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米国株、イラン和平楽観 S&P500連続急騰 エヌビディアは8連騰

S&P500は週次3.56%高の急騰。米国とイランの2週間停戦が好感された。ただ11日の和平協議が決裂に終われば、楽観ムードが吹き飛ぶ恐れもある。

米国株、イラン和平楽観 S&P500連続急騰 エヌビディアは8連騰 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場に楽観ムードが広がった。S&P500種株価指数の10日の終値は1週間前比3.56%高で、2週連続での急騰。大手ハイテク株でも半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が8営業日続伸となるなど、勢いが加速している。米国とイランが7日に2週間の停戦で合意したことへの期待が追い風になり、投資家心理は落ち着きを取り戻し始めた。S&P500はイランでの戦争開始後の急落で割安感が強まっていただけに、投資家の期待が一気に爆発したといえる。また、10日に発表された3月の消費者物価指数(CPI)で、原油高が物価上昇に与える影響が想定の範囲内だったことも、安心材料となった。ただ、原油高の余波はこれから時間を追って表面化する恐れがあり、予断を許さない状況。また11日にパキスタンで行われる米国とイランの和平協議は決裂に終わる恐れもあり、週明け13日以降のS&P500の値動きでは楽観ムードが吹き飛ぶ可能性もありそうだ。

アメリカのS&P500は週次3.56%高 米イラン停戦で4か月半ぶりの上昇率

S&P500(SPX)の10日の終値は前日比では0.11%安の6816.89。8営業日ぶりの反落となったものの、週次での上昇率(3.56%高)は連邦準備制度理事会(FRB)幹部の発電で利下げへの期待が高まった11月24-28日週(3.73%高)以来、約4か月半ぶりの大きさだった。ブルームバーグによると、10日の終値は、2月28日のイスラエルと米国によるイラン攻撃から3月30日までに記録した下落幅の88%を回復する水準。1月27日の最高値(6978.60)との比較では2.32%安にあたる。S&P500は前週(3月30日-4月3日)も石油の重要通商ルートであるホルムズ海峡封鎖解除への期待で、3.36%高の急騰を記録していた。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

エヌビディアは8営業日続伸で14.20%高 VIX指数は28営業日ぶりに20割れ

S&P500への影響度が大きい大手ハイテク株の値動きにも楽観ムードが感じられる。株式市場における人工知能(AI)ブームを象徴する銘柄であるエヌビディアの株価(NVDA)は10日に前日比2.57%高となり、8営業日続伸。この間、合計14.20%高となっている。またアマゾン・コム(AMZN)は5営業日続伸で合計13.64%高、メタ・プラットフォームズ(META)も4営業日続伸で9.92%高となっており、勢いが感じられる値動きだ。

アルファベット、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コム、マイクロソフト、アップル、テスラの株価の推移のグラフ

S&P500の明るいムードの背景には米国とイランの停戦への期待がある。米国とイランは米国東部時間7日夕方に2週間の停戦で合意。S&P500は翌8日に前日比2.51%高となった。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)は9日には19.49まで低下し、28営業日ぶりに20の大台を割り込んだ。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、S&P500の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す

VIXとS&P500の推移のグラフ

S&P500急騰の背景に割安感 3月CPIの上昇加速は予想の範囲内

S&P500の急騰は割安感で後押しされた面もある。ブルームバーグによると、S&P500の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は3月30日段階で19.5倍まで低下し、2025年4月21日以来の低さになっていた。S&P500の予想PERは10日段階では21.0倍程度。AIブームが本格化した2023年以降の平均値(21.2倍)に近い水準で、過熱感はみられない。

S&P500と予想株価収益率の推移のグラフ

また、10日発表の3月CPIの結果は、S&P500の値動きにショックを与えなかった。3月CPIでは、総合指数の伸び率が前年同月比3.3%となり、2024年5月(3.3%)以来の高さ。イラン戦争後の原油価格の急騰によるガソリン価格の上昇などが影響した。とはいえ、3月の総合指数の伸び率は、ブルームバーグがまとめた市場予想(3.4%)は下回っており、株式市場では想定内の結果と受け止められた。また食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は2.6%で、前月(2月)の2.5%からわずかな加速にとどまり、市場予想(2.7%)を下回っている。

アメリカの消費者物価指数の伸び率の推移のグラフ

原油価格の高止まりは継続 物価上昇のさらなる過熱も

ただ、原油高の余波は今後、時間を追って表面化する恐れがある。ガソリン価格の上昇は運送コストを高くすることが避けられず、次第に小売り価格に転嫁されていくとの見方が強い。また原油高は天然ガスや石油から製造される肥料価格にとってもコスト増の要因で、中期的に食品価格の上昇を加速させる可能性もある。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(5月渡し、WTI原油)の10日の終値は1バレル=96.57ドル。引き続き高止まりといえる状況で、S&P500にとっての重荷となり続けている。

WTIの推移のグラフ

米国とイランの和平協議には決裂懸念も 週明け13日以降のS&P500の見通しに不安

また11日にパキスタンで行われる予定の米国とイランの和平協議には決裂で終わる懸念もある。イラン側の交渉役となるモハンマド・バゲル・ガリバフ国会議長は米国東部時間10日午前10時台にSNSのXへの投稿で、交渉開始の前提条件として、「レバノンでの停戦」と「イランの資産への凍結措置の解除」を列挙。これに対して、トランプ氏は10日午前12時台、自身のSNSトゥルースソーシャルに、「イランは自分たちが切れるカードを持っていないことを分かっていないようだ」と投稿。イランによるホルムズ海峡封鎖は短期的にしか通用しないとの見方を示し、交渉開始を迫った。

仮に11日の米国とパキスタンの協議が行われなかったり、目立った成果を残せなかったりした場合には、双方が緊張を高める発言や行動を繰り出す可能性がある。この場合、週明け13日以降の株式市場で楽観ムードが消失し、S&P500の急騰にブレーキがかかる展開も想定されそうだ。


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