ポンド高にブレーキ 1週間ぶり188円台 英国経済見通しに不安
ポンド円相場は11日にポンド安が進行。1週間ぶりに188円台をつけた。経済見通しへの不安が材料視され、1月GDPにも注目が集まる。

ポンド円相場で進んできたポンド高にブレーキがかかった。11日の東京市場では一時、1週間ぶりの1ポンド=188円台後半をつけ、前日のニューヨーク市場の終値からポンド安がさらに進行した。ポンドは3月に入ってから192円台をつけるなど、ポンド高傾向が出ていたが、流れが反転した形だ。ポンドは対ドルで上昇が一服しており、ドル円相場で続く円高傾向との違いが影響した。一方、英国の物価上昇の根強さは依然としてポンド高要因。ただしイングランド銀行(BOE)は物価動向とともに英国経済の見通しが悪くなることも警戒しており、14日に発表される1月GDPなどでポンドに下落圧力がかかる可能性もありそうだ。
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ポンド円は一時、118.80円 1週間ぶりのポンド安水準
ポンド円相場(GBP/JPY)は日本時間11日午前に一時、1ポンド=188.80円をつける場面もあった。188円台は4日(188.26円)以来。ブルームバーグによると、10日のニューヨーク市場の終値でつけた189.66円から、さらに0.86円のポンド安が進んだ形だ。ポンド円相場は6日には一時、192.55円までポンド高が進んだが、約2%分、ポンド安に振れたことになる。

ポンドは対ドル相場での上昇が停止 イギリス経済の見通しに不安
ポンドの上昇は対ドルでも一服している。ポンドの対ドル相場(GBP/USD)の10日の終値は5日との比較では0.12%安。同じ期間で、円はドルに対して1.09%高となっており、違いが鮮明となった。このところのFX市場ではアメリカのドナルド・トランプ大統領の高関税政策をめぐる混乱でドル安が進み、ポンドは円やユーロとともに買われてきたが、足元でのポンド買いの流れは弱まったようだ。

ポンド高にブレーキがかかった背景には、英国経済の見通しへの不安がある。英求人雇用連盟(REC)と会計事務所のKPMGが10日に発表した調査では、2月の正規雇用の初任給の上昇率は過去4年間で最低となった。KPMGは「企業は引き続き採用を抑制している」などと分析している。
1月CPIは予想を超える強さ 物価上昇の根強さはポンド高要因
一方、ポンド円相場をめぐっては、英国の物価上昇圧力の根強さというポンド高要因もある。2月19日発表の1月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は総合指数で前年同月比3.0%となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の2.8%を上回った。エネルギー価格の上昇や私立学校の学費への消費税課税などが物価を押し上げた結果だ。また、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は3.7%で市場予想通りだったが、前月(3.2%)からは大きく上昇している。

英国の中央銀行にあたるBOEも物価動向に神経を尖らせている。BOEは2月6日に2会合ぶりの利下げを発表した際、声明文の中で、物価上昇圧力がより長く継続する兆候に注意を払うとした。ブルームバーグによると、金融市場ではBOEが3月20日に結果を発表する理事会では、利下げが見送られるとの見方が支配的だ。
BOEはトランプ氏の動向を警戒 1月GDPが下振れればポンド安要因に
しかしBOEは同時に英国経済の弱まりも警戒している。中でもトランプ氏を震源地とする世界経済の混乱は大きな不安要素。ブルームバーグによると、BOEのアンドリュー・ベイリー総裁は5日の議会証言でトランプ氏の通商政策について、「物価上昇への影響はさまざまな見方ができるだろうが、英国経済に加え、世界経済へのリスクは重大なものになる」と述べた。
こうした中、ポンド円相場の今後の見通しをめぐっては、英国経済の動向の重要性が増しそうだ。英国統計局が14日午前7時(日本時間14日午後4時)に発表する1月GDPに関し、ブルームバーグがまとめた市場予想は、実質成長率が前月比0.1%となる見通し。前月(2024年12月)の0.4%から、大きく減速するとみられている。発表される成長率が市場の予想よりも低くなるなどすれば、ポンド安圧力が強まる可能性もありそうだ。

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