コンテンツにスキップする

外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません 外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません

ドル円、今週は下落か 米格下げでドル安警戒、日米会談を見極め

今週のドル円は下落相場を警戒したい。ムーディーズの格下げは米ドル安の要因として警戒したい。日米財務相会談が行われる場合、内容次第で円高要因となろう。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

概要

今週のドル円は下落相場を警戒したい。格付け会社ムーディーズ・レーティングスによる米国債の格下げは、「悪い金利の上昇」の要因になり得る。外為市場では米ドル安を警戒したい。5月の米PMI速報値でトランプ関税による企業マインドの低下が見られる場合は、米ドル安の要因となろう。今週のG7財務相・中央銀行総裁会議にあわせて日米財務相会談が開催される場合、為替議題の内容次第では円高を警戒したい。4月の国内CPIが予想外に上振れる場合も、一時的な円高の要因になり得る。ドル円の週間予想レンジは142.00~148.00レベル



ムーディーズ 米格付け引き下げ、悪い金利の上昇と米ドル安再燃を警戒

格付け会社のムーディーズ・レーティングスは先週16日、巨額の財政赤字などを理由に米国債の格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」に引き下げた。見通しは「安定的」としたがトリプルAの格付けを失ったことで、先週16日の米債市場では取引終盤に10年債利回りが4.477%へ上昇した(ブルームバーグのデータ)。今週の米債市場では「悪い金利の上昇」が続く可能性がある。

本来であれば、米金利の上昇は米ドル高の要因である。しかし、トランプ米政権が相互関税を導入して以降、両者の相関関係が崩れる局面や米国債と米ドルが同時に売られる局面が見られた。

米ドルの大まかなトレンドを示すドル指数(DXY)はフィボナッチ・リトレースメント61.8%と50日線の突破に失敗し、現在は101ポイント付近で上値が重い。米中会談を好感した買いが短期間で終息した状況は、米ドルに対する信認が未だに揺らいでいることを示唆している。この状況で格下げによる「悪い金利の上昇」が続けば、今週の外為市場では米ドル安の再燃を警戒したい。ドル指数は短期サポートラインや21日線を視野に下落幅が拡大する可能性があろう。

ドル指数のチャート:日足 今年3月以降

ドル指数のチャート:日足 今年3月以降

出所:TradingView


日米財務相会談と4月CPI、円高要因として警戒

米格下げの影響以外で今週注目したいのが、日米財務相会談である。今週20日からカナダでG7=主要7か国の財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。それに合わせて日米財務相会談が調整されている。

4月25日に行われた会談後の会見で加藤財務大臣は、米国側から為替水準の目標や為替を管理する枠組みなどの話は出なかったとしたうえで、引き続き為替について日米で緊密に協議を進めていくことで一致したと明かした。ドル円(USD/JPY)への影響は限定的だった。

今週会談が行われても米国側が強く円安是正を要求するかは不透明である。しかしトランプ米大統領が通貨安を志向している以上、国益を賭けた交渉は流動的である。米国側が円安是正を強く要求する場合は円高の要因となろう。

また、今週の円高要因として注目したいのが、今週23日の4月国内消費者物価指数(CPI)である。ブルームバーグがまとめた予想によれば、生鮮食品を除くコア指数は前年同月比で3.4%増と、前月の3.2%増から上昇する見通しにある。予想外に上振れる場合は円高の要因になり得る。しかしトランプ米政権が相互関税を導入して以降、短期金融市場では日銀の追加利上げ観測が後退気味である。米国と世界経済の先行き不透明感が日銀の追加利上げを阻むことを織り込む動きである。ゆえに、単月の物価指数でこの観測が高まるとは考えにくい。よって4月CPIが円高の要因となっても、一過性の動きで終わる展開を想定しておきたい。

日本の消費者物価指数(CPI):過去1年間の動向

日本の消費者物価指数(CPI):過去1年間の動向

ブルームバーグのデータで筆者が作成


5月指標でトランプ関税の影響度合いを見極め

今週22日に5月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表される。トランプ関税の影響が出始める「5月」の経済指標は米金利と米ドルの変動要因になり得る。

同じ5月のミシガン大学消費者態度指数は50.8と、4月確報値の52.2から低下し市場予想の53.4も下回った。2022年6月以来の低水準となった。一方で、1年先の期待インフレ率は4月確報値の6.5%から7.3%へ上昇した。1981年11月以来の高水準である。消費者マインドの低下とインフレ期待の上昇が続く状況は、トランプ関税が物価に与える影響をアメリカの消費者が強く意識していることを示唆している。

ブルームバーグがまとめた予想によれば、5月PMIの製造業は49.9と景気判断の分かれ目の「50」を下回る見込みにある。総合も50.6から50.3へ低下する見通しにある。注目は米国経済を支えるサービス業である。ブルームバーグの予想は50.8から51.0へ若干ながら拡大の見通しにある。しかし、トランプ関税の影響で予想外に下振れる場合は、将来の景気不安を市場参加者に意識させる要因となろう。消費者マインドだけでなく企業マインドの低下も確認される場合は、米ドル安の進行を警戒したい。

米国 購買担当者景気指数(PMI):過去1年間の動向

米国 購買担当者景気指数(PMI):過去1年間の動向

ブルームバーグのデータで筆者が作成


ドル円 今週の見通しとテクニカル分析

週間予想レンジの下限:142.00レベル

米格下げがドル安の要因となれば、ドル円(USD/JPY)は先週16日の下落を止めた145円の下方ブレイクを想定したい。週明けの外為市場では145.01レベルまで下落する局面が見られた(レポート掲載時点)。

テクニカルの面で注目したいのが144円前半の攻防である。4月22日の安値139.88レベルを基点とした半値戻しの水準と日足の一目基準線が144.27レベルで重なり推移している。短期サポートラインが今週144円台で推移する。このラインを下方ブレイクする場合は、144.27の攻防を意識したい。144.27の下方ブレイクは、144.00をトライするサインとなろう。

上で取り上げた重要イベントが米ドル安・円高の要因となれば、144円の下方ブレイクと1円レンジの攻防を意識したい。144.27レベルから1円下の143.22レベルは61.8%戻しの水準にあたる(4時間足を参照)。このテクニカルラインの下方ブレイクは、約1円レンジ下の5月上旬安値142.35レベルをトライするサインとなろう(日足の緑ラインを参照)。142.35レベルをも下方ブレイクすれば、142.00レベルのトライを想定したい。テクニカルの面で142.00レベルはフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準にあたる。今週もこの水準を週間予想レンジの下限と想定したい。

サポートライン
・144.27:半値戻し、一目基準線(日足)
・144.00:サポートライン(4時間足)
・143.22:61.8%戻し(4時間足)
・142.35:サポートライン(日足)
・142.00:予想レンジの下限(4時間足、日足)

予想レンジの上限:148.00レベル

先週16日の十字線は、145円レベルでの米ドル買い・円売りの強さを示唆している。さらなる下値トライに対する市場の気迷いを暗示視しているともいえる。米格下げの影響が限定的、かつ米経済指標が予想外に強い内容となればドル円(USD/JPY)の反発相場を想定したい。

だが、今の外為市場ではトランプ米政権による相互関税が導入されて以降、米ドルの信認が揺らいでいる。単月の経済指標がこの状況を覆す可能性は低い。ゆえに、ドル円が反発してもその幅は限定的となることが予想される。まずは先週16日の市場で相場の反発を止めた50日線の突破を確認したい。今日現在、この移動平均線は146.04レベルで推移している。日足の一目転換線の突破は50日線をトライするサインと考えたい。

ドル円が50日線を上方ブレイクすれば、次は日足の一目雲の攻防が焦点となろう。雲の攻防では、147.00ラインの突破が最初の焦点となろう。16日のNY市場でこのラインは、相場の反発を止めた経緯がある(4時間足、赤矢印を参照)。ドル円が147円台へしっかりと上昇する場合は、今日現在147.58レベルまで低下している75日線のトライを想定したい。75日線の突破は148.00をトライするサインとなろう。今週もこの水準を週間予想レンジの上限と想定したい。

レジスタンスライン
・148.00:週間予想レンジの上限(日足)
・147.58:75日線(日足)
・147.00:レジスタンスライン(4時間足)
・146.04:50日線(日足)
・145.52 :一目転換線(日足)


ドル円のチャート

日足:4月以降

日足:4月以降

出所:TradingView

4時間足:4月以降

4時間足:4月以降

出所:TradingView


本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

IG証券のFXトレード

  • 英国No.1 FXプロバイダー*
  • 約100種類の通貨ペアをご用意

* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)

リアルタイムレート

  • FX
  • 株式CFD
  • 株価指数CFD

※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。

モーニングメール

ストラテジストによる「本日の予想レンジとトレンド」を毎朝※無料でお届け中! ※メール送信は基本的に月~金の平日を予定しておりますが、ストラテジストの都合により予告なく送信を行わない日がございますので、予めご了承ください

弊社の個人情報保護方針・アクセスポリシーにご同意の上、申し込みください。

こちらのコンテンツもお勧めです

IG証券はお取引に際してお客様がご負担になるコストについて明確な情報を提供しています。

FX/バイナリーオプション/CFDのリーディングカンパニー。IG証券について詳しくはこちら

その日の重要な経済イベントが一目でわかるカレンダー。「予想値」、「前回値」、「発表結果」データの提供に加え、国名や影響度によるイベントのスクリーニング機能も搭載。