金価格見通し: 初の4100ドル突破で最高値更新、過熱警戒も反落は押し目買いの好機
金価格の短期見通し(10/14~17)。初の4100ドル突破で最高値を更新。過熱相場を警戒するも、反落の局面では押し目買いを狙いたい。注目のチャート水準についてIG証券のアナリストが詳細解説。

13日の市場で金価格が初めて4100ドルを突破し最高値を更新した。米FRBの追加利下げ観測、米政府機関閉鎖の長期化懸念、そして米中貿易摩擦という3つの要因が、ドル高局面でも金(ゴールド)買いを支えている。今週の予想レンジは4060~4200ドル。短期間での上昇拡大で相場の過熱感が高まっている。調整売りを警戒したい。しかし、今の地合いの強さを考えるならば、調整局面は押し目買いの好機と考えたい。
金価格、初の4100ドル突破で最高値更新
金価格の上昇が止まらない。週明け13日の市場で初めて4100ドルを突破。4117ドル(IGレート)まで上昇し最高値を更新した。
ブルームバーグのデータによれば、今月に入り金価格はすでに6%超上昇している(レポート掲載時点)。9月は12%上昇した。短期間でおよそ18%も急騰している状況は、市場参加者に高値警戒感を意識させる要因となろう。しかし、以下で詳述する金(ゴールド)を取り巻く現在の状況を考えるならば、今週も強気相場と新高値の水準を探る展開が予想される。
金価格の15分足チャート:10月13日の動き

出所:IGチャート
3つの下支え要因
現在の金価格は、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げ観測、米政府機関閉鎖の長期化と景気への懸念、そして米中貿易摩擦が下支え要因となっている。
米FRBは9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げを決定した。10月と12月の会合でも追加利下げに踏み切る可能性が高まっている。金価格のトレンドを日足チャートで確認すると、18日(FOMC)以降、上昇幅が拡大していることが分かる。追加利下げを意識した動きである。
そして10月1日以降、予算失効により米政府機関の一部が閉鎖に追い込まれている。これをきっかけに金価格はさらに上昇し、節目の4000ドルを突破した。
金価格の日足チャート:2025年9月以降

TradingView提供のチャート
トランプ米大統領は10日、中国がレアアース(希土類)の輸出規制を強化したことによる対抗措置として、11月1日から中国からの輸入品に対し100%の追加関税を課すと表明した。また、同日に中国への重要ソフトウエアの輸出制限を発動するとした。中国は12日、対抗措置を示唆。トランプ米政権は協議を続ける意向を示している。
貿易摩擦は両国の国益を棄損するため、落としどころを探る協議が継続すると思われる。しかし、米中の貿易対立は世界の覇権をかけた戦いの一環である。したがって、今後も市場のリスク要因として意識されよう。ゆえに安全資産である金の投資需要も拡大することが予想される。
10日の市場で反落ムードにあった金価格だったが、トランプ関税の報道で買い戻しが入った。こうした米中リスクへの警戒が、金買いを下支えしている。
ドル高の局面でもゴールド買い
また、筆者が注目しているのが米ドルとの関係である。10月以降、米ドルは対ユーロで上昇基調へ転じている(ユーロドル[EUR/USD]は下落基調にある)。
しかし、米ドル高の局面にあっても金(ゴールド)の買いが続き、節目の4000ドルを難なく突破。昨日は4100ドル台へ上昇した。こうした動きは、今の強気地合いの強さを示唆している。前述の上昇要因も考えるならば、金価格の反落局面では押し目買いを考えたい。
ユーロドルの4時間足チャート:9月以降

TradingView提供のチャート
金価格のチャート分析
予想レンジの上限:4200ドル
今日以降も金価格が上昇トレンドを維持する場合は、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。
レポート掲載時点で13日の高値4117ドルをすでに突破し、4130ドル台まで上昇している状況を考えるならば、4168ドルのトライを意識したい。この水準はV計算値にあたる(4時間足チャート)。
次の上値ターゲットは、フィボナッチ・エクステンション100%の水準4184ドルとなろう。このテクニカルラインをも突破すれば、次の節目のラインである4200ドルが視野に入る。このラインを今週の上限と想定したい。
レジスタンスライン
・4200ドル:次の節目のライン、予想レンジの上限
・4184ドル:フィボナッチ・エクステンション100%
・4168ドル:V計算値の水準
予想レンジの下限:4060ドル
今週、調整売りの要因になり得るのが、冒頭で述べた相場の過熱感である。ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめた主要な金ETFの週間資金フロー・データによれば、資金の流入額が減少の傾向にある。相場の過熱感を意識した動きの一つと筆者は考えている。
米中貿易関連の報道で対立懸念を後退させるヘッドラインが流れる場合もまた、調整売りの要因となろう。
金ETFの資金フロー:2025年7月以降

ブルームバーグ・インテリジェンスのデータを基に作成 / 週間データ
しかし、現在の地合いの強さを考えるならば、金価格の反落局面では以下にまとめたサポートラインで押し目買いを考えたい。まずは、昨日の安値4090ドルとサポート転換の兆しがある4075ドルの維持が焦点となろう。
筆者が注目している水準が4060ドルである(4時間足チャートを参照)。先週、金価格の上昇を止めたこの水準がサポートラインに転換すれば、調整売り終了のサインとなり、再び上値をトライする展開が予想される。また、現在この水準付近には5日線(4062ドル)が上昇している。テクニカルの面でも4060ドルを今週の下限と想定したい。
サポートライン
・4090ドル:10月13日の安値
・4075ドル:サポート転換の可能性あり
・4060ドル:サポート転換の可能性あり
・4030ドル:5日線(14日時点)
金価格の4時間足チャート:9月下旬以降

TradingView提供のチャート
金価格の日足チャート:9月下旬以降

TradingView提供のチャート
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