米国株、主要3指数が反落 ナスダック100に過熱感 調整売り警戒
格下げを受けてもナスダック100は強気地合いを維持している。しかし短期間で急反発したこともあり、上昇の過熱感が意識されやすい状況にある。調整売りを警戒したい。

記事の要点
- ムーディーズによる格下げを受けても、米国株は強気地合いを維持
- 情報技術セクターの大幅上昇で、ナスダックは4月安値から25%上昇
- しかし短期的な上昇の過熱感は否めない状況に、調整売りを警戒
- ナスダック100の短期見通しとテクニカル分析
景気敏感株が株高をけん引、ナスダックは4月安値から大幅反発
20日の米株式市場でダウ平均は4営業日ぶりに反落した。前日まで6日続伸したS&P500も下落して終えた。しかし、米国株は強気地合いを維持している。トランプ関税ショックを受けS&P500は先月8日に終値ベースで4982.77まで急落した。しかしその後は反発相場へ転じ、5月20日時点での終値ベースの上昇率は19.22%まで拡大している。
この間、情報技術セクターの上昇率は30.36%と、他のセクターのパフォーマンスを大きく上回っている。資本財と一般消費財の各セクターもS&P500の上昇率を超えている。これらはいずれも景気敏感株である。トランプ関税によるインフレ再燃の可能性と景気の減速懸念はくすぶっている。それでも景気敏感株に買い戻しが入る状況、さらに下で述べている格下げを受けても投資家の心理が落ち着いている状況は、今の米国株の地合いの強さを示唆している。
S&P500セクター別パフォーマンスの変動率:4月9日~5月20日

ブルームバーグのデータで筆者が作成
主要な株価指数のパフォーマンスを確認すると、ナスダック指数の上昇率が突出している。総合指数と100指数はともに4月安値(終値ベース)から25%高にある。他の株価指数と比べてハイテク株の比率が高いがゆえに、情報技術セクターの上昇の恩恵を最も受けている。
米株価指数の動向:4月9日~5月20日

ブルームバーグのデータで筆者が作成

ブルームバーグのデータで筆者が作成
ナスダック100の短期見通しとテクニカル分析
調整売りを警戒
ナスダック100(NDX)は強気地合いにある。しかし、4月安値から25%反発し短期的な上昇の過熱感は否めない。日足のRSIもこの点を示唆している。調整売りを警戒する局面にある。
・日足のRSIは買われ過ぎの水準「70」から低下ムードにある
・短期間で情報技術セクターが急伸したことで、再び割高感が意識されやすい状況にある
・株高を促すさらなる材料-例えばエヌビディア(NVDA)の好決算などの材料があれば、ナスダック100は22000ポイントを視野に上昇幅が拡大する可能性がある。この水準を突破すれば、2月19日に付けた最高値22222ポイントが視野に入ろう
下値支持線(サポートライン)
しかし、日足の一目均衡表は三役好転の状況にある。MACDは上がり過ぎの感はあるがデッドクロスは確認されていない。ゼロラインも上回っている。調整売りでナスダック100が下落しても、その幅は限定的となることが予想される。ナスダック100が原資産の米国テク株100は、以下にまとめたフィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。1時間足チャートを参照。
・21206:23.6%戻し
・21033:38.2%戻し、19日に相場を下支えした
・20893:半値戻し、サポート転換を意識、10日線が推移(日足)
・20753:61.8%戻し、13日に相場を下支えした
上値抵抗線(レジスタンスライン)
調整売りをこなしナスダック100が強気地合いを維持する場合は、22000ポイントのトライが焦点となろう。米国テク株100がこのラインをトライするサインとして、以下にまとめた3つの高値水準の攻防に注目したい。
・22000:レジスタンスライン(日足)
・21745:2月24日高値
・21594:2月25日高値
・21486:直近の高値(1時間足)
米国テク株100のチャート
1時間足:5月12日以降

出所:IGチャート
ナスダック100のチャート
日足:2月以降

出所:TradingView
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