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【米国株 週間分析レポート】 経済指標と中間選挙後の株高アノマリー

インフレ懸念の後退と米利上げペース減速の思惑を受け、米債市場では利回りに低下の圧力が高まっている。米金利の低下はドル高リスクを後退させている。これらのリスクに関する懸念がさらに後退するかどうか?この点を見極める上で、今週は米経済指標が重要な焦点となろう。一方、米中間選挙後の「株高アノマリー」が発生する時期はいつになるのか?詳細はIG証券の米国株分析レポートにて。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

経済指標と中間選挙後の株高アノマリー


【サマリー】
・インフレのピークアウトと米利上げペースの減速が意識される米国株市場
・今週は経済指標にらみの1週間に
・中間選挙後の株高アノマリーが発生する条件とその時期は?


インフレリスクの後退と利上げペース減速の思惑

・FOMC議事要旨で裏付けられたFRBの減速スタンス
11月23日、連邦準備制度理事会(FRB)は11月~2日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表し、“多くのFOMC参加者”が近いうちに利上げペースを減速させることが適切になる可能性があると主張していたことが判明した。

FOMC議事要旨の公表前から、FEDスピーカー達は利上げペース減速のシグナルを発信してきたが、議事要旨はこれを裏付ける内容となった。

・米利上げペースの減速観測と株高
11月の重要イベントを受けて、政策金利(FFレート)の予想推移は下方修正されている。

この点について直近の状況を確認すると、予想されるターミナルレートの水準は5.0%近辺となっている。

注目すべきは「5%を超える期間がどの程度続くのか?」この点にあるが、現状は数か月に渡って政策金利が高止まりする可能性が低いことが示されている。

10月雇用統計(11月4日)の発表前は、予想ターミナルレートの水準が5.1%を超えていた。かつその期間も長期に渡る可能性が意識されていた。この時と現在の状況を考えるならば、短期金融市場では「インフレリスクの後退→米利上げペースの減速」を急速に織り込んでいることがわかる。

米政策金利の予想推移

米政策金利の予想推移 チャート:Bloomberg L.P. / 11月28日13時時点


そして短期金融市場の動きは、米国株のトレンドにも大きな影響を与えている。

ダウ平均(DJI)は、今年8月の戻り高値の水準を突破した。

S&P500種株価指数(SPX)は、今夏の上昇トレンドを止めた200日線(MA)をトライするムードにある。この移動平均線を上方ブレイクする場合は、今年の下落トレンドを象徴しているレジタンスラインの攻防が焦点として浮上しよう。

ダウ平均のチャート

ダウ平均のチャート チャート:Trading View 日足(今年8月以降)


S&P500のチャート

S&P500のチャート チャート:Trading View 日足(年初来)


・経済指標にらみの展開が続く
雇用とインフレの関連指標を受けて、「インフレリスクの後退→米利上げペースの減速観測」の状況へ転じていることを考えるならば、今後発表されるこれら経済指標の内容で、目先の米国株は上下に振れる展開が予想される。

今週は多くの重要経済指標が発表されるが、なかでも10月個人消費価格指数(PCEデフレーター)と11月雇用統計が材料視されるだろう。

前者の経済指標は、FRBが注視するインフレ指標である。10月消費者物価指数(CPI)はインフレのピークアウトの可能性を示す動きが見られる。一方、PCEデフレーターはインフレが高止まりする可能性を示唆する動きとなっている

PCEデフレーターでインフレ懸念がさらに後退する場合は、米株高要因となろう。

逆に、前回の分析レポートで指摘した「インフレが低下しないリスク」がPCEデフレーターで意識される展開となれば、米国株には調整売りの圧力が高まることが予想される。

PCEデフレーターの推移

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PCEデフレーターの推移 チャート:Bloomberg L.P. / 月次(2020年以降)


後者の雇用統計では、賃金の伸びが引き続き焦点となろう。今年3月をピークに賃金の伸びは低下基調にある。今回の予想は4.6%(前年同月比)と低下基調を維持する見通しである。

今回の雇用統計でも賃金インフレの抑制が確認される場合、米国株の上昇要因となろう。

逆に予想外に賃金が伸びる場合は、「インフレが低下しないリスク」が意識される可能性がある。このケースでは、非農業部門雇用者数と失業率の内容も重要となろう。これらの項目で雇用市場の堅調さが確認される場合は、「根強い賃金の上昇→インフレが低下しないリスク」が意識されることで、米国株は下落する展開が予想される。

平均時給と非農業部門雇用者数変化

平均時給と非農業部門雇用者数変化 データとチャート:米労働省, Bloomberg L.P. / 月次(2021年以降) / 平均時給は前年同月比

株高政策の導入はまだ先

今週の経済指標でインフレリスクの後退が確認される場合、米国株はもう一段高の展開となる可能性がある。

しかし、株高トレンドへ回帰すると判断するのは早すぎる。

そう考える理由は2つある。

ひとつは、今後各市場のメインテーマがインフレリスクから景気後退のリスクへシフトする可能性が高いことである。

米主要企業関連のニュースでは、人員削減のヘッドラインが多く見られるようになった。これは、多くの経営者が景気の先行きリスクを意識していることを示唆している。そしてインフレは低下トレンドにあるとはいえ、未だ高い水準にある

景気の後退と高インフレの状況-スタグフレーションの状況下で業績を伸ばせる企業はそう多くないだろう。

もうひとつの理由は、前回のレポートでも指摘した「株高政策」の存在である。

株式市場は少なくとも半年先を見越して動く特性がある。ゆえに景気後退入りが意識される場合、政府や中央銀行が「景気対策=株高政策」を打ち出すとの期待が株式市場で高まるだろう。そして実際の景気後退の状況下では、株高が予想される。

問題は、未だに高インフレの状況が続くなかでは、バイデン政権とパウエルFRBが簡単に「景気対策=株高政策」を打ち出せない、という状況にあるということだ。

前回のレポートでも指摘したとおり、株高政策が不在の期間、米国株は上昇と下落を繰り返すトレンドパターンが見られた。上昇トレンドへ回帰したのは、減税政策や大規模な金融緩和政策への期待が高まり、実際に導入された後である。

また、一連の米利上げは、通常の4倍のペースで進められてきた。12月以降のFOMCでは、このペースが「減速する=正常な利上げペースに戻る」というだけの話であり、利上げはもうしばらく続く。

また、量的引き締め(QT)も継続中である。

こういった状況を考えるならば、「利上げペースの減速」期待のみで米国株が上昇トレンドへ回帰すると考えるのは早計と言えるだろう。

S&P500指数のチャート:2015年~2016年10月の相場

S&P500指数のチャート:2015年~2016年10月の相場 チャート:Trading View 週足(2014年~)


S&P500指数のチャート:2018年の相場

S&P500指数のチャート:2018年の相場 チャート:Trading View 週足(2018年~)

中間選挙後の株高アノマリーの発生時期は?

「米国の中間選挙後は株高になる」というアノマリーがある。そしてこのアノマリーは再現性が高い。ゆえに、目先は米国株の不安定化を想定しながらも、「いつ株高トレンドへ回帰するのか?」この点も意識しておくことが重要だろう。

その時期を考える上で注目すべきことは、パウエルFRBが利下げへ転じるタイミングである。

上で述べたとおり、米国株が上昇トレンドへ回帰するためには、株高政策が必要である。その政策として、目先注目すべきは「利下げ」である。

もう一度、米政策金利の予想推移を確認すると、現時点では23年の5月または6月あたりがターミナルレートとなる可能性が高い。そして、23年後半に利下げへ転じることが予想されている。この予測どおりに政策金利が推移する場合、早ければ "来年の春ころ" に米利上げの頭打ちと年後半の利下げが先行して意識され、「中間選挙後の株高アノマリー」が発生する可能性があろう。

米政策金利の予想推移

米政策金利の予想推移 チャート:Bloomberg L.P. / 11月28日13時時点

結論(まとめ)

「インフレリスクの後退→米利上げペースの減速観測」を受け、米国株は上昇トレンドにある。

しかし今後、株式市場のメインテーマはインフレリスクから景気後退のリスクへシフトするだろう。スタグフレーション(景気後退と高インフレの状況)下でも好調な業績を維持できる米企業は少ないだろう。

また、高インフレの状況が続く状況では、バイデン政権とパウエルFRBは「景気対策=株高政策」を簡単に導入することができない。ゆえに目先の米国株は、上下に振れる不安定な状況が続くことが予想される。

米中間選挙後の「株高アノマリー」が発生するタイミングは、FRBの利上げ打ち止め期待とその後の利下げ観測が先行して意識される可能性がある来春ころになるだろう。


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