イギリス経済に不安 ポンドが対ドルで6日続落 ポンド円は198円台
イギリスの5月GDPは2月連続でのマイナス成長。ポンドは対ドルで下落が続く。一方、トランプ関税に直面する円の弱さも際立っている。

イギリス経済の見通しへの不安が強まっている。英国統計局が11日に発表した5月の実質成長率は前月比マイナスとなり、2か月連続で経済活動が縮小。11日のポンドの対ドル相場は前日比0.63%安となり、6営業日続落となった。英国経済をめぐっては財政問題への懸念が再燃していることもあり、ポンドが売られやすくなっているようだ。一方、ポンドは円に対しては強含んでおり、ポンド円相場は1ポンド=198円台で推移。ポンドがドルに対して弱くなる以上に、円がドルに対して弱くなっていることが影響している。ポンド円相場の今後の見通しをめぐっては、16日に発表される英国の6月消費者物価指数(CPI)がポンド安要因になる可能性があるが、20日に投開票される参議院選挙を控えた円安圧力で打ち消されることも考えられそうだ。
イギリスの5月の実質成長率は2か月連続でマイナス ポンドは対ドルで下落基調
英統計局によると、5月の実質成長率は前月比マイナス0.1%で、ブルームバーグがまとめた市場予想のプラス0.1%を下回った。実質成長率は4月もマイナス0.3%となっており、2か月連続で経済活動が縮小したことになる。5月のマイナス成長の最大の要因は製造業が前月比マイナス0.9%となったこと。また建設業もマイナス0.6%と不振だった。

英国経済の不振を受け、11日のFX市場ではポンドの対ドル相場(GBP/USD)が下落。11日のニューヨーク市場の終値は前日比0.63%のポンド安だった。ポンドの対ドル相場の下落は6営業日連続だ。英国経済をめぐってはキア・スターマー政権の歳出削減法案が1日の下院通過に際して大幅な修正を迫られたことで財政規律に対する不安が拡大。やはりポンド安の要因となっている。11日のポンドの対ドル相場の終値は1日終値との比較では1.84%のポンド安だ。
ポンド円相場は198円台で推移 一時は1年ぶりのポンド高水準に
一方、ポンドの値動きを対円でみると、ポンドの底堅さが感じられる。ポンド円相場(GBP/JPY)の日本時間14日の取引は1ポンド=198円台で推移。ブルームバーグによると、9日には一時、199.83円をつけ、2024年7月24日(201.19円)以来、約1年ぶりのポンド高水準となった。

際立つ円の弱さ トランプ氏の高関税政策が不安要素に
ポンドが対円で強含んでいる理由は円の弱さだ。ポンドがドルに対して1.84%弱くなった1日から11日の間、円はドルに対して2.72%も弱くなっている。同じ期間、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)は0.99%のユーロ安、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)は0.08%の豪ドル安で、円の弱さが際立つ。円安はアメリカのドナルド・トランプ大統領が7日に日本を含めた14か国に8月1日から25-40%の相互関税を課すと表明したことを機に進行していた。

6月のCPIの伸び率は前月から横ばいの見通し ポンド安の流れが強まる可能性も
こうした中、ポンド円相場の今後の見通しは英国経済の物価情勢で揺れる可能性がある。英統計局は16日午前7時(日本時間16日午後3時)に6月CPIを発表する予定。ブルームバーグがまとめた市場予想は、総合指数の伸び率が前年同月比3.4%、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は3.5%とみこまれている。いずれも前月と同じ数字だ。

イングランド銀行は8月利下げが有力 ポンド円相場でのポンド安は限定的か
6月CPIが物価上昇の過熱感を示さなければ、金融市場ではイングランド銀行(BOE)の利下げ見通しが強まり、ポンド安圧力として働きそうだ。BOEは6月の理事会で政策金利を据え置いたが、9人の政策委員のうち3人は利下げを支持していた。ブルームバーグによると、金融市場で見込まれる8月7日発表の政策金利の水準は11日段階で4.004%となっており、現状の4.25%から0.25%ポイントの利下げが有力視されている形だ。ブルームバーグによると、BOEの8月利下げ確率は日本時間14日午前11時25分段階で84%となっている。

ただ、6月CPIで過熱感が出ない場合でも、ポンド円相場でのポンド安は限定的になる可能性はある。ドル円相場では参院選での与党敗北の可能性が高まれば円安が進むことも考えられ、ポンド安の流れが円安の流れで打ち消される筋書きが想定されるかからだ。円安圧力が大きく強まれば、ポンド円相場がポンド高方向に動くこともありえる。
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