ソニーグループ、株価上昇に勢い ゲーム事業好調 半導体には暗雲も
ソニーグループの株価は8月に入って14%高。ゲーム事業の好調さが要因だが、トランプ氏が進める製造業の米国回帰は業績の逆風になりえる。

ソニーグループの株価上昇が勢いづいている。ソニーグループの株価は18日前場の終値段階で、7月末比14%の値上がり。7日に発表した2025年4-6月期決算でゲーム事業を中心とするエンターテイメント分野の好調さを示したことが好感されている。7月末比での上昇率はゲーム事業でのライバルにあたる任天堂に迫っており、株価の伸び悩みは克服されたといえそうだ。また、アメリカのドナルド・トランプ大統領の高関税政策をめぐっては、日米関税協議での合意の結果、悪影響の規模が縮小する見通し。米国経済の悪化の可能性についても一定程度の耐性があるとみられることも好材料だ。ただ、トランプ氏が製造業の米国回帰を促していることはソニーグループの業績への逆風になる可能性もあり、不安要因として拡大していくシナリオも考えられる。
ソニーグループの株価は8月に入って14%上昇 株価の伸び悩みを克服
ソニーグループの株価は18日前場の終値で4200円。7月末の終値との比較では14.07%高となっており、最高値更新を繰り返している日経平均株価(N225)の6.55%高を上回る伸び率だ。7日正午に発表した4-6月期決算でゲーム事業の収入が前年同期比8.3%増の9365億円となり、ブルームバーグがまとめた直前の市場予想の7900億円程度を大きく上回ったことなどが好感された。ソニーグループの株価は任天堂が6月に家庭用ゲーム機「Nintendo Switch 2(ニンテンドー・スイッチ2)」を発売してから伸び悩んでいたが、7月末比での伸び率は任天堂の16.08 %高と見劣りしない勢いとなっている。

ゲーム事業はユーザー数が上昇 米国関税の悪影響の見通しも700億円まで縮小
ソニーグループのゲーム事業の好調さはユーザー数の増加にも現れている。4-6月期の月間アクティブユーザー数は前年同期比6.0%増の1億2300万人で、2024年7-9月期(8.4%増)以来の高い伸びとなった。総プレイ時間も6%増となっており、ゲーム事業の収益基盤は着実に広がっているもようだ。陶琳CFOは7日の業績説明会でゲーム事業の稼ぐ力にも自信を表明。利用者数の拡大や利用者1人当たりの収入の高まりなどが「構造的な利益率の改善につながる」としている。

またソニーグループは4-6月期決算発表に際し、2026年3月期の業績見通しを上方修正。金融事業を除くベースでの営業利益が1兆3300億円になるとし、5月時点の1兆2800億円から引き上げた。7月23日に日米の関税協議での合意が発表されたことを踏まえ、トランプ氏の高関税政策による悪影響の見通しを700億円とし、5月段階から300億円引き下げたことや、ゲーム事業の好調さを反映した結果だ。
さらにソニーグループは米国経済の見通しの不透明さが業績に及ぼす悪影響についても一定の自信を示した。陶氏はソニーグループが成長事業として位置付けているゲーム、映画、音楽のエンタメ関連3事業について「景気の影響を直接的には受けにくいという事業特性がある」と説明。早川禎彦執行役員は、この3事業の収入の総収入に占める割合は2025年3月期の実績で60%を超えていたことを強調した。
トランプ氏の製造業米国回帰政策は半導体事業にとっての逆風か
ただ、ソニーグループの業績がトランプ氏がもたらす波乱から完全に逃れられているわけではない。トランプ氏は製造業の米国回帰を進めることが看板政策のひとつ。6日には輸入半導体に対する100%関税に言及しつつ、米国内に投資している企業は例外扱いする考えを示した。こうした中、ソニーグループが半導体事業で手掛けるイメージセンサーの顧客であるアップルをめぐっては、2026年発売のiPhone(アイフォン)には米国のテキサス州に工場を持つサムスン電子のイメージセンサーが採用されるとの観測も出ている。半導体事業は4-6月期の収入が前年同期比15.5%増の4081億円になるなど好調だったが、今後は見通しへの不安も意識されそうだ。

堀井直也執行役員は業績説明会で、ソニーグループは米国内には半導体の製造拠点を持っていないとし、アップルへの言及を避けつつも「短期的には米国内での生産での対応は非常に、現実的には難しい」と述べた。米国企業の国内調達が進むことを想定した対応策については、「全部の答えを持ち合わせているわけではない」と話すにとどめている。ソニーグループの株価の見通しは、こうした半導体事業をめぐる不安を、エンタメ3事業の好調さで払拭できるかにかかってきそうだ。
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