ドル円見通し(12/12):米ドル安 vs 円安、高値圏でのレンジ予想
IG証券のアナリストによる今日のドル円予想。高値圏での米ドル安と円安の交錯でレンジ相場を予想。注目のチャート水準は?
要点
- FOMC後に米ドル安が進行。一方で円安も根強い。今日のドル円は高値圏での「米ドル安 vs 円安」を予想する
- 下値の焦点は154.40レベルの維持となろう。この水準を下方ブレイクすれば、50日線が推移している154.00のトライが視野に入る
- 上値の焦点は156円台への再上昇と維持となろう。21日線が156.00直下で推移している。
米ドル安進行
10日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備制度理事会(FRB)は3会合連続の利下げを決定。政策金利を3.50~3.75%へ引き下げた。
市場参加者が注目した2026年のドットプロット(FOMC参加者の政策金利予想)は3.4%(1回利下げの予想)で9月時点から変化がなかった。
一方、翌日物金利スワップ(OIS)市場の見通しはより緩和的で、来年10月までに3.1%台までの利下げを織り込む状況にある。OIS市場の反応とFOMC後の外為市場での米ドル安は、“タカ派”懸念の後退を示唆している。
米ドルのトレンドを示すドル指数(DXY)は昨日90日線を完全に下方ブレイクした。現在は、9月安値と11月高値の半値戻し(98.30)をトライする状況にある。
ドル指数の日足チャート:今年9月以降
TradingView提供のチャート
米ドル安 vs 円安
11日の外為市場でドル円(USD/JPY)は一時155円を下抜けた(安値154.95)。
今日も米ドル安による下落を警戒する必要がある。しかし、筆者は下落幅が限定的となると予想している。その理由は根強い円安にある。11月20日にドル円は158円手前まで上昇。その後下降トレンドに転じている。しかし、クロス円の動向を確認すると、円安優勢の状況にあることが分かる。円高へ振れているのは対米ドルのみ(下チャート 赤ラインを参照)。現在の外為市場が「米ドル安 vs円安」の状況にあることを示している。
円相場の変動率:11月21日~12月11日
ブルームバーグの為替データで作成
ドル円 今日の展望とチャート分析
展望
今日のドル円(USD/JPY)は、引き続き下値水準の見極めが焦点となろう。しかし、前述の根強い円安が米ドル安を相殺しよう。高値圏でのレンジ相場を予想する。
下落局面では、サポートラインに転換している154.40レベルの維持が焦点となろう。一方、反発局面では156円台への反発とこの水準を維持できるかに注目したい。
154.40の攻防
日足のMACDはデッドクロスに転じ下降トレンドにある。157.00レベルがレジスタンスラインに転換し、昨日は21日線を下方ブレイク。155.00レベルも下抜ける場面があった。いずれの動きも地合いの強さが後退していることを示唆している。今日もドル円(USD/JPY)が下値トライとなれば、日足チャートにまとめた水準の攻防に注目したい。
154円台の攻防となる場合、注目すべきはサポートラインに転換している154.40レベルの維持となろう。日足の一目基準線(155.35)、フィボナッチ・リトレースメント23.6%(155.22)の下方ブレイクは、155.00割れのサインと捉えたい。155.00割れの後の反発局面で、この水準がレジスタンスラインに転換する場合は、154.50のトライを意識したい。
米ドル安の進行でドル円が154.50をも下方ブレイクする場合は、154.00の維持が焦点に浮上しよう。このラインには現在、50日線が上昇している。
今日のサポートライン
・155.35:一目基準線
・155.22:23.6%戻し
・154.40:重要サポートライン
・154.00:50日線
156円台への反発と維持
一方、ドル円(USD/JPY)の反発局面では、156円台への再上昇と維持が焦点となろう。156.00直下の155.90台には現在21日線が推移している。テクニカルの面でも156.00レベルはレジスタンスラインとして意識されやすい状況にある。
ドル円が156円を目指すサインとして、1時間足チャートのフィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。38.2%戻し(155.71)は11日NY時間の反発を止めた水準だ。今日の東京時間でもトライし、レジスタンスラインとして反発を止めている。一方、半値戻し(155.95)は、21日線とともに156.00トライを阻む可能性がある。
ドル円が156円台へ上昇する場合は、昨日の欧州時間にレジスタンスラインとして意識された61.8%戻し(156.18)のトライを想定したい。
今日のレジスタンスライン
・156.18:61.8%戻し
・156.00:レジスタンスライン、直下に21日線
・155.95:半値戻し
・155.71:38.2%戻し
※FOMC後から11日にかけての高安
ストキャスティクスRSIで過熱感を確認しながら、上記のサポート・レジスタンスの水準をトライする局面では反発・反落を意識したい。
ドル円の日足チャート:今年10月以降
TradingView提供のチャート
ドル円の1時間チャート:12月9日以降
TradingView提供のチャート
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