
注目水準:サポート
・4100ドル:3月23日安値(4098ドル)
・4024ドル:6月11日安値
・4000ドル:心理的節目
・3900ドル:下限予想、サポート転換の水準
一方、米ドル高の調整局面では金価格の反発が予想される。ただし、年内の利上げ観測が急浮上し米ドル高が進行しやすい今の局面では、戻りは限定的となろう。まずは4200ドル、4300ドルと各節目の攻防に注目したい。
5月下旬以降、レジスタンスラインとして相場の戻りを止めている21日線が、フィボナッチ・リトレースメント38.2%水準(4355ドル)まで低下している。今週は、重要テクニカルラインが重なる4355ドルまでの反発が限界と予想する。
筆者の想定を超えて金価格が4355ドルを上方ブレイクする場合は、半値戻しの水準にあたる4450ドル付近が次の上値ターゲットとなろう。テクニカル面での焦点は、200日線がレジスタンスラインに転換するかどうかにある。
注目水準:レジスタンス
・4450ドル:200日線(4443ドル)、半値戻し(4457ドル)
・4355ドル:上限予想、38.2%戻し、21日線(4363ドル)
・4300ドル:節目水準
・4200ドル:節目水準
【再掲】金価格 日足チャート:2025年10月以降
TradingView提供のチャート
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