ドル円 今週の見通し(6/23週):145.00-148.65予想、米軍がイランを攻撃、有事のドル買い加速か
為替市場では現在、中東の地政学リスクを意識した「有事のドル買い」が発生している。同時に円安も進行している。今週もドル円の上値トライを想定したい。予想レンジは145.00-148.65レベル。今週の見通しと注目のテクニカルラインについてIG証券のアナリストが分かりやすく解説。

要点
・ドル円は145円ミドルと146.15レベルの重要テクニカルラインを突破した
・米軍がイランの核施設を攻撃、今週も「有事のドル買い」継続か
・ウォラーFRB理事の発言に市場の反応は限定的、ドル買いの強さを示唆
・ドル円 今週の予想レンジは145.00-148.65
重要テクニカルラインを突破、今週もドル円の上値トライを想定
今週のドル円(USD/JPY)も上値のトライを想定したい。日足チャートでトレンドを確認すると一目雲の上限、そして3月28日の高値と4月22日安値の半値戻しのテクニカルラインが重なる145.55レベルを陽線で突破した。強気相場の勢いが増しているサインである。
そして週明け23日早朝の市場でドル円は、5月高安のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準、89日線そして短期レジスタンスラインが重なる146.15レベルを完全に突破し、147円を視野に上昇幅が拡大している。
ドル円のチャート:日足 今年3月以降

出所:TradingView
米軍がイランの核施設を攻撃、今週も有事のドル買いが進行か
ドル円(USD/JPY)の強気地合いを支えているのが、中東の地政学リスクと筆者は考えている。6月13日にイスラエルがイラン攻撃に踏み切って以降、「有事のドル買い」が進行している。
米ドルの変動率:6月13日以降

ブルームバーグの為替データで筆者が作成
アメリカのトランプ大統領は21日(日本時間22日早朝)、イランの核施設3か所-フォルドゥ、ナタンズ、イスファハンを攻撃し成功したと、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で明らかにした。
米東部時間21日午後10時(日本時間22日午前11時)からトランプ大統領は米国民に対して今回の攻撃について演説した。イランの核濃縮能力の破壊を目的とした攻撃だったこと、他の標的が残っており和平が実現しなければイラン攻撃を続ける姿勢を示した。イランが報復に出る場合は力で対抗するとも述べた。
一方、イラン原子力庁は22日、米国の攻撃について「国際法に違反する攻撃」とする声明を発表、核開発を続ける考えを示した。イスラエル軍は、現地時間22日午前7時半ごろイランからイスラエルに向けてミサイルが発射されたと発表。イスラエルのメディアは、同国の商都テルアビブなど10カ所以上で被害が生じたと報じた。
トランプ氏の演説内容とイランの反発を考えるならば、今回の中東紛争は長引く可能性が出てきた。今週も中東の地政学リスクを意識した「有事のドル買い」を意識したい。
日本円は今月13日以降、対G10通貨ではスウェーデンクローナ以外で円安優勢の状況にある。一方、月初来ではG10全てで日本円が下落している。中東懸念を受けても底堅さを維持する日米の株式市場、追加の利上げに対する日銀の慎重姿勢、そして20日のIG為替レポートで指摘した「中東リスク→原油高→貿易収支と経常収支の悪化懸念」が円安進行の要因と考えられる。
日本円の変動率:月初来

ブルームバーグの為替データで筆者が作成
ウォラー発言の反応は限定的、ドル買いの強さを示唆
米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は20日、米CNBCのインタビューで7月利下げの可能性に言及した。しかし、この日の米国株は上値が重く、米金利には大きな反応は見られなかった。また、短期金融市場では次回の利下げを9月と予想している。これら市場の反応は、ウォラー理事の発言は米FRB内で主流ではない、と市場参加者が考えていることを示唆した。
本来であれば、米FRB高官の早期利下げ発言はドル安の要因である。しかし、この日の米ドルは底堅く、対欧州通貨での下落も限定的だった。「有事のドル買い」の強さを示唆した。
米ドルの変動率(対G10通貨):6月20日

ブルームバーグの為替データで筆者が作成
ドル円の週間見通しとテクニカル分析
予想レンジの上限:148.65
週明け早朝のドル円(USD/JPY)は、冒頭で述べた3つのテクニカルラインが重なる146.15レベルを完全に突破してきた。強気相場の勢いを示唆する動きである。今週も上値トライを想定したい。週間の予想レンジ上限は、5月12日の高値であり全戻しの水準でもある148.65レベル。
ドル円が148.65を目指すサインとして、まずは147.00前後の攻防に注目したい。146.75レベルには100日線が推移している。レポート掲載時点では、この移動平均線をトライする状況にある(日足チャート、青矢印を参照)。
146.88は3月28日の高値と4月22日安値のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。147.10レベルは5月高安のフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準に当たる。最後のテクニカルラインを完全に上方ブレイクすれば148.00ラインのトライを想定したい。ドル円が148円台へ上昇する場合には、予想レンジの上限148.65を視野に上昇幅の拡大を予想する。
レジスタンスライン:日足
・148.65:5月12日の高値水準、予想レンジの上限
・148.00:レジスタンスライン
・147.10:フィボナッチ・リトレースメント76.4%
・146.88:フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準
・146.75:100日線
予想レンジの下限:145.00
ドル円(USD/JPY)の反落要因として注視したいのが、リスク回避の円高である。米軍のイラン攻撃で中東リスクのレベルがさらに上昇した。日米株式市場の下落幅が拡大する場合は、短期的に「有事のドル買い」よりも「リスク回避の円買い」の圧力が勝る可能性がある。この場合は、以下にまとめたサポートラインの攻防を意識したい。
週間の予想レンジ下限は145.00レベル。すぐ下の水準144.90レベルには、日足の一目雲の下限が推移している。
ドル円が145.00のラインを目指すサインとして、以下にまとめた145円台の3つの水準の攻防に注目したい。いずれもレジスタンスラインからサポートラインへ転換する可能性がある。特に相場の上昇を止めてきた145.55レベルは、その可能性が最も高い水準として注目したい。今週もこの水準には、日足の雲の上限が推移する。
上で述べたとおり、中東リスクは「有事のドル買い」と円安の要因である。したがって「リスク回避の円高」が発生しても、その動きは短期で終息することが予想される。
サポートライン
・145.75:サポート転換の可能性あり(1時間足)
・145.55:サポート転換の可能性あり(日足)
・145.20:サポート転換の可能性あり(1時間足)
・145.00:予想レンジの下限(日足)
ドル円のチャート
【再掲】日足:今年3月以降

出所:TradingView
1時間足:6月12日-20日

出所:TradingView
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