金価格見通し(10/31): 4000ドル回復も売り警戒、焦点は3900ドルと4100ドルの攻防
今日の金価格の見通し。4000ドル回復も調整売りを意識する状況が続く。注目のチャート水準についてIG証券のアナリストが解説。
 
 要点
30日の取引で金価格が4000ドルを回復するも、調整売りを警戒する状況が続く。年初来53%高の過熱感に加え、米中の関係改善と米利下げの不透明感が重石となる見込み。下値の焦点は3900ドルの維持となろう。一方、反発が続けば4100ドルのトライを想定したい。しかし、10日線とMACDの下降転換、RSIの50割れなど弱気シグナルが点灯。反発の局面では戻り売りを意識したい。
4000ドル回復も調整売り警戒
30日の取引でスポットの金価格が反発。4000ドル台を回復した。しかし、10月21日の急落以降、上値の水準がじりじりと切り下がっている。下降トレンドへ転じている10日線とMACD、そして一時50の水準を下回ったRSIの動きは、金価格の地合いの弱さを示唆している。後述する金価格を取り巻く状況も考えるならば、調整売りを警戒したい。
金価格の日足チャート:2025年8月以降
 
 TradingView提供のチャート
米利下げに不透明感、金価格の重石に
ブルームバーグのデータによれば、レポート掲載時点で金価格は年初来53%高と、調整局面にあるなかでも過熱感が意識されやすい状況が続いている。
30日の米中首脳会談では、中国がレアアース輸出規制を1年間停止し、かつ米国産大豆の輸入拡大をする一方、米国が100%の追加関税を取り下げるなど関係改善に向けて前進した。米中懸念の後退は金価格の反発を抑制する要因として警戒したい。
金価格にとって、もう一つネガティブな要因が発生している。米利下げの不透明感である。29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、大方の予想どおり0.25%の利下げが決定された。しかし、利下げの判断を巡り米カンザスシティ連銀のシュミッド総裁が政策金利の据え置きを主張し、政策判断で意見が割れた。
市場が注目したのが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言だった。パウエル議長は12月会合での(政策の)進め方について、今回の会合では委員の間で強く異なる見解があったと述べた。また、12月会合での利下げは既定路線ではないとし、追加の利下げを意識する市場をけん制した。
OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場では、FOMC前まで利下げが織り込まれていた12月の確率が70%台へ低下している。30日は一時60%台へ急低下する局面が見られた。また、60%台まで上昇していた2026年1月の利下げ確率も30%台へ急低下している。来年1月までの追加利下げを確実視しながらも、パウエル発言で不透明感が増している状況は金価格の重石となろう。
米FOMC 12月の利下げ確率
 
 ブルームバーグのデータを基に作成 / OIS市場の確率 / 10月31日 午前9時時点
金価格のチャート分析
4100ドルの攻防
金価格は現在、4100ドルがレジスタンスラインに転換する兆しが見られる。注目は2つの移動平均線である。4100ドルラインを挟んで下に10日線と上に20日線が展開している。10日線の上方ブレイクは、4100ドルをトライするサインとなろう。4時間足チャートの4050ドルもレジスタンスラインに転換する兆しが見られる。この水準を突破すれば、10日線の攻防を意識したい。
21日の急落以降、金価格の変動が拡大する傾向にある。4100ドル(20日線)を突破する場合は、28日のIGコモディティレポートで取り上げた今週の上限と想定した4160ドルを視野に買い戻しの進行を想定したい。直近高安の半値戻し4133ドルの突破は、4160ドルをトライするサインとなろう。
上値水準
・4160ドル:予想レンジの上限
・4133ドル:半値戻し
・4107ドル:20日線
・4100ドル:レジスタンス転換の可能性あり
・4077ドル:10日線
・4050ドル:レジスタンス転換の可能性あり
3900ドルの維持
金価格が調整売りに直面する場合は、3900ドル台への反落を想定したい。
最初の焦点は、8月20日の安値と10月20日高値のフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準3972ドルの攻防となろう(日足チャート)。このテクニカルラインを下方ブレイクする場合は、29日と30日に相場を支えた3915ドルのトライを想定したい。下落の局面では、サポートラインへ転換しつつある3900ドルの維持が焦点となろう。
昨日の反発で可能性は後退したが、3900ドルの下方ブレイクを警戒したい。この水準がレジスタンスラインへ転換する場合は、IGコモディティレポートで注目している50日線が視野に入ろう。この移動平均線は現在、3872ドル付近へ上昇している。
下値水準
・3972ドル:フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準
・3915ドル:29日・30日の安値水準
・3900ドル:サポートライン
・3872ドル:50日線
【再掲】金価格の日足チャート:2025年8月以降
 
 TradingView提供のチャート
金価格の4時間足チャート:10月以降
 
 TradingView提供のチャート
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