金価格見通し:FRB利上げが新たな焦点に、米雇用統計を警戒、200日線と50日線の攻防注視
金価格の短期見通し。米イラン協議の先行き不透明強まる。FRB利上げ観測も重石に。金価格は下値トライを警戒する状況が続こう。下値は4400ドルと200日線の維持が焦点に。上値は50日線のトライが焦点に。
要点
- 金価格は3ヶ月続落で弱気地合いにある。米イラン停戦協議の不透明感が強まる中、今後はFRBの利上げ観測も相場の重石となろう
- イラン戦争以降、主要な金ETFへの資金流出が続いている。4月下旬以降、流出超が続く状況は、市場参加者が米利上げを金の新たなリスク要因として意識していることを示唆している
- 目先の金価格は4300~4630ドルのレンジを想定し、下値の焦点200日線と上値の焦点50日線、どちらをブレイクするかが焦点となろう
金価格3ヶ月続落、弱気地合い鮮明に
5月の金価格は1.7%安で終えた。イラン戦争勃発以降、3ヶ月連続の下落となり弱気地合いが鮮明となっている。
相場の重石となっているのが、米イランの停戦協議をめぐる不透明感だ。イランのタスニム通信は1日、イスラエルによるレバノンでのヒズボラへの地上作戦拡大に抗議し、イランの交渉チームが仲介者を介した米国との協議を停止すると報じた。これを受けて「中東懸念→米ドル高→金売り」のパターンが再燃し、同日の金価格は下落した。
トランプ米大統領はイランとの交渉について「急速なペースで進んでいる」と述べたが、合意案で修正を要求しているとの情報も流れており、先行きは依然として不透明だ。
今後、米国とイランの停戦協議で前進が見られる場合は金価格の押し上げ要因となろう。しかし、その動きは一過性で終わることを想定しておきたい。年内の米利上げ観測が台頭しているからだ。
金価格 月次騰落率:2025年以降
ブルームバーグのデータで作成
米利上げ観測急浮上、金の新たなリスク要因に
年内の米利上げ観測が急浮上している。5月22日時点での翌日物金利スワップ(OIS)市場では、今年12月までの利上げを完全に織り込む状況が見られた。先週は米イラン停戦合意の期待が高まり、利上げ確率が60%を割り込んだ。
しかし、この利上げ観測が後退する可能性は低いだろう。米国とイランが停戦で合意しても、すぐにエネルギー施設の稼働と輸送がイラン戦争前の状態に戻るわけではない。イスラエルの強硬姿勢も踏まえれば、今後も中東リスクがくすぶるだろう。各市場の参加者はインフレリスクを意識せざるを得ない状況が続こう。
今週は重要な米経済指標の発表が相次ぐ。注目は5日の雇用統計だ。インフレリスクが意識される中で労働市場の底堅さも確認される場合は、年内利上げの観測が強まるだろう。利上げ観測は金価格の売り要因として意識しておきたい。
米雇用統計 各項目の動向:過去1年間
ブルームバーグのデータで作成 / 赤棒グラフ・ドット:5月予想(レポート掲載時点)
主要な金ETFの資金フローも、金価格の弱気地合いが続く可能性を示唆している。
ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめた週次の資金フローデータによれば、3月は「中東リスク→原油高→米金利の上昇→有事のドル買い」の局面で大幅な流出超が続いた。その後、中東リスクへの警戒が一服した4月上旬〜中旬にかけては流入超へ転じる場面が見られたが、この動きは一過性で終わった。
年内の米利下げ観測が次第に後退する一方、利上げ観測が浮上し始めた4月下旬以降は、5月11〜15日の週を除き流出超が続いている。米利上げが金価格の重石となることを市場参加者が警戒している動きと筆者は捉えている。
金ETF 週次資金フローの動向:2026年1月以降、5月最終週まで
出所:ブルームバーグ・インテリジェンス
金価格のチャート分析、想定レンジ4300~4630ドル
米イラン停戦協議の先行き不透明感と米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げの可能性が意識されている状況を考えるならば、目先の金価格は下値トライを想定したい。
今週5日までの下限を、3月急落時の安値とその後の戻り高値のフィボナッチ・リトレースメント76.4%(4288ドル)の上の節目水準4300ドルと想定し、まずはIGコモディティレポートで注目している4400ドルと200日線の攻防を注視したい。
昨日の安値4447ドルの下方ブレイクは、4400ドルをトライするサインとなろう。4400ドルはフィボナッチ・リトレースメント61.8%にあたり、200日線とともにテクニカル面でサポートラインとして意識されやすい。金価格が4400ドルと200日線を維持すれば、後述するチャート水準のトライを想定したい。
一方、200日線を完全に下方ブレイクする場合は、4300ドル(76.4%戻し:4288ドル)を視野に下落拡大を警戒したい。
注目水準:サポート
・4447ドル:1日の安値水準
・4400ドル:節目水準、61.8%戻し(4401ドル)
・4386ドル:200日線
・4300ドル:下限予想、76.4%戻し(4285ドル)
金価格が4600ドル台へ反発する場合は、3月急落相場からの戻りを止め、レジスタンスラインとして意識されている50日線の突破が最大の焦点となろう。現在この移動平均線は4626ドル付近で推移している。上の水準4630ドルを今週5日までの上限と想定し、短期レジスタンスラインと4600ドルを突破すれば、4630ドル(50日線)のトライを想定したい。
金価格が4630ドルを突破すれば、5月上旬にレジスタンスとして意識された4760ドルを視野に上昇が拡大する可能性が浮上する。現在この水準には、日足の一目均衡表・雲の上限が推移しており、テクニカル面でレジスタンスラインとして意識されやすい。しかし、上述の金価格を取り巻く状況を考えるならば、急転直下の米イラン停戦合意と米雇用統計の大幅な下振れなどが重ならない限り、今週4700ドル台を視野に上昇が拡大する可能性は低いと予想する。
注目水準:レジスタンス
・4760ドル:一目均衡表・雲の上限
・4700ドル:節目水準
・4630ドル:上限予想、50日線(4626ドル)
・4600ドル:節目水準
・4575→4540ドル:短期レジスタンスライン
※移動平均線の水準:レポート掲載時点
金価格 日足チャート:2026年以降
TradingView提供のチャート
金価格 4時間足チャート:3月下旬以降
TradingView提供のチャート
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