ドル円 週間見通し(10/13週):米中の貿易摩擦再燃と国内の政局不安 変動拡大を警戒
ドル円の週間見通し(10/13~17週)。今週は変動拡大を警戒。週間の予想レンジは149.00~153.25。注目材料と重要チャート水準についてIG証券のアナリストが詳細解説。

要点
追加利下げの思惑と連邦政府機関閉鎖の長期化懸念が高まる中、トランプ米大統領が対中100%追加関税を表明。米中貿易摩擦が再燃する可能性がある。今週は米ドル安を警戒したい。一方、国内では公明党の連立離脱により首相指名選挙を巡る情勢が混とんとしている。政局不安は円安要因と見る。今週、米ドル安と円安のぶつかり合いとなれば、ドル円(USD/JPY)は上下に振れる不安定な相場が予想される。週間の予想レンジは149.00~153.25。
米中摩擦再び、米ドル安とドル円の変動拡大を警戒
今週のドル円(USD/JPY)は、上下に振れる不安定な展開を警戒したい。変動要因として注目したいのが、米中貿易関連の報道である。
トランプ米大統領は10日、中国がレアアース(希土類)の輸出規制を強化したことによる対抗措置として、11月1日から中国からの輸入品に対し100%の追加関税を課すと表明した。また、同日に中国への重要ソフトウエアの輸出制限を発動するとした。
米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げ観測と政府機関閉鎖の長期化懸念が高まっているタイミングで米中貿易摩擦が再燃する可能性が出てきた。この状況は、安全資産の米国債買いを促す要因になり得る。実際、10日の市場では米国債が買われ、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは3.5%を視野に、10年債利回りも節目の4.0%を視野に低下した。
米金利の1時間足チャート:10月以降

TradingView提供のチャート
国内の政局不安は円安要因か
国内の政局不安もドル円(USD/JPY)の変動要因となろう。公明党の連立離脱を受け、新たな首相を選ぶ首相指名選挙で不透明感が高まっている。臨時国会の召集が20日の週にずれ込む可能性が高まっていることで、今週は各党が多数派工作を仕掛けるだろう。これに関する報道で円相場は上下に振れる展開が予想される。
10日15時過ぎに公明党離脱の報道が流れると、円相場は円高で反応した。しかしその動きは一過性に終わり、「高市トレード」の円安を解消する円高は発生しなかった。むしろこの日のドル円の下落拡大を促したのは、前述のトランプ関税砲による米ドル安だった。10日の反応から、国内の政局不安は円安の要因と筆者は考えている。今週、米ドル安と円安がぶつかり合う展開となれば、ドル円は上下に振れる不安定な相場を想定したい。
ドル円の15分足チャート:10月10日の動き

TradingView提供のチャート
野党の一部が、首相指名を巡り国民民主党の玉木雄一郎代表に一本化する動きを見せている。筆者は政局不安を円安要因と考えているが、「高市新総裁不利」の報道で市場が円高に反応し、そのタイミングで米ドル安も重なれば、ドル円の下振れリスクが高まる。このシナリオでは、以下で詳述するサポートラインの攻防が焦点となろう。
ドル円のチャート分析
週間予想レンジの下限:149.00
日足のRSIは買われ過ぎの水準から低下に転じている。ストキャスティクスも同様のトレンドにあり、ドル円(USD/JPY)の下値トライを警戒したい。
今週は、以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。最初の焦点は151.00レベルの攻防となろう。この水準は8月1日の高値レベルである。かつての高値がサポートラインに転換する場合は、151.00レベルが目先の重要ラインとして意識される可能性が高まろう。
ドル円が151円を下方ブレイクする場合は、4時間足チャートのフィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。現在は10日線が150.00へ上昇している。また半値戻しの水準は、150.00直下の149.94レベルにあたる。2つのテクニカルラインが重なる150.00レベルはサポートラインとして意識される可能性があろう。フィボナッチ・リトレースメント38.2%の150.72の下方ブレイクは、150.00をトライするサインと考えたい。
一方、ドル円が150.00を完全に下方ブレイクすれば、IG為替レポートで注目している149.00のトライを想定したい。10月6日はこの水準でサポートされた。21日線も149.00付近へ上昇している。過去の経緯とテクニカルの面で、151.00以上にサポート転換の可能性がある149.00を今週の下限と想定したい。
サポートライン
・151.00:8月1日高値水準(4時間足、日足)
・150.72:38.2%戻し(4時間足)
・150.00:10日線、半値戻しの水準(4時間足)
・149.00:週間予想レンジの下限(日足)
予想レンジの上限:153.25
前述した首相指名選挙での「玉木一本化」のためには、立憲民主党と国民民主党が基本政策で一致することが大前提となる。しかし、現時点でその可能性は低い。日本維新の会と公明党はそれぞれの党首の名前を書く姿勢にある。
現実的に考えるならば、自民党の高市新総裁が新たな首相に選ばれる可能性が高い。いずれにせよ国内の政局不安が円安の要因となれば、ドル円は4時間足チャートにまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。いずれもレジスタンスラインへ転換する可能性がある。
ドル円が152円後半の攻防となる場合は、先週「高市トレード」の円安を止めた153.25レベルのトライを想定したい。このラインを今週の上限と想定したい。
レジスタンスライン
・153.25:週間予想レンジの上限(日足)
・153.00:レジスタンス転換の可能性あり(4時間足)
・152.50:レジスタンス転換の可能性あり(4時間足)
・152.00:レジスタンス転換の可能性あり(4時間足)
・151.50:レジスタンス転換の可能性あり(4時間足)
ドル円の日足チャート:2025年4月以降

TradingView提供のチャート
ドル円の4時間足チャート:9月下旬以降

TradingView提供のチャート
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