アルファベット、成長加速 株価一時6%上昇 業績見通し不安は継続
アルファベットの2025年1-3月期決算は予想を超える結果。広告事業やクラウド事業の減速を有料会員サービスが補った。業績見通しは示していない。

アルファベットが24日の取引時間終了後に発表した2025年1-3月期決算は総収入の成長が加速した。広告事業やクラウド事業の成長減速を、有料会員サービスが補っており、世界経済の混乱の中でも安定的な成長力を示した形だ。24日の時間外取引でアルファベットの株価は一時、直前の終値から6%超上昇した。一方、アルファベットは業績の見通しについて言及を避けると同時に、設備投資増加に伴う減価償却費の増加が利益を下押しする要因であることも改めて指摘した。アメリカのドナルド・トランプ大統領の予測不能な政権運営が続く中、株価の見通しへの不安が消えたわけではなさそうだ。
アルファベットの2025年1-3月期決算は市場予想を超える結果
アルファベットの1-3月期決算は総収入が前年同期比12.0%増の902.34億ドルで、前四半期(2024年10-12月期)の11.8%増から成長が加速した。また1株当たり利益(EPS)は48.7%増の2.81ドルで、やはり伸び率は前四半期(31.1%増)よりも大きくなった。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は、総収入が891.02億ドル、1株当たり利益は2.01ドル。発表された実績はいずれも予想を上回る結果だった。

広告事業とクラウド事業は成長が減速 有料会員事業が成長を補う
アルファベットの収入の4分の3を占める広告事業の収入は前年同期比8.5%増の668.85億ドル。前四半期の10.6%増から成長が減速した。また人工知能(AI)サービスの提供基盤となっているクラウド事業の収入は28.1%増の122.60億ドルで、やはり前四半期(30.1%増)からは成長が落ち込んでいる。広告事業は直前の市場予想の663.93億ドルを上回ったが、クラウド事業は市場で見込まれていた123.15億ドルを下回った。

一方、1-3月期決算では、Youtubeの有料会員サービスなどから得られる収入が18.8%増の103.79億ドルとなり、前四半期(7.8%増)から成長が大きく加速した。スンダー・ピチャイCEOは24日の決算会見で、Youtubeとストレージサービスのグーグル・ワンを原動力として「有料会員が2億7000万人を超えた」と成果を強調した。
アルファベットの株価は時間外取引で一時6%超高 業績見通しは示さず
アルファベットの決算発表をめぐっては、トランプ氏の高関税政策が発端となった世界経済の混乱が悪材料になるとの懸念があった。しかし1-3月期決算の内容は、広告事業やクラウド事業の減速を、有料会員サービスの成長が補った形となり、業績の安定性を示したといえる。24日の時間外取引ではアルファベットの株価(GOOGL)は一時、169ドル台まで上昇。直前の終値(159.28ドル)との比較では6%超の値上がりとなった。
ただ、アルファベットは今後の業績の見通しを楽観しているわけではなさそうだ。フィリップ・シンドラーCBOは決算会見で4-6月期の業績については「まだ数週間しか経っておらず、コメントするには時期尚早だ」と述べるにとどめた。トランプ政権が800ドル以下の輸入の関税を免除する「デミニミス(非課税基準額)」ルールについて、5月2日から中国製品に対しては適用を停止するとしていることについては、アジア太平洋地域の小売事業者からの広告収入に関して「わずかな逆風」になるとしている。
設備投資負担も依然重荷 減価償却の増加は加速へ
また、AI関連投資の積み重なりが収益の圧迫要因となる懸念も続く。アルファベットの1-3月期の設備投資額は前年同期比43.2%増の171.97億ドル。2025年通期での設備投資額については750億ドルとの見通しを維持した。アナト・アシュケナージCFOは決算会見で、クラウドサービスの供給能力が需要に対して十分でないとして設備投資が年末に向けて増えていくとすると同時に、「減価償却費の増加も年内を通じて加速していく」と説明している。

トランプ氏はこのところ中国製品への関税引き下げの可能性に言及するなど、中国との対決姿勢のトーンダウンも感じられるが、予測不能な政権運営が世界経済の重荷になっていることは間違いない。アルファベットの業績は引き続き、総収入の成長減速と設備投資負担に下押しされる懸念があり、株価上昇の足が引っ張られる可能性もありそうだ。
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