【金価格】2026年は「荒れ相場」か、目先は最高値更新が焦点に
IG証券のアナリストによる金価格の2026年展望。今年は「荒れ相場」を警戒。目先の焦点は最高値の更新。注目のチャート水準について。
要点
- 2025年の金価格は年間65%上昇し、1979年以来の大幅高を記録。一方で昨年10月には11%急落し、12月末のCME証拠金引き上げ時にも下落幅が拡大するなど投機色が強まった。2026年は「荒れ相場」を警戒したい
- 荒れ相場の要因として注目したいのが、国際政治の不透明感を意識した各国中銀の持続的な金購入と米国のインフレ動向だ。いずれも金価格の上昇要因だが、米国のインフレリスクが意識されFRBの利下げ期待が急速に後退すれば、金急落の要因になり得る
- 今日以降も金価格が強気相場を維持すれば、最高値4550ドルの突破を意識したい。次のターゲットは4600ドル。一方、下値は4350ドルの維持が焦点となろう。今週、金価格の下落要因になり得るのが米雇用指標だ
投機色を強める金
2025年は金(ゴールド)にとって歴史的な年となった。スポット価格(以下金価格)の年間上昇率は約65%。ブルームバーグの価格データによれば、1979年以来の大幅高で終えた。
金価格の年間変動率:1976年以降
ブルームバーグの価格データを基に作成
CMEグループは昨年12月26日と30日、貴金属の先物取引に必要な証拠金を引き上げた。12月29日の取引で金価格は4%超急落。31日の取引では4300ドルを一時ブレイクし、4274ドルまで下落する局面が見られた。昨年10月下旬も高値4381ドル(10/20)から安値3886ドル(10/28)まで11%急落する局面が見られた。
歴史的な急騰と下落拡大が交錯した2025年の動きは、金(ゴールド)が投機色を強めたことを示唆した。
2026年は、その傾向が一層強まることが予想される。この点を示唆したのが5日の急反発だ。1月3日にトランプ米大統領がベネズエラに攻撃を実施。5日の取引スタートから金価格は買い優勢となり、昨年末のCMEショック時の急落から一転4450ドルへ急反発した。
金価格の1時間足チャート:昨年12月26日~今年1月5日
出所:IGチャート
2026年は「荒れ相場」を警戒
2026年も金価格の投機的な上昇が予想される。その要因の一つが、不透明感がさらに増している国際政治情勢だ。
米国によるベネズエラの攻撃は、米国と対立する国々の金購入を促すだろう。特に中国は持続的に金を購入することが予想される。中国と同じBRICSの構成国であるブラジルは昨年、関税交渉とルラ現大統領の政敵であるボルソナロ氏の処遇を巡り米国と対立。国際調査機関のワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によれば、同国の中央銀行は4年ぶりに金の購入を再開したという。
米国との関係が悪化している国々の中銀が金を購入し続けるとの思惑は、市場参加者の強気姿勢を促そう。時に投機的な買いの要因にもなり得る。
国際政治情勢以外で筆者が注視しているのが、米国のインフレだ。5日のIG為替レポートで指摘したとおり、2026年の米FRBの政策姿勢はインフレに左右されると考えられるからだ。米利下げパスは金価格のトレンドに大きな影響を与えるだろう。
関連レポート
・【為替】2026年の見通しと焦点、ドル円の週間展望
昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見でパウエルFRB議長は、トランプ関税がインフレに与える影響は一時的との見方を示す一方、持続的なインフレ問題にならないよう注視する姿勢を示した。経済協力開発機構(OECD)は昨年12月の経済見通し※で、米国のインフレは2026年半ばにピークを迎えた後に低下すると予想している。
※OECD Economic Outlook, Volume 2025 Issue 2
消費者物価指数(CPI)とPCE価格指数は、変動の大きいエネルギーと食品を除いたコア指数を含めて物価目標の2%を上回る水準で下げ止まっている。パウエルFRB議長は、物価目標からの超過の大部分は関税の影響と指摘。ゆえに注視すべきは、関税によるインフレの粘着性が長引く場合だ。
米国のインフレ率:2020年以降
ブルームバーグのデータを基に作成
インフレは金価格の上昇要因となる一方、米利下げ期待を急速に後退させる要因にもなり得る。後者の点が意識される場合は、米金利の上昇と米ドル高が予想される。これら市場の動きは、金価格の下落要因となろう。
前述の通り金は投機色を強めている。上昇拡大の局面で米利下げ期待の後退観測が強まれば、昨年かそれ以上の急落相場に直面する可能性がある。今年は上下に大きく振れる「荒れ相場」を警戒したい。
金価格 目先の展望とテクニカル分析
展望
2026年の金価格も強気相場がメインシナリオとなろう。5日の取引で前週末比100ドル超上昇した動きは、金価格の地合いの強さを物語る。目下の焦点は、最高値4550ドルの攻防だ。この水準を完全に上方ブレイクする場合は、各節目の水準の攻防を見極める展開となろう。まずは4600ドルのトライを確認したい。
一方、下値トライの局面では4300ドルの維持が焦点となろう。4350ドルはサポートラインに転換する兆しが見られる。4300ドルではサポート転換が確認された。
チャートポイント:上昇局面
今日以降も金価格が強気相場を維持する場合は、昨日の上昇を止めた4450ドル、直近の高値と安値のフィボナッチ・リトレースメント76.4%水準4480ドルの突破を確認したい。後者のテクニカルラインの突破は、4500ドル台へ再上昇するサインと捉えたい。
金価格が4500ドル台へしっかりと上昇する場合は、昨年12月に付けた最高値4550ドルのトライが視野に入る。1時間足チャートのフィボナッチ・エクステンション161.8%水準4522ドルの突破は、4550ドルをトライするサインと捉えたい。
今年の金価格はボラティリティの拡大が予想される。4550ドルをも突破すれば、4600ドルを視野に上昇拡大を想定したい。この水準を今週9日までの上限と予想する。
・4600ドル:上限予想
・4550ドル:最高値
・4522ドル:フィボナッチ・エクステンション161.8%
・4500ドル:レジスタンスライン
・4480ドル:76.4%戻し
・4450ドル:昨日の高値レベル
チャートポイント:下落局面
金価格の下落局面では、以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。4350ドルがサポートラインに転換する兆しが見られる。この水準を今週9日までの下限と予想する。
10日線、日足チャートのフィボナッチ・リトレースメント23.6%水準4392ドル、20日線が密集する4390ドル台の下方ブレイクは、4350ドルをトライするサインとなろう。
今週、金価格の下落要因として注視したいのが、米雇用関連指標だ。特に9日の雇用統計(昨年12月分)が予想以上に強い内容となれば、「利下げ期待の後退→米金利の上昇→米ドル高」を受け、金価格には売り圧力が強まることが予想される。
金価格は投機色を強めている。想定を超えて4350ドルを下方ブレイクする場合は、サポート転換が確認された4300ドルまで下落する可能性があろう。この水準は、フィボナッチ・リトレースメント38.2%水準(4296ドル)でもある。
・4397ドル:10日線
・4395ドル:20日線
・4392ドル:23.6%戻し
・4350ドル:下限予想
・4300ドル:サポート転換の水準、38.2%戻し
金価格の1時間足チャート:昨年12月下旬以降
TradingView提供のチャート
金価格の日足チャート:昨年10月以降
TradingView提供のチャート
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