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金価格見通し(12/2): 強気地合いも米指標で調整売り警戒、予想レンジ4120~4350ドル

金価格の短期見通し。12月の米利下げを意識し強気地合いを維持。米経済指標次第では調整売り警戒。注目のチャート水準についてIG証券のアナリストが詳細に解説。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

要点

  • 金価格は米利下げ期待を背景に騰勢を強め、11月は約6%上昇した。1日の取引でも4200ドル台で底堅さを維持した
  • 今週は米経済指標をにらんだ展開が予想される。雇用とインフレの指標が変動要因となろう
  • 今週5日までの予想レンジは4120ドル~4350ドル


金価格 米利下げ期待で騰勢強まる

金価格が騰勢を強めている。11月の上昇率は6%に迫り、4か月連続の上昇で終えた。1日の取引では売り買いが交錯し小動きとなったが、4220ドルでサポートされ底堅さを維持した。

金価格 月間変動率:年初来

金価格 月間変動率:年初来

ブルームバーグの価格データで作成

金価格の上昇が拡大した主因は、米利下げ観測の再燃にある。先月21日にニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が「近い将来」の利下げに言及。翌日物金利スワップ(OIS)市場では12月の利下げ確率が一気に90%前後まで跳ね上がる状況が見られた。レポート掲載時点でも90%前後の確率で利下げを織り込んでいる。

利下げ観測の再燃で先週は米金利が低下。米金利の低下は米ドル安を促した。先週(24日~28日)の金価格は4.3%高と、10月13日~17日週以来の大幅高となり、前述の11月上昇相場を支えた。

金価格 週間変動率:今年8月以降

金価格 週間変動率:今年8月以降

米経済指標次第で調整売りも

IG週間為替レポートやIG米国レポートで述べた通り、今週は米経済指標が米金利と米ドルの変動要因になり得る。金価格も同じく米経済指標にらみの展開が予想される。

IG週間為替レポート
ドル円 週間見通し(12/1~5): 154.50~158.00予想、12月利下げ織り込み焦点は米経済指標に

IG米国株レポート
米国株週間見通し(12/1~5):S&P500反発も経済指標を警戒、PCE価格指数に注目

米供給管理協会(ISM)が発表した11月ISM製造業景気指数は48.2と前月の48.7から縮小した。新規受注が49.4から47.4へ落ち込む一方、雇用も46.0から44.0へ悪化した。

3日以降、雇用関連の経済指標や11月ISM非製造業景気指数、9月PCE価格指数と重要指標の発表が続く。注目は、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策に影響を与える雇用指標とPCE価格指数だ。労働市場の減速とインフレ抑制が確認される場合、金価格は次の節目水準4300ドルを視野に上昇拡大が予想される。

一方、労働市場の底堅さとインフレの粘着性が示される場合は、金価格の調整売り要因となろう。すでに12月の米利下げは各市場で織り込まれている。来週9日~10日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えていることも考えるならば、米経済指標が金利と米ドルの反発を促す場合は、特に週後半の調整売りを警戒したい。


金価格の短期展望とチャート分析

短期展望
金価格は4200ドル台で底固めのムードが漂う。米利下げ期待と景気不安で強気地合いを維持すれば、4300ドルのトライが視野に入る。

だが、金ETFへの資金流入は限定的である。ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめた週間の資金フローデータによれば、先週は8億ドル程度の流入にとどまった。来週にFOMCを控えていることも考えるならば、米経済指標次第で上昇が抑制されるだろう。下値の焦点は、4100ドル台の維持となろう。

金ETFの資金フロー:今年4月以降

金ETFの資金フロー:今年4月以降

ブルームバーグ・インテリジェンスのデータで作成 / 週間ベース

上限:4350ドル
今週も金価格が強気地合いを維持する場合は、4300ドルのトライが視野に入ろう。

1日の取引では、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の4264ドルがレジスタンスラインとして意識された。日足ローソク足の上ヒゲは、この水準での売り圧力の強さを示唆している。ゆえに、このテクニカルラインを突破すれば、4300ドルを視野に上昇拡大が予想される。

今週、金価格が4300ドル台へ上昇する場合は、フィボナッチ・エクステンション100%の水準4356ドルを目指す可能性が出てくる。10月20日と21日の取引では、日足ローソク足の実体ベースで4356ドル付近がレジスタンスラインとなった。

4356ドルを突破すれば、10月に付けた最高値4381ドルが視野に入る。だが来週にFOMCを控えていること、12月の利下げ観測が再燃しても連続利下げの思惑が高まっていない状況も考えるならば、最高値のトライはFOMCを見極めてからになると予想する。4356ドルの直下の水準4350ドルを今週5日までの上限と予想する。

・4381ドル:10月20日の高値(日足)
・4356ドル:フィボナッチ・エクステンション100%(日足)
・4350ドル:上限(予想)
・4300ドル:レジスタンスライン(4時間足)
・4264ドル:フィボナッチ・リトレースメント76.4%(日足)

下限:4120ドル
4時間足チャートのストキャスティクスRSIは買われ過ぎの水準でデッドクロスに転じ、短期の過熱感を意識する動きが見られる。前述の米経済指標が米金利の反発と米ドルの買い戻しを促す場合、金価格は4時間足チャートにまとめたサポートラインの攻防に注目したい。

最初の焦点は、4200ドルの維持だ。4207ドルは直近の高値と安値のフィボナッチ・リトレースメント23.6%戻しにあたる。直下には5日線が上昇している。テクニカルの面で4200ドルはサポートラインとして意識されやすい局面にある。昨日、相場を支えた4220ドルの下方ブレイクは、4200ドルをトライするサインと考えたい。

4100ドル台へ反落する場合は、4170ドルの攻防に注目したい。4172ドルはフィボナッチ・リトレースメント38.2%にあたる。また、4170ドルはレジスタンスラインからサポートラインに転換する可能性がある(4時間足チャート、青矢印を参照)。

金価格が4170ドルを下方ブレイクする場合は、半値戻しにあたる4140ドルと4120ドルの攻防を意識したい。先月19日の取引では4140ドルの手前で反落した。4170ドルと同じくサポート転換の可能性がある。4120ドルは先月2日の取引で金価格をサポートした。現在の価格から約100ドル下の4120ドルを今週5日までの下限と予想する。

・4220ドル:サポートライン(4時間足)
・4200ドル:直下に5日線(日足)、23.6%戻し(4時間足)
・4170ドル:38.2%戻し(4時間足)
・4140ドル:半値戻し(4時間足)
・4120ドル:下限(予想)


金価格の日足チャート:10月以降

金価格の日足チャート:10月以降

TradingView提供のチャート

金価格の4時間足チャート:11月下旬以降

金価格の4時間足チャート:11月下旬以降

TradingView提供のチャート


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