金価格見通し(11/26):米ドルの動きを注視、4040ドル~4250ドルレンジの攻防
金価格の短期見通し。トレンドは米ドル次第。注目のチャート水準についてIG証券のアナリストが詳細に解説。
要点
- 12月の米利下げ期待が上昇し米金利が低下。米ドル高も一服し、金価格は4100ドル台の攻防にある
- 金上昇の持続性は米ドル次第と見る。今日は、週間の米新規失業保険申請件数が米金利と米ドルの変動要因となろう
- 金価格、目先の予想レンジは4040ドル~4250ドル(今週28日まで)
金価格上昇、4100ドル台の攻防
今週に入り金価格が強含んでいる。24日の市場では前週末比71ドル(1.75%)高となり、節目水準の4100ドルを突破。25日の取引では一時4159ドルまで上昇。レジスタンスラインに転換する兆しが見られる4160ドルの攻防が視野に入る。
金価格の15分足チャート:24日~25日
出所:IGチャート
米金利の低下が下支え
12月の米利下げ期待が再び高まっている。米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は21日、近い将来の利下げに言及。それまで40%台にあった12月の利下げ確率が90%台へ跳ね上がっている。現在も約92%の確率で12月の利下げを織り込む状況にある。
一方、来年1月利下げの確率は急速に低下し、連続利下げを織り込む状況にはない。この点は、後述する米ドルのトレンドに影響を与えるだろう。
米FOMC 利下げ確率の推移:12月 / 来年1月
ブルームバーグ、OIS市場のデータで作成 / 26日午前9時時点
米ブルームバーグは25日、米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長として国家経済会議(NEC)のハセット委員長が最有力候補と報じた。
12月の利下げ観測とトランプ米大統領の腹心であるハセット氏がFRB議長に就任する可能性が意識され、米債市場では金融政策の方向性を織り込む2年債利回りが再び3.4%台へ低下している。一方、10年債利回りは25日の市場で一時4.0%を割り込む場面があった。米金利の低下が金価格の押し上げ要因となっている。
米金利と金価格の5分足チャート:24日~25日
TradingView提供のチャート
米ドル次第
金価格が4160ドルや4200ドルのレジスタンスラインを突破し、上昇トレンドへ回帰するかどうか?米ドルがこの鍵を握っていると筆者は考えている。
米ドルのトレンドを示すドル指数(DXY)は、米金利の低下に追随し100.30ポイント付近で反落。しかし、利下げ期待の高まりと米金利の低下を受けてなお右肩上がりのトレンドチャネル内にあり米ドル高トレンドを維持している。4時間足のストキャスティクスRSIは売られ過ぎの水準でゴールデンクロスへ転じつつあり、ドル指数の反発を暗示している。
12月利下げを完全に織り込む場合は、米ドル高のトレンドが続くことが予想される。前述の通り、現時点では連続利下げを織り込む状況にはないからだ。米ドル高の局面では金価格の反落を警戒したい。
一方、「利下げ期待→米金利の低下拡大→米ドル安」の展開となれば、金価格は後述する上値水準の攻防を想定したい。
ドル指数の4時間足チャート:9月以降
TradingView提供のチャート
金価格の見通しとテクニカル分析
上限:4250ドル
「利下げ期待→米金利の低下」を受け、米ドル高が一服している状況を考えるならば、現在の金価格の焦点は、新たな高値水準の見極めにある。
今日以降も上昇トレンドを維持する場合、目先の注目水準は、冒頭で述べた4160ドルの突破となろう。レジスタンス転換の可能性があるこのラインを上方ブレイクすれば、4200ドルの攻防が視野に入る。4193ドルは、10月の高値と安値のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。4200ドルは、テクニカルの面でもレジスタンスラインとして意識されやすい状況にある。
米金利の低下と米ドル安が進行する場合、金価格は4200ドル台へしっかりと上昇する可能性がある。この場合は、11月13日の高値水準4245ドルのトライを意識したい。上の水準4250ドルを今週28日までの上限と予想する。
上値水準
・4250ドル:上限(予想)
・4245ドル:11/13高値(4時間足、日足)
・4200ドル:レジスタンスライン、直下に61.8%戻し(日足)
・4160ドル:レジスタンス転換の可能性あり(4時間足、日足)
下限:4040ドル
日足のモメンタムはゼロライン付近で推移している。4時間足のストキャスティクスRSIは買われ過ぎの水準でデッドクロスに転じつつある。昨日は4160ドル手前で見事に上昇が止められた。
今日は週間の米新規失業申請件数が米金利と米ドルの変動要因となる可能性がある。強気地合い後退の可能性がくすぶる状況で、新規失業申請件数が米雇用不安を払拭する内容となれば、「米ドルの買い戻し→金価格の反落」を想定したい。
下値トライの局面では、4100ドルの維持が最初の焦点となろう。直下の4097ドル付近に10日線が上昇している。この移動平均線は、レジスタンスラインとしてもサポートラインとしても意識された経緯がある。一方、上の水準4110ドル付近はサポートラインに転換する兆しが見られる。
金価格が10日線を下方ブレイクする場合は、50日線を視野に下落拡大を警戒したい。11月下旬以降、この移動平均線はサポートラインとして意識されている。直下の4040ドルはサポートラインに転換する可能性がある。50日線とサポートゾーンを形成する可能性を意識し、4040ドルを今週28日までの下限と予想する。
下値水準
・4110ドル:サポート転換の可能性あり(4時間足)
・4100ドル:直下に10日線(日足)
・4060ドル:50日線(日足)
・4040ドル:下限(予想)
金価格の日足チャート:今年10月以降
TradingView提供のチャート
金価格の4時間足チャート:10月下旬以降
TradingView提供のチャート
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