米国株、イラン和平の実現に強気 S&P500急上昇 業績予想に不安も
S&P500はイラン戦争開始前の水準を回復。和平実現への期待が続いている。一方、注目企業の業績見通しが投資家心理を冷やす恐れもある。
アメリカの株式市場に強気が戻った。S&P500種株価指数の13日の終値は前週末比1.02%高。3月30日の安値から8%超の急上昇を果たし、2月末のイラン戦争開始前の水準を回復した。週末に行われた米国とイランの和平協議は合意に失敗したものの、双方が交渉継続を探っており、和平実現に向けた期待感が投資家心理を改善させている。また米国がイランに対する海上封鎖に乗り出す中でも、原油先物市場に過度な混乱が起きていないことも好材料。決算発表シーズンが始まる中、企業業績への期待も高まっていて、大手ハイテク株の好調さがS&P500の上昇を勢いづけている。一方、米国とイランの和平協議が株式市場の思惑通りに前進するかどうかは不透明で、注目企業の決算会見で示される業績予想が投資家心理に冷や水をかける可能性も残されている。S&P500の今後の見通しをめぐっては、米国とイランの2週間の停戦が終わる1週間後に向けて、緊張が再燃する展開も考えられそうだ。
アメリカのS&P500は3月30日から8.55%高 イラン戦争開始前の水準を回復
S&P500(SPX)の13日の終値は6886.24。ブルームバーグによると、直近の安値をつけた3月30日以降の9営業日中、8営業日で値上がりし、この間、8.55%高の急上昇となった。13日の終値はイスラエルと米国がイランへの攻撃を始める前日にあたる2月27日の水準(6878.88)を超えており、投資家の強気が戻ったといえる。1月27日の最高値(6978.60)からは1.32%安だ。
米国とイランは和平協議の合意に失敗 交渉継続を探る
S&P500の上昇の背景には、合意に失敗した米国とイランの和平協議の見通しに対する楽観がある。11日から12日にかけて行われたパキスタンでの和平協議は合意に失敗。米国は13日からイランを出入りする船舶のホルムズ海峡通過を阻止する海上封鎖に乗り出したが、双方とも交渉継続の意思は崩していない。
ブルームバーグによると、ドナルド・トランプ大統領は13日、ホワイトハウスで、イラン側の「しかるべき人たち」から電話があったと明かし、「彼らは交渉したがっている」と述べた。また、イランのマスウード・ベゼシュキアン大統領は日本時間13日未明にSNSのXへの投稿で、米国が全体主義を放棄し、イランの権利を尊重するのであれば「合意への道筋は確実に見つかる」と投稿。イランのタスニム通信によると、イランの外務省報道官もパキスタンでの協議について多くの課題で合意に達したとし、「外交は決して終わらない」と述べていた。
投資家心理の改善進む 原油価格の値動きは混乱を回避
こうした中、13日の金融市場では投資家心理が改善。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の13日の終値は前日よりも0.57%低い19.12となった。4営業日連続の低下で、2月26日(18.63)以来の低さだ。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
投資家の見通しに対する楽観は、原油価格の動きにも支えられている。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(5月渡し、WTI原油)の13日の終値は1バレル=99.08ドル。和平協議の合意失敗を受けて一時、105.63ドルまで上昇した後は値下がり基調となった。日本時間14日午前の取引では96ドル台で推移し、下落幅を広げている。原油価格の上昇は、世界経済の混乱や米国内でのガソリン価格上昇を引き起こすS&P500にとっての不安材料だが、足元の値動きは過度な混乱を回避しているといえそうだ。
S&P500の予想EPSは戦争開始前から3.1%増 エヌビディアは9営業日続伸
原油価格をめぐる一定の安心感は、企業業績への期待の拡大の裏付けにもなっていそうだ。ブルームバーグによると、S&P500構成銘柄の今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)は13日段階で325.93ドル。イラン戦争開始前日の2月27日比で3.1%増となっている。米国で大手企業の2026年1-3月期決算発表が始まる中、好調な見通しが示されるとの見方が強まっている。
和平協議の行方に不透明感 ASMLやTSMCの業績見通しも焦点
一方、米国とイランの和平協議が投資家の期待通りに進むかどうかは不透明で、S&P500の見通しに下落リスクがある状況に変わりはない。イランがウラン濃縮を継続する意向を示し、米国がイランから核開発を行わないとの確約を得られないことに不満を示すという長年にわたる対立の構図は現在も続いており、事態が打開される道筋は見えてこない。またホルムズ海峡の封鎖が7週目に入る中、世界の経済活動への打撃がこれから明らかになる可能性もある。15日に予定されるオランダの半導体製造装置大手ASMLホールディング(ASML)の決算発表や、16日の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)の決算発表で、業績見通しへの不安が示されれば、投資家心理が冷え込む展開もありえる。
イラン戦争をめぐっては、米国とイランがともに和平を望んでいるとしても、相手側から譲歩を引き出すために強硬姿勢を強めることも考えられる。双方が7日に合意した2週間の停戦期間が終わりに近づくにつれて、S&P500に波乱が起きるリスクが高まることもありえそうだ。
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