超低位株とは、非常に低価格で取引されている株式のことを指します。超低位株の特徴、超低株の安い理由、超低株の選び方とその取引方法について解説します。取り上げる銘柄は、企業の将来性や割安性などを総合的に考慮して選定しています。
超低位株とは、株価の水準が極端に低い株式のことです。
米国では、1株5ドル以下で取引されている株式を超低位株と呼びます。
日本では、1株500円~1,000円で取引されている株式を低位株、価格が数百円台前半または数十円台の株式を超低位株とみなしています。中には、1株あたりの価格が10円以下の銘柄もあります。
なぜ1株あたりの価格が安い銘柄があるのでしょうか?その理由としては、大きく2つあります。一つは、企業の業績不振を反映していたこと。もう一つは、業種的に株価が低く抑えられていることです。例えば、銀行、不動産、繊維、鉄鋼、造船、建設などの成熟産業では、株価が低くなる傾向があります。
超低位株も割安株(バリュー株)も、価格が低い株価であるという点では同じです。しかし、その性格は異なります。
低位株は業績や業界全体の状況が理由で価格が低くなっているのに対し、割安株は実際の企業の価値に比べて不当に低く評価されている株のことをいいます。
また、発行済み株式数の多い大型株の株価も低い傾向にあります。発行済み株式数が多く、かつ売買が盛んであれば、株価が大きく上昇する可能性は低くなります。
超低位株は、既存企業の株式に投資するよりも良いリターンを得られる可能性があるため、魅力的な投資先と言えるでしょう。しかし、その分リスクも高くなります。まず、メリットを見てみましょう。
メリットの多い超低位株ですが、投資家やトレーダーは、次のようなデメリットにも注意する必要があります。
低位株のスクリーニング方法は、基本的に割高株を見つける方法 やバリュー株の探し方と似ています。それらを踏まえた上で、低位株を選ぶ際に追加で押さえておきたいポイントを解説します。
低位株を選ぶ際には、その企業が利益を出しているかどうか、また銘柄に流動性があるかどうかをチェックします。流動性が低い場合、売却したいときに思うように売れない可能性が高くなります。
低位株やボロ株は、急騰する可能性もあれば、上場廃止になる可能性もあります。たとえ上場廃止になってしまったとしても、株価そのものが低いため、割り切って投資をするというのも一つの戦略だといえます。一つの銘柄だけに投資を行うのではなく、他の複数の銘柄にも分散投資をしてリスク管理を行いましょう。
小さな会社の株式は変動しやすいので、可能な限り投資先の価値やリスクなどを調査することが重要です。会社の財務諸表や事業計画に目を通し、その会社が財務的に健全であることを確認しましょう。
ここでは、注目の超低位株5選を紹介します。株価やその他の数値は2025年10月6日時点の引用です。また、過去の値動きは将来の株価動向を示すものではありません。
日本コークス工業は、製鉄や金属精錬に欠かせないコークスの製造・販売を主として事業を展開しています。現在は主力のコークス事業で苦戦しており、業績回復に向けた取り組みが注目されています。
2025年3月期の最終損益では139億円の赤字(前の期は18億9,000万円の黒字)に転落したものの、26年3月期は9億円の黒字に回復する見通しを示すなど、同社の再建志向は強い決意を感じさせるものです。
例えば、コークスの製造は昨年完成した新しい「2A炉」と、安定稼働できる「1A炉」を中心に行っていますが、生産量の安定、原料調達や副産物の生産も計画通り進み、製造コストの削減効果が出始めています。さらに、将来の新事業として、触媒技術を使った炭素材の研究開発も進行中で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から助成金も得ています。
2026年3月期第1四半期(2025年4月1日~2025年6月30日)の決算では、売上高が242億4,300万円(前年同期比-5.9%)、営業利益は-7億4,000万円(前年同期は-3億5,700万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は-11億5,900万円(前年同期は-7億2,000万円)と、損失が拡大中です。主力のコークス事業で苦戦しており、前年の火災事故の影響や原料価格高騰などが赤字の主な要因となっています。
ただし、2026年3月期通期(2025年4月1日~2026年3月31日)では、売上高が990億円(前期比0.0%)、営業利益は27億円(前期は-21億1,500万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億円(前期は-139億800万円)と、黒字を見込んでいます。
現在の株価は95円、予想PERは約137倍、PBRは約0.6倍と、資産面から見ると割安感があります。一方で、利益面から見るとかなり過熱感があり、成長見通しが裏切られた場合の反落リスクには注意が必要です。
日本コークス工業は今、非常に難しい局面にあります。しかし、市況の悪化、赤字による財務の圧迫といった逆風にさらされながらも、事業再建を志向する姿勢は明確です。投資を検討する際には、原料費の動向や鉄鋼業界の需要変化、そして中間・通期の見通し修正に注目しましょう。
北の達人コーポレーションは、自社ブランド「北の快適工房」を核に、化粧品・サプリメントを中心とする通販型ビジネスを展開している企業です。健康・美容分野の商品企画・販売を主軸とし、ECチャネルを強化しながら顧客基盤の拡充を目指しています。
しかし、現状は業績が下振れしており、今後の回復には、マーケティング効率や商品差別化、新規顧客開拓力、コスト管理力などをどこまで強化できるかが一つの鍵となりそうです。
2026年2月期第1四半期(2025年3月1日~2025年5月31日)の決算では、売上高が25億9,600万円(前年同期比-20.6%)、営業利益は2億4,000万円(同-38.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1億6,800万円(同-36.5%)となりました。主力ブランド「北の快適工房」では新規顧客獲得が好調でしたが、全体的には減収減益となっています。
2026年2月期通期(2025年3月1日~2026年2月28日)では、売上高が102億8,900万円(前期比-13.0%)、営業利益は8億9,700万円(同-46.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億2,200万円(同-48.4%)を予想しています。
現在の株価は144円、予想PERは約32倍、PBRは約2.5倍と、利益面と資産面の両方で割高感があるのは否めません。ただし、自己資本比率は88.0%と高水準を維持しており、「SALONMOON」シリーズの累計出荷台数が130万台を突破、家電量販店やディスカウントストアなどのリアル店舗への販路拡大も進んでいるなど、ポジティブな材料は多く見受けられます。
北の達人コーポレーションへの投資判断の観点では、四半期ごとの回復傾向や通期予想の上方修正の可能性、広告効率指標の改善、顧客継続率の改善などがポイントになります。現時点では業績不透明感が強く、リスクを考慮すると、ポートフォリオの一部として検討すべき銘柄と言えそうです。
ブイキューブは法人向けの映像コミュニケーションやオンラインイベント支援を中核とする企業で、「Web会議」、「セミナー配信」など、複数のビジネス領域を手がけています。ただし、近年の決算では業績面で苦戦の色も見え、企業としては乗り越えるべき高いハードルを抱えています。
一方で、ブイキューブには注目すべき強みや成長余地も多くあります。例えば、同社は年間7,800回もの配信をサポートしており、セミナー・イベント配信領域でシェア No.1を獲得しています。オンラインイベント運営を丸ごと支援する体制や、自社スタジオ設備、運用ノウハウを持っている点は、他社との大きな差別化要素です。
さらに、戦略的イベントプロデュースサービス「One イベント」の提供開始など、従来のライブ配信を超えたイベント事業拡張の動きも見られます。今後は赤字幅を縮小し、黒字化への転換路線を明確にできるかどうか、特に四半期ごとの業績改善ペースがポイントになるでしょう。
2025年12月期第2四半期(2025年1月1日~2025年6月30日)の決算では、売上高が50億1,300万円(前年同期比-10.8%)、営業利益は-8億1,600万円(前年同期は2億2,900万円)となりました。営業利益については、主に連結子会社「TEN Holdings, Inc.」のNASDAQ上場に伴う株式報酬費用5億2,200万円の計上が影響しています。親会社株主に帰属する中間純利益は-6.34億円(前年同期は-2億1,200万円)となりました。
2025年12月期通期(2025年1月1日~2025年12月31日)では、売上高が100億円(前期比-4.4%、営業利益は-7億円(前期は-2億3,700万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億円(同-14億1,700万円)と、純利益で黒字を見込んでいます。
現在の株価は147円、予想PERは約38倍、PBRは約6.5倍と、利益面と資産面の両方で割高感があります。業績改善期待がすでに株価に織り込まれていると考えられることから、期待通りに改善が進まなかった場合は大きく下落するケースもあり得そうです。
ブイキューブは現在、業績逆風の最中にあり、イベント・オンライン配信という市場ニーズの根強さを背景に、差別化戦略とコスト最適化の取り組みが今後の評価を大きく左右するものと見られます。投資を検討する場合は、決算発表や業績改善動向、新サービス導入の具体性に着目し、ポートフォリオの一部として様子を見るのが妥当でしょう。
ソースネクストは1996年創業の歴史あるソフトウェア開発・販売会社で、パソコン・スマートフォンソフトウェアを中心に、IoT機器、ハードウェア、翻訳機器なども手がけています。AI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」は大きな話題を呼び、現在、国内を訪れる外国人旅行客の飛躍的な増加に伴い、さまざまな業種で採用されています。
ソースネクストの事業は、 B2C 向けソフトウェア事業を主軸に、IoT 製品やハードウェアとの融合を図っている点が大きな特徴です。 特に100万台を超えるヒットを記録した「POCKETALK」シリーズは既に一定の知名度を有しており、海外展開も視野に入れられています。
2025年12月期第1四半期(2025年4月1日~2025年6月30日)の決算では、売上高が27億1,000万円(前年同期比+7.7%)となりました。一方で、営業利益は-6億7,800万円(前年同期は-8億4,900万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は-6億4,400万円(前年同期は-5億4,400万円)と赤字になっています。
売上高は増加したものの、依然として損失を計上しており、収益性の改善が課題です。為替差損9,100万円の発生や、持分法による投資損失5,400万円の計上が、損失拡大の主な要因になっています。
2025年12月期通期の予想は、現時点で精度の高い業績予想算定が困難なことから非開示となっています。また、決算期は3月31日から12月31日に変更されており、2025年12月期は2025年4月1日から2025年12月31日までの9ヶ月間です。
現在の株価は170円、予想PERは通期の業績予想が示されていないため計算不能で、PBRは約3.4倍となっています。資産面から見ると割高感がありますが、営業損失を縮めている点はポジティブ材料であり、事業領域の拡張で収益の裾野を広げられる可能性も考慮すると、これには一定の合理性があると言えるでしょう。
ソースネクストの黒字化の鍵を握るのは、売上拡大とコスト合理化、事業領域の拡張、そして為替リスクや部材調達リスクのコントロールなどです。決算発表や会社の中長期戦略説明、業績見通し修正などを丁寧に追うことが、ソースネクストの将来性を判断するにあたって重要なポイントとなりそうです。
ソニーフィナンシャルグループ(以下「ソニーFG」)は、生命保険や損害保険、銀行業務などを傘下に持つソニーグループの企業です。2025年9月に2000年以降で初めてとなる新株発行や公募、売り出しを伴わない直接上場(ダイレクト・リスティング方式)で東証プライム市場へ再上場を果たし、市場からの注目を集めました。
ソニーFGの強みとして挙げられるのは、ソニーというブランド力と技術系ノウハウを持つ点です。つまり、金融と IT/デジタル技術との融合を進めやすいポジションにあります。また、金融子会社群が多角化しているため、保険や銀行、介護サービスなどの複数チャネルからの安定した収益創出が期待されます。
ただし、課題もあります。まず、生命保険分野における金利リスクや解約リスクの負債計上が利益を圧迫する可能性です。さらに、今後の業績回復を支える鍵として、保険運用利率の改善や銀行部門の貸出拡大、損害保険事業の損害率管理などが挙げられます。
2026年3月期第1四半期(2025年4月1日~2025年6月30日)の決算では、経常収益が7,324億円(前年同期比-19.4%)、経常利益が-586億円(前年同期は-154億円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は-435億円(前年同期は-122億円)となりました。
2026年3月期通期では、修正純利益を従来の1,075億円から980億円に下方修正しています。理由としては、金利上昇に伴う大量解約リスクを加味した負債計上の必要性が挙げられています。
現在の株価は161円、予想PERは約14倍、PBRは約1.8倍と、利益面から見ると若干ではあるものの割安感があります。
ソニーFGは金融事業を軸としつつ、ソニーグループとしてのシナジーを活かせる独自ポジションを持つ銘柄として大きな魅力を持つ銘柄です。とはいえ、再上場後の初期段階であり、今後の四半期決算動向、保険・金融分野での運用実績、負債環境などへの対応力は慎重な評価が求められます。
小規模な会社や上場したばかりの企業の株式は、超低位株に属することが多く、株価はニュースや市場の変化に影響を受けやすい傾向があります。流動性が低いために、この株価変動が時に大きくなることもあります。長期的に見ると、小規模会社の株式は、高い利益を得るチャンスだけでなく、大きな損失を被る可能性もあり、倒産や上場廃止のリスクもあります。従って、1つの小型株式に集中投資しないこと、そして投資額を許容できる範囲に抑えることが重要です。
また、ストップロス注文や指値注文などのツールを活用しましょう。ストップロス注文は、あらかじめ設定した価格まで下落した場合に、自動的に保有ポジションを清算する取引方法です。一般的に損失の拡大を防ぐために使われます。
指値注文は、特定の価格レベルで株式を購入したり、ポジションを建てたりできます。そのため、リアルタイムで観察しながら有利なエントリーポイントを探す必要がないので、手間を省くことができます。
また、レバレッジを使用した超低位株のCFD取引には注意が必要です。レバレッジまたは証拠金での取引は、利益を高める一方で、損失も大きくなります。
リスク管理について詳しくはこちら
IG証券では、CFD取引で超低位株の取引ができます。取引は以下の5つのステップで簡単に行えます。
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