アルファベット、広告収入減速か 23日決算 検索離れは株価に不安
アルファベットが23日に行う4-6月期決算は総収入の伸びが焦点。大黒柱の広告事業には対話型AIの台頭による検索離れの不安もつきまとっている。

アルファベットが23日の取引時間終了後に発表する2025年4-6月期決算は総収入の成長を維持できるかが焦点だ。アルファベットの総収入の前年同期比伸び率は前期(1-3月)、金融市場での減速予想を跳ね除ける形で加速。しかし金融市場では4-6月期の成長について改めて減速が見込まれており、アルファベットの地力が問われる局面となっている。また、アルファベットはドナルド・トランプ大統領の高関税政策がもたらす経済の見通しの悪さに加え、人工知能(AI)の普及が消費者の「検索離れ」を招くとの懸念も持ち上がってきた。4-6月期の決算発表で収益源の広告事業に成長減速がみられた場合には、株価に下押し圧力がかかる可能性がありそうだ。
アルファベットの2025年4-6月期決算は総収入の成長が減速する見通し
アルファベットは米国東部時間の23日午後4時30分(日本時間24日午前5時30分)に決算会見を開く。ブルームバーグのまとめによると、アルファベットの4-6月期に関する事前予想では、総収入は前年同期比10.7%増の938.24億ドル、1株当たり利益(EPS)は14.8%増の2.17ドルになる見通しだ。予想通りになれば、総収入は前期(1-3月期)の12.0%増から成長が鈍化し、1株当たり利益は前期の48.7%増から急減速することになる。アルファベットは直近21回の四半期決算のうち、3回で総収入が市場予想を下回った。1株当たり利益では4回で予想を超えられなかった。

アルファベットの株価は2024年末比3.86%安 投資家の期待は高まらず
アルファベットの株価(GOOGL)の15日の終値は182.00ドルで、2024年末比で3.86%安。トランプ氏が相互関税を一部停止する前日の4月8日には2024年末比23.56%安まで値下がりする場面もあったが、回復してきたといえる。ただ、2024年の年間騰落率が35.51%高だったことを考えれば、株価上昇の勢いが止まったことは明白。S&P500種株価指数(SPX)が15日終値時点で2024年末比6.16%高まで回復していること比べても、アルファベットの株価の物足りなさが目立つ。

ブルームバーグによると、アルファベットの直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は15日段階で約16.7倍。前期の決算発表当日の4月24日段階での17倍程度と大差なく、投資家の期待も横ばいで推移したといえそうだ。アナリストが提示する目標株価の平均は202.91ドルで現状よりも12%ほど高い。76人のアナリストのうち63人は買いを推奨。13人は維持を勧めている。
アルファベットの広告事業は2四半期連続の成長減速の見通し
アルファベットは前回の1-3月期決算発表前にも総収入の成長が減速すると見込まれていたが、実際には小幅ながらも成長が加速した。経済の見通し不透明感を背景に広告事業や、AIサービスの提供基盤となるクラウド事業の収入の伸びが減速する一方で、YouTubeの有料会員サービスなどから得られるサブスクリプション事業の収入が前年同期比18.8%増と大きく伸びたためだ。
ただ、それでもアルファベットの4-6月期決算で改めて成長減速が見込まれているのは、広告やクラウド事業のさらなる減速が予想されているからだ。なかでもアルファベットの総収入の4分の3を占める広告事業は前年同期比7.8%増になる見通しで、2023年4-6月期の3.3%増以来2年ぶりの低い伸び率となりそうだ。
対話型AIの普及で検索離れ? ビジネスモデルに変調のおそれも
アルファベットの広告事業をめぐっては「検索離れ」という不吉なシナリオもちらつく。消費者が欲しい商品などを探す際、アルファベットのグーグルが圧倒的なシェアを持つ検索サービスではなく、進歩が著しいChatGPTなどの対話型AIサービスを使うようになっていくとの筋書きだ。ブルームバーグによると、アップルのサービス部門担当副社長のエディ・キュー氏は5月7日、アルファベットが関連する裁判での証言で、自社のウェブブラウザーの「サファリ」での検索数が4月に始めて減少したことに言及した。アップルはサファリで検索を行う際の初期設定の検索エンジンにグーグルを採用している。
アルファベットの広告事業の収入は、検索結果にあわせて表示される広告からの収入が大半を占める。この検索結果からの広告収入は1-3月期は前年同期比9.8%増の507.02億ドルで、2023年4-6月期(4.8%増)以来の低い伸びだった。4-6月期についても伸び率は8.8%増に留まるとみられている。アルファベットも自社開発の対話型AIサービス「ジェミニ」の普及を狙っているが、ChatGPTとの競合を考えれば、グーグル検索のような「一強状態」を築けるとは考えづらい。アルファベットの4-6月期決算がビジネスモデルの変調を感じさせれば、株価にとっては下落要因となりそうだ。

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