金価格 週間見通し(12/15週):最高値視野もCPI次第で急反落警戒
IG証券のアナリストによる金価格の週間見通し。米FRBの利下げ期待で4300ドル台へ上昇。最高値4381ドルが射程に入る。しかし、米CPIと20年債入札の結果次第では急反落を警戒。
要点
- 金価格が4200ドルの攻防から上振れ。今週も強気地合い維持なら最高値4381ドルのトライが視野に入る
- 最高値更新なら次の節目4400ドルが射程圏内に。ただし11月の米CPIと20年債入札の結果次第では急反落を警戒
- 金価格の週間予想レンジ:4240ドル~4400ドル
金価格10月下旬以来の4300ドル、最高値が視野に
金価格の強気ムードが強まっている。11月以降、週間ベースでは上昇と下落を交互に繰り返しているものの、上昇週には2%超の伸びを記録する力強さが続く。
先週は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待を追い風に、一時10月下旬以来となる4300ドル台へ上昇。週間では2.4%高で引けた。
金価格の週間変動率:今年8月以降
ブルームバーグの価格データで作成
金ETFへの資金流入も強気ムードを裏付けている。
ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめた週間ベースの資金フローによれば、時価総額が最も大きいSPDR Gold Sharesは3週連続で流入超となった。iShares Gold Trustも2週連続の流入超で、先週の流入額は3.7億ドルと9月29日~10月3日の週以来の大きさだった。
金ETFの資金フロー:今年8月以降、先週12日までの動向
米CPIと米国債入札を警戒、急反落も
今週、金価格が4300ドル台で底固めとなれば、10月20日に付けた取引時間中の過去最高値4381ドルが射程圏内に入ろう。
しかし強気地合いのなかでこそ、急反落への警戒が必要だ。今週そのきっかけとなり得るのが、米経済指標と米国債入札である。
12日、複数のFRB高官がインフレ警戒姿勢を示した。シカゴ連銀のグールズビー総裁は声明で、12月FOMCで利下げに反対した理由について、インフレと労働市場の追加データを待つべきと判断したと説明。カンザスシティー連銀のシュミッド総裁もインフレ抑制を重視する姿勢を示した。
これらの発言を受け、12日の米債市場では長期金利(10年債利回り)が上昇した。インフレ関連の発言に敏感に反応した点は、米債市場がインフレ再燃リスクを意識していることを示唆している(12月14日付の米国株レポートを参照)。
18日に11月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。インフレの粘着性を示す内容となれば、長期金利の上昇要因となり得る。なお、米労働省によると10月分のCPIはデータ欠損により総合・コア指数とも未発表となっている。今回は11月分と併せて一部品目のみ公表されるため、11月の前月比変化率は算出されない点に留意が必要だ。
12日の米債市場では超長期ゾーン(20年・30年)の利回りも上昇した。17日に20年債入札が予定されており、需要の弱さを示す結果となれば、財政懸念から超長期金利が一段と上昇する可能性がある。
11月CPIと20年債の入札が米金利の上昇要因となれば、金価格の急反落を警戒したい。
米金利の15分足チャート:12月10日~12日
TradingView提供のチャート
金価格のチャート分析
上限予想:4400ドル
週明け15日の取引で金価格は買い先行でスタートした。レジスタンス転換の可能性があった4320ドルを難なく突破(1時間チャートを参照)。4300ドル台で底固めとなれば、10月20日に付けた取引時間中の過去最高値4381ドルのトライを想定したい。先週の上昇を止めたフィボナッチ・エクステンション100%の水準4356ドルの突破が、最高値トライのシグナルとなろう。
4381ドルを完全に突破すれば、次の節目4400ドルが焦点に浮上する。この水準を今週の上限と予想する。
チャートポイント:日足チャート
・4400ドル:次の節目水準、上限(予想)
・4381ドル:10月20日に付けた過去最高値
・4356ドル:フィボナッチ・エクステンション100%
下限予想:4240ドル
日足のRSIは買われ過ぎの水準に接近しており、短期的な過熱感がうかがえる。金価格の下落局面では、1時間足チャートのフィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。
最初の焦点は4300ドルの維持だ。直下の4296ドルはフィボナッチ38.2%戻しの水準にあたる。次のサポート水準は4280ドルを想定したい。直下の4278ドルは半値戻しにあたり、サポートラインへの転換が期待される。
12日の下落を止めたフィボナッチ61.8%戻しの4260ドルを下方ブレイクする場合は、4240-4245ドルゾーンまでの下落を想定したい。4245ドルは11月13日の高値水準であり、現在10日線もこの水準まで上昇している。下限の4240ドルはフィボナッチ76.4%戻しにあたる。いずれもサポート転換の可能性を意識する水準だ。4240ドルを今週の下限と予想する。
チャートポイント
・4300ドル:38.2%戻し
・4280ドル:半値戻し
・4260ドル:61.8%戻し
・4245ドル:10日線、サポート転換の可能性あり
・4240ドル:下限(予想)、76.4%戻し
※フィボナッチ・リトレースメント:1時間チャートを参照
金価格の日足チャート:今年10月以降
TradingView提供のチャート
金価格の1時間チャート:12月11日以降
TradingView提供のチャート
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