金価格見通し(9/24):先物価格 初の3800ドル台、スポット価格追随、3700~3830ドル予想
強気相場の勢い増す金相場。米FRBの連続利下げ観測を受けNY金先物価格は23日、初の3800ドル台へ上昇した。スポット価格も3800ドルを視野に強気相場を維持している。目先の重要チャート水準についてIG証券のアナリストが詳細解説。

要点
金相場が歴史的な上昇局面に突入している。先物価格(12月物)は23日、初めて3800ドル台へ上昇し、連日で最高値を更新した。スポット価格も3791ドルまで上昇し、3800ドルが視野に入る。米FRBの連続利下げ期待がゴールド買いを促している。これを裏付けるように、主要ETFのSPDR Gold SharesとiShares Gold Trustに資金が流入。米金利の反発局面でも金価格が上昇する異例の地合いの強さを見せている。金価格の予想レンジは3700~3830ドル(26日まで)。調整局面(反落)は絶好の押し目買い機会となろう。
金先物価格が初の3800ドル台、スポット価格は3790ドル台
金価格の上昇が止まらない。週明け22日の市場でNY金先物価格(12月物)が一時3783.2ドルまで上昇し、先週17日以来の最高値更新となった。そして23日の市場では初めて3800ドル台へ到達し、連日で最高値を更新。3824.55ドル(IGレート)まで上昇する局面が見られた。
スポット価格(以下、金価格)も強気相場を維持している。23日の市場では高値3791ドル(IGレート)まで上昇し、先物価格と同じく3800ドルが視野に強気相場を維持した。
NY金先物価格の1時間足チャート:9月17日以降

出所:IGチャート
米連続利下げの期待とゴールドETF買い
金相場の上昇を促しているのが、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利下げ期待である。パウエルFRB議長は23日、短期的なインフレリスクは上振れ方向にある一方、雇用の下振れリスクが高まっているとし、両方のリスクが意味することは、リスクのない道はない(there is no risk-free path)ということだと指摘した。
9月17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBは0.25%の利下げを決定した。また、年内に2回の追加利下げの見通しがドットプロットで示された。OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場でも年内2回の追加利下げを意識する状況にある。
注目すべきは、10月の利下げ予想確率が急上昇していることだ。レポート掲載時点で12月の予想確率を上回っている。連続利下げの可能性を急速に織り込んでいる。
OIS市場の予想確率
・10月:92.0%
・12月:82.7%
ブルームバーグのデータより / 9月24日午前8時時点
9月の利下げを含め、年内3回の連続利下げ期待が高まっている状況は金(ゴールド)の投資妙味を高めている。この点を示唆しているのが、主要なゴールドETFへの資金流入である。
ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、FOMC前の9月第2週に約8億ドルの資金流出となった「SPDR Gold Shares」は先週、一転して約23.3億ドルの資金流入となった。一方、「iShares Gold Trust」の資金流入額は約11.4億ドルだった。僅かではあるが今年2月最終週の11.04億ドルを超え、4週連続での資金流入となった。
ゴールドETFの資金フロー(週次):2025年1月~9月19日週

ブルームバーグ・インテリジェンスのデータで作成
米金利の反発でもゴールド買い
米FOMC後、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りと、インフレなどの景気動向を織り込んで動く10年債利回りはともに反発した。この動きは、短期金融市場と同じく米債市場でも連続利下げを織り込む動きと考えることができる。この見立てが正しい場合、米金利が低下してもその幅は限定的となることが予想される。他の反発理由として、インフレの再燃や財政問題を警戒している可能性もある。
いずれにせよ注目すべきは、米金利の反発局面で金価格が強気相場を維持したことである。本来であれば、米金利の上昇は金の売り要因である。それでもNY金先物価格が初めて3800ドル台へ到達し、金価格がこの動きに追随している状況は、金の投資妙味が高まっていることを示唆している。
米金利とスポット金価格の30分足チャート:9月17日~23日

TradingView提供のチャート
金価格の見通しとテクニカル分析
予想レンジの上限:3830ドル
先物価格に追随し、スポット金価格(金価格)も3800ドルを視野に強気相場にある。前述のとおり、米金利の反発局面でも金相場が最高値を更新する程の強気相場にあることを考えるならば、先物価格と同じく金価格も3800ドル台の上昇を意識したい。昨日の高値3791ドルの突破は、3800ドルをトライするサインとなろう。
9月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値が53.6と、ブルームバーグがまとめた市場予想54.0を下回ったことが材料視され、23日の米債市場では金利が低下した。米金利が反発しても強気相場を維持した状況で、今日以降米金利の上昇が一服すれば、3800ドルを突破する展開も想定しておく必要がある。
このケースでは、15分足チャートのフィボナッチ・エクステンション100%の水準3830ドルまでの上昇を想定したい。このラインを26日までの予想レンジの上限としたい。
レジスタンスライン
・3830ドル:予想レンジの上限、フィボナッチ・エクステンション100%
・3800ドル:心理的節目のライン
・3791ドル:23日の高値
予想レンジの下限:3700ドル
ブルームバーグのデータによれば、9月に入り金価格はすでに9%高にある(レポート掲載時点)。今年3月以来の大幅上昇である(3月の上昇率9.3%)。日足のRSIは買われ過ぎの水準で推移し続けている。短期的な過熱感による調整売りを警戒したい。
金価格の反落局面では、フィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。半値戻しの3751ドルは、昨日の調整売りを止めた水準である(赤矢印を参照)。61.8%戻しの3742ドルのレベルは、サポートラインへ転換する可能性がある(赤矢印を参照)。
金価格が76.4%戻しの3730ドルを下方ブレイクする場合は、節目のライン3700ドルを視野に調整売りの進行を警戒したい。このラインの上には日足の一目転換線(3708ドル)が上昇している。すぐ下の水準には10日線(3696ドル)が上昇している。3700ドルはテクニカルの面で、下値の支持線として意識されやすい状況にある。このラインを26日までの予想レンジの下限と想定したい。
サポートライン
・3751ドル:半値戻し
・3742ドル:61.8%戻し
・3730ドル:76.4%戻し
・3700ドル:予想レンジの下限
金価格の15分足チャート:9月22日以降

TradingView提供のチャート
金価格の日足チャート:2025年8月以降

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