金価格 見通し(4/21):中東相場の先を見据える市場、50日線突破なら上昇拡大も
IG証券のアナリストによる金価格の見通し。米イラン停戦には不透明感が漂うも、市場は「中東相場」の先を見据えて動き始めている。50日線突破なら5000ドル視野に上昇拡大も。一方、反落局面では4600ドルの維持が焦点に。
要点
- 中東情勢は依然として不透明も、原油価格、米債市場そして米ドルの動きは、「中東相場」の先を市場が見据え始めていることを示唆している
- 今週の金価格は、米イラン停戦期限(日本時間23日午前)の延長可否で動くことが予想される。加えて3月小売売上高や4月PMI速報値など米経済指標が相次ぐ。FRBの利下げ観測を巡る米金利・米ドルの動きも金価格の変動要因となろう
- 金価格が上値を目指す局面では、50日線の攻防に注目したい。突破すれば一目雲の下限4940ドルを経て、心理的節目5000ドルのトライが現実味を帯びる。中東不安の再燃で反落する場合は、サポートラインに転換した4600ドルの維持が焦点となろう
米イラン停戦は不透明も「中東相場」の先を見据え始める市場
米国とイランの和平協議は難航し、ホルムズ海峡では混乱が続いている。トランプ米大統領は20日、2週間の停戦期限を延長する可能性は低いと述べた。停戦期限については、米東部時間22日夕方(日本時間23日午前)との認識を示した。
しかし、中東不安が続く中でもWTI原油先物価格の上昇には一服感が漂い、期先の価格が期近の価格を下回るバックワーデーションにある。ブレント原油先物価格も同じ状況にある。
米債市場と米ドルの動きにも注目したい。「原油高→インフレ再燃」が警戒され、米国の10年国債利回りは一時4.5%手前まで上昇する場面が見られた。イラン戦争が始まる前は4.0%を割り込む場面があった。
しかし、原油価格が高止まりする中でも米10年国債利回りはいち早く低下基調へ転じている。この動きに連動し、外為市場では「有事のドル買い」が失速。米ドルのトレンドを示すドル指数(DXY)は低下基調へ転じている(下のチャートを参照)。
各市場はすでに中東相場の先を見据えて動いており、この状況は金価格の下支え要因となろう。
米10年国債利回りとドル指数 1時間足チャート:3月以降
金ETFへの資金流入続く
ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、金ETFへの資金流入が続いている。米国とイスラエルがイラン攻撃に踏み切って以降、初めて3週連続の流入超となった。前述した各市場の動きに加えて、金ETFへの資金流入が続く状況もまた、「中東相場」の先を見据えて市場参加者が動き始めていることを示唆している。
金ETF 週次資金フロー:2026年1月以降、4月17日の週まで
米利下げ見通し不透明、経済指標に注目
金価格のトレンドを日足チャートで確認すると、下降のトレンドチャネル内で推移する状況が続いている。一方、3月下旬から短期サポートラインが形成されている。「中東相場」の先を見据えた動きは、日足チャートからもうかがえる。
しかし、50日線がレジスタンスラインとして意識され反発が止められている。MACDは依然としてゼロラインを下回り、RSIは50前後で推移している。地合いの弱さは後退したが、強さも戻らず方向感のない状況にある。言い換えれば、現在の金相場は上昇トレンドへ回帰できるかどうかの分岐点にあるとも言える。
金価格 日足チャート:2026年1月以降
金価格の新たなトレンド発生を左右する要因として注目したいのが、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策方針を左右する米経済指標だ。
FRBは今後、インフレ抑制と景気下支えの板挟みに陥り、利下げ判断で厳しい状況に追い込まれる可能性がある。翌日物金利スワップ(OIS)市場では、今年12月のターミナルレートが3.5%前後と見込まれており、今後の情勢次第では利下げ見送りの可能性もくすぶる。
米利下げ観測を左右する直近のインフレ指標では、消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、そしてFRBが注視するPCE価格指数のコアインフレ率は、いずれも目標水準の2%前後を上回る状況が続き、インフレの粘着性が問題となっている。しかし、中東の地政学リスクを受けてもなお、3月のCPIとPPIは市場予想の範囲内に収まった。現状では、2022年のようにインフレが急伸する状況には陥っていない。
米国 コアインフレ率の推移(前年同月比):2020年以降
また、1年と2年のブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は低下へ転じている。5年と10年BEIの上昇が抑制されている状況も踏まえれば、現在はインフレ再燃を警戒しつつも景気動向に注意が向きやすい状況にある。前述の米長期金利の低下は、この点を意識して動いている可能性がある。
米国BEIの動向:2026年1月以降
20日に配信したIG週間為替レポートで述べた通り、本日は3月小売売上高がある。国内総生産(GDP)の算出に使用されるコントロール・グループは前月比0.2%増と伸びが抑制される見通しだ。米国経済を支える個人消費の落ち込みが確認される場合は、「米金利の低下→米ドル安」を受け、金価格の上値トライを想定したい。
小売売上高の他に、23日の週次新規失業保険申請件数と4月購買担当者景気指数(PMI)速報値、24日のミシガン大学期待インフレ率確報値も材料視される可能性がある。
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50日線の攻防
金価格が現在の反発トレンドを維持する場合、目先の焦点は17日に相場の上昇を止めた50日線の攻防となろう。半値戻しの水準4848ドルの突破は50日線をトライするサインと捉えたい。
金価格が50日線を突破すれば、次は一目雲の攻防が視野に入る。まずは雲の下限が推移する4940ドルの攻防に注目したい。雲の攻防となれば、心理的節目の水準5000ドルのトライが視野に入る。この水準を今週24日までの上限と想定したい。
トランプ米大統領は20日、米ブルームバーグ通信の電話取材に対して、2週間の停戦を延長する可能性は低いと述べた。しかし、過去の経緯を踏まえれば、延長の可能性は否定できない。中東懸念がさらに後退する場合は、5000ドルの突破とフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準5025ドルのトライを想定したい。このテクニカルラインは、3月にサポートからレジスタンスに転換した経緯がある(日足チャート、緑矢印を参照)。
注目のチャート水準:レジスタンス
・5025ドル:61.8%戻し
・5000ドル:心理的節目の水準
・4940ドル:雲の下限
・4891ドル:50日線
・4848ドル:半値戻し
4600ドルの維持
米イランの和平協議は難航している。停戦期限(米東部時間22日夕方・日本時間23日午前)が延長されず米国とイスラエルのイラン攻撃が続く場合は、金価格の重石となろう。
しかし、前述の市場動向を踏まえれば、3月のような急落相場となる可能性は低いと見られる。
金価格が下値を目指す場合は、サポートラインに転換した4600ドルの維持が焦点となろう。この水準を目指すサインとして、4700ドル付近で推移している短期サポートライン、および8日以降、金相場をサポートする場面が見られた20日線の攻防に注目したい。20日線の下方ブレイクは、4600ドルをトライするサインとなろう。
注目のチャート水準:サポート
・4700ドル:短期サポートライン
・4685ドル:20日線
・4600ドル:下限予想
【再掲】金価格 日足チャート:2026年1月以降
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