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米ハイテク株の下落が加速 S&P500上昇一服 にぎわう中小型株

アメリカのハイテク株が値下がりし、S&P500の上昇は休止。一方、中小型株の指数であるラッセル2000には勢いも。

出所:ブルームバーグ

「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるアメリカの7つの大型ハイテク銘柄が下げ足を速めている。半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)株の4日の終値は11月下旬につけた上場来高値から10%安の水準。その他の銘柄もそろって11月下旬以降は下落基調だ。背景には米国の長期金利低下の減速があり、7銘柄が引っ張ってきたS&P500種株価指数の上昇にも一服感が出ている。一方、米国の中小型株で構成されるラッセル2000株価指数はこのところ、S&P500などを上回る好調さで出遅れを取り戻した。投資家の関心が大型ハイテク株から中小型株に移っている形だが、上昇継続はやはり長期金利の低下が続いていくかどうかにかかっていそうだ。

エヌビディアの株価は上場来高値から一気に10%安

エヌビディアの株価(NVDA)の4日の終値は3営業日続落の455.10ドル。エヌビディア株は2023年8-10月期決算発表前日の11月20日に上場来高値となる504.09ドルをつけたが、好決算にも関わらず株価は下落し、2週間で9.7%安となった。また、検索大手のグーグルなどを傘下に持つアルファベット(GOOGL)は22日の高値(138.49ドル)から6.7%安、SNS大手のメタ・プラットフォームズ(META)も22日の高値(341.49ドル)から6.3%安となっている。

アメリカの大手ハイテク株の値動きのグラフ

アメリカの長期金利の低下はペースダウン

ハイテク株の先行きを不安視させているのは長期金利低下の減速だ。長期金利は10月下旬に一時5.021%をつけた後、約3週間後の11月14日には4.4%台まで低下。しかしその後の3週間では4.2%台までの低下に留まっている。金利下落は株式の投資先としての魅力を相対的に高め、ハイテク株に安心感を与えてきただけに、好材料が失われた形になった。

この結果、S&P500(SPX)の上昇ももたついている。S&P500は10月27日に安値を付けた後、長期金利低下が好感されて12月1日に年初来高値を更新。10月の安値からの上昇率は11.6%に達した。しかしこの間でも、11月23日の感謝祭の休日明け以降の値動きは一進一退といえる状況で、12月4日の終値は前日比0.54%安だった。S&P500は時価総額が大きいマグニフィセント・セブンの値動きの影響を受けやすく、勢いがそがれている。

S&P500と長期金利の推移のグラフ

ラッセル2000は4営業日続伸で5%高

一方、大型ハイテク株の不振とは対照的に、中小型株は勢いづいている。ラッセル2000(RUT)の4日の終値は4営業日続伸の1882.02。この間の伸び率は4.98%で、S&P500の0.33%高やハイテク株が多いナスダック100(NDX)の1.07%安を大きく上回っている。ラッセル2000は10月下旬以降の長期金利低下局面での回復が他の指数に比べて遅れていたが、ここにきて巻き返しをみせている形だ。ラッセル2000の年初来高値は7月31日につけた2003.18で、まだ上昇余地があるようにもみえる。

S&P500とナスダック100とラッセル2000の推移の比較グラフ

ただし中小型株の上昇も長期金利低下が追い風になっていることは間違いなく、長期金利が上昇に転じるなどすれば、マイナスの影響を受けることは避けられない。8日に発表される米国の11月雇用統計などの重要経済指標の結果は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策をめぐる思惑を通じて、ハイテク株だけでなく中小型株の値動きも左右しそうだ。


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