ポンド円、198円台転落 5か月半ぶり高値から後退 ポンド高継続も
ポンド円相場は24日にポンド安が進み、前日につけた198円台から転落した。中東情勢改善が要因だが、日本経済の弱さがポンド高を維持する可能性もある。

ポンド円相場でのポンド高に一服感が出た。ポンド円相場は日本時間24日の取引では一時、1ポンド=196円台後半を記録。前日夕方につけた、約5か月半ぶりの高値にあたる198円台から後退した。24日に入ってから急激に進んだ中東情勢の緊張緩和が円高要因として働いたためだ。またイギリス経済をめぐっては経済成長の鈍化が意識されており、英国の中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)の8月の利下げが濃厚となっていることも、ポンド安要因といえそうだ。ただ、日本経済をめぐっては米国との関税協議で進展がみられないという悪材料があり、日本銀行は利上げに慎重になっている。ポンド円相場の今後の見通しをめぐっては、日本経済につきまとう不安がポンド高を後押しする展開も想定される。
ポンド円相場は198.20円から転落 一時196円台後半
ポンド円相場(GBP/JPY)は日本時間24日午後4時すぎに一時、1ポンド=196.96円をつけた。ブルームバーグによると、前日夕方につけた198.20円は1月7日(198.26円)以来のポンド高水準だったが、1円超のポンド安に振れた形だ。

イスラエルとイランの停戦合意発表で円高 ポンド高の勢いをしのぐ
24日のFX市場では、アメリカのドナルド・トランプ大統領がイスラエルとイランの停戦合意を公表したことが材料視され、有事のドル買いの巻き戻しが入った。ポンドの対ドル相場(GBP/USD)は日本時間24日午後5時段階で、トランプ氏の停戦合意発表前につけた23日のニューヨーク市場の終値との比較で0.43%のポンド高。これに対して円の対ドル相場は0.58%の円高となっており、結果としてポンド円相場をポンド安方向に動かした。

イギリス経済の成長は「弱いまま」 BOE内には利下げを急ぐべきとの声も
ポンド高が頭打ちになった背景には英国経済の弱さへの不安もありそうだ。BOEは19日に政策金利の維持を発表した際、声明文の中で「英国の基調的な成長は弱いままのようだだ」と指摘。5月15日に発表された2025年1-3月期GDP速報値は、実質成長率が前期比0.7%となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の0.6%を超えていたものの、トランプ氏による高関税を回避するために経済活動が前倒しで活発化していたことが要因の一つだとした。

また、BOE内には政策金利の高止まりが経済の逆風になることへの懸念から、利下げを急ぐべきだとの声も出ている。BOEが19日に理事会の声明文と同時に発表した議事要旨では、9人の政策委員のうち3人は、引き締め的な政策金利の水準を維持しすぎると、中期的には物価上昇率が目標とする2%を下回るリスクを指摘。6月会合での利下げを求めていた。
イギリスの物価上昇率は3.4% BOEは年内2回の利下げ見通し
6月18日に発表された5月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は、総合指数が前年同期比3.4%、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数が3.5%。BOEが目標とする2%を大きく超える水準だが、BOEは高い上昇率の理由は幅広い規制料金や、これまでのエネルギー料金の値上がりが要因だとしている。

こうした中、金融市場ではBOEが8月7日に結果を発表する理事会で利下げを決めるとの見通しが有力だ。ブルームバーグによると、8月に0.25%幅の利下げが行われることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間24日午後4時30分段階で約83%となっている。8月を含めて年内2回の利下げが行われることも確実視される情勢で、やはりポンド安要因とみることができそうだ。

日米関税協議に進展なし 日銀の利上げへの慎重姿勢はポンド高要因に
ただ、ポンド円相場の見通しをめぐっては、日本経済の弱さが結果としてポンド高につながる可能性もある。日銀の植田和男総裁は17日の金融政策決定会合後の記者会見で、物価や経済の見通しについて下振れするリスクの方が高いと言及。トランプ氏の高関税が日本経済の逆風となって、日銀が目指してきた賃上げを伴う安定的な物価上昇という目標の達成が遠のくことに懸念を示した。
日米の関税協議では、石破茂首相とトランプ氏の日米首脳会談がカナダで16日に実現したが、合意には至っていない。トランプ氏が4月に決めた相互関税の上乗せ部分の一時停止は7月9日に期限を迎えるため、今後も日米協議の進展がみられなければ、日本経済の悪材料として意識されやすくなる可能性もある。ポンド円相場の今後の値動きは日米関税協議の進展度合いに左右される側面もありそうだ。
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