【ドル円の見通し】146円の攻防、米英合意で市場ムードが一変 ドル高・円安 米株続伸 金価格の下落拡大
米英が貿易協定で合意した。米中通商協議の進展期待もあり市場のムードが一変している。外為市場では米ドル・円安が進行。ドル円は一気に146円の攻防が焦点に浮上してきた。

概要
トランプ米政権は8日、英国との間で貿易協定の合意を発表した。またトランプ米大統領は、対中関税率が引き下げられる可能性があると述べた。関税協議が進展するとの期待は、市場のムードを一変させている。米国株が続伸する一方、金価格には調整売りの圧力が高まっている。外為市場では米ドルのショートカバー(買い戻し)が入る一方、リスク選好の円安が進行している。ドル円は上値のトライを意識する局面へシフトしている。50日線の突破はさらなる上昇のサインとなろう。
米英の貿易協定合意、米中協議の進展期待、一変する市場のムード
米国の関税協議が進展している。トランプ米政権は8日、英国と貿易協定を締結することで合意したと発表した。協定の詳細については今後数週間にわたり引き続き交渉が行われるとのことだが、米国が進める関税交渉で初の合意となった。またトランプ米大統領は、中国製品に課している145%の追加関税についてこれ以上高くなることはなく、今後引き下げる可能性が高いと述べた。米中両国は今週末、スイスで貿易協議を行う。
関税協議の進展を受け、市場のムードが一変している。米国株は続伸し反発地合いを維持している。S&P500とナスダック指数は相互関税が発表される前の水準へ反発。ダウ平均も4万1,700ドル台まで反発する局面が見られた。
対照的に国際商品市況では金価格に調整売りの圧力が強まっている。NY金先物価格(6月物)は8日、前日比85.9ドル(2.5%)安の3306.0ドルで取引を終えた。スポット価格は日足の一目転換線を下抜けてきた。このテクニカルラインを完全に下方ブレイクする場合は、一目基準線そしてサポート転換が確認された3200ドルを視野に調整売りの進行を警戒する局面にある。
スポット金価格:日足 今年2月以降

出所:TradingView
出所:TradingView
外為市場では米ドルを買い戻す動きが進行している。ドル指数(DXY)は昨日、レジスタンスラインとして意識されていた21日線を陽線で突破。節目の100ポイントも上抜けた。フィボナッチ・リトレースメント23.6%戻しの水準100.81をも突破すれば50日線のトライが視野に入ろう。
ドル指数:日足 年初来

出所:TradingView
リスク選好が促す円売り、ドル円は新たな上値水準の見極めが焦点に
今のリスク選好相場は、米ドルの買い戻しだけでなく円売りも促している。今週6日を境にドル円(USD/JPY)は反発基調へ転じているが、米ドル以外の主要通貨でも円安優勢の状況にある。
今週末に米中が関税協議を行う。米国からはベッセント財務長官とグリア通商代表部(USTR)、中国からは何立峰副首相が出席するという。ロイターの報道によれば、広範な関税の引き下げや特定の品目に関する例外措置の導入について議論されるという。ドル円(USD/JPY)は新たな上値水準の見極めが焦点となろう。
しかし、米中交渉は難航する可能性もある。両国の主張がぶつかり合い合意への不透明感が強まる場合、来週の市場はリスク回避相場へ逆戻りする可能性がある。新たな報道を注視したい。
円相場の動向:6日~8日、対G10通貨

ブルームバーグの為替データで筆者が作成
ドル円の見通しとテクニカルライン
50日線の攻防
ドル円(USD/JPY)のリスクリバーサルの動きを見ると、1週間と1ヶ月のそれらでドルプットの動きが後退している。一方、予想変動率は低下基調にあり、大きな変動は見られない。リスク選好相場を意識した動きと捉えることができる。
ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:日足 年初来

ブルームバーグのデータで筆者が作成
今日のドル円(USD/JPY)は146円の攻防を意識したい。焦点は50日線の攻防となろう。この移動平均線は今日現在、146.30台で推移している。50日線の突破はさらなる上値トライのサインと考えたい。
ドル円が50日線を上方ブレイクする場合は、4時間足のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準146.43レベル、そして日足のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準146.88レベルの攻防に注目したい。後者のテクニカルラインを突破すれば、147円のトライが視野に入ろう。この水準はフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準にあたる(4時間足チャートを参照)。
レジスタンスライン
・147.00:76.4%戻し(4時間足)
・146.88:61.8%戻し(日足)
・146.43:61.8%戻し(4時間足)
・146.31:50日線(日足)
145円と5日線の攻防
4時間足のストキャスティクスは買われ過ぎの水準にある(青矢印を参照)。RSIも買われ過ぎの水準付近まで上昇している。これらオシレーター指標がデッドクロスへ転じる場合は、ドル円(USD/JPY)の反落を想定したい。
しかし現在は、関税リスクの後退で米ドル高・円安を意識する局面にある。ドル円が下値トライの展開となっても、その幅は限定的となることが予想される。最初の焦点は145円の維持となろう。145.00レベルのサポート転換は、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。
ドル円が145円を下方ブレイクする場合は、5日線までの反落を想定したい。この移動平均線はレポート掲載時点で144.30台にある。今の地合いの強さを考えるならば5日線を下方ブレイクする可能性は低い。だが、本日5日線をも下抜ける場合は144円の維持が焦点に浮上しよう。144.00のすぐ上には、日足の一目転換線と基準線が重なって推移している。
サポートライン
・145.00:サポートライン(4時間足、日足)
・144.35:5日線(日足)
・144.08:一目転換線と基準線(日足)
ドル円のチャート
日足:3月以降

出所:TradingView
4時間足:4月以降

出所:TradingView
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