バリュー株 ( 割安株 )の注目 銘柄 5選【2025年】
資本効率が改善したことで、日本のバリュー株(割安株)の魅力は高まっています。この記事では、注目のバリュー株5銘柄を紹介します。銘柄は株価収益率(PER)に基づいて選出さていれます。

バリュー投資とは
バリュー投資とは、潜在的に割安な企業、いわゆる「バリュー株(割安株)」を見極める投資戦略です。割安株とはなんでしょうか。割安株に該当するかどうかを示す重要な指標が、株価収益率(PER)です。PERが低いということは、その企業が割安であること、あるいは過去の傾向と比較して非常に好調であることを示唆しています。
今日において最も有名なバリュー投資家は、ウォーレン・バフェット氏といえるでしょう。バリュー投資家は、市場が良い・悪いニュースに過剰に反応した結果、企業の長期的なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)と一致しない株価の動きが生じると考えています。
企業の株価が割安になる理由はいくつかあります。例えば、市場全体の暴落や信用失墜によって投資家が株を売る場合が考えられます。また、各種ニュースが短期的に特定の企業の株価を左右することもあるでしょう。経済サイクルの自然な浮き沈みによる可能性もあります。
他にも、単に変化や魅力の少ない企業や株式とみなされている場合もあります。定期的にニュースで取り上げられるような企業でないからといって、投資すべき堅実なビジネスや取引に適した株式でないというわけではありません。
日本市場におけるバリュー株の動向
日本株市場では、2021年以降、バリュー株(割安株)が優位な展開が続いています。インフレや金利上昇が進む中、財務基盤が安定し、収益性の高いバリュー株が選好される傾向が強まっています。2025年もこの流れが続く可能性があり、特に金融株や資源関連株が恩恵を受けやすいと考えられます。
また、日本市場にはPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業が多く、東京証券取引所(東証)による資本効率向上の要請を受け、企業が自社株買いや配当増加を進めています。2024年の自社株買いは約17兆円に達し、今後も株主還元の強化が期待されます。
2024年には、商社株や銀行株などのバリュー株が好調でしたが、出遅れたバリュー株の中には2025年に注目されるものもあります。収益力や配当の安定性を重視した銘柄選定がカギとなりそうです。
2025年もバリュー株優位の展開が続く可能性が高いです。インフレと金利上昇、東証のPBR改革、企業の株主還元強化など、バリュー株市場を支える要因は多くあります。今後の市場環境次第では変動もありますが、引き続き注目の投資対象となりそうです。
注目のバリュー株(割安株)5銘柄
ここでは、注目のバリュー株5銘柄をご紹介します(株価やその他の数値は、2025年3月19日時点のものです。過去の値動きは、将来の株価動向を示すものではありません)。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
三菱UFJフィナンシャル・グループは、日本最大の金融グループとして、銀行・信託・証券・クレジットなど幅広いサービスを展開しています。国内だけでなく、東南アジアやアメリカを中心とした海外展開も進めており、今後の成長にも注目が集まっています。2025年3月期の連結純利益は前期比25%増の1兆8,629億円となり、着実な増収増益を達成しました。これは国内外の金利上昇による利ざや改善や、手数料収入の増加が寄与した結果です。2025年6月現在の株価は1,956円で、PERは12倍。日本株全体がPBR改革の流れに乗る中、同社のPBRも約0.8倍と依然として割安感があります。日銀の緩やかな利上げ政策や、外国人投資家の資金流入といった市場環境はメガバンクにとって追い風となっており、バリュー株として再評価されやすい地合いが整いつつあります。安定した配当も魅力で、長期保有に向いた銘柄の一つといえそうです。
トヨタ自動車(7203)
トヨタ自動車は、世界トップクラスの自動車メーカーです。ハイブリッド車(HV)をはじめとする電動化戦略においても長年の技術と実績を持っています。2025年3月期の連結営業利益は5兆2,349億円と過去最高を更新し、前年比で96.4%の増加を記録しました 。これは円安効果や販売台数の増加に加え、原価低減の成果も寄与したとされています。2025年6月時点の株価は2,656円で、PERはわずか7倍と、依然として大きな割安感が残る水準です。PBRも約1倍未満で、東証のPBR改革の観点からも見直しが期待されやすい銘柄の一つです。金利上昇局面では自動車ローンのコスト増が懸念されるものの、トヨタのブランド力と財務基盤を考えれば、安定感のある投資先といえそうです。電動化や次世代モビリティへの投資も継続しており、バリュー株でありながら成長性も備えた、初心者にも検討しやすい企業といえます。
オリックス(8591)
オリックスはリースを起点に、不動産、環境エネルギー、保険、事業投資など多岐にわたるビジネスを展開する総合金融グループです。その多角化経営は、景気変動に対して安定性をもたらす強みとなっています。2025年3月期の連結純利益は3,687億円で、前年を上回る水準を維持しました 。特に保険セグメントや事業投資分野が堅調で、全体の業績を支えました。2025年6月時点の株価は3,110円、PERは10倍。PBRも依然として1倍を下回っており、東証によるPBR改善要請に応じた自社株買いや資本政策の可能性も視野に入ります。高配当利回りや、個人投資家に人気の株主優待制度も継続しており、長期で安心して保有できる点は初心者にも魅力的です。金融引き締めが進む中でも、オリックスのような分散型経営を行う企業は相対的に評価されやすく、見直し買いの候補となりそうです。
三井物産(8031)
三井物産は、総合商社の中でもエネルギー、金属、化学品、食料、インフラなど幅広い分野に事業を展開しており、資源・非資源のバランスの良さが特長です。2025年3月期の連結純利益は1兆1,333億円となり、前年に続いて1兆円超を達成しました 。エネルギー関連の好調な市況や、非資源事業での着実な収益拡大が要因です。2025年6月時点の株価は2,942円、PERは9倍と割安感が際立ちます。PBRもおおよそ1倍未満に位置しており、東証のPBR改革の流れに応じた株主還元姿勢も評価材料です。実際に、同社は自社株買いや増配を通じた積極的な還元を行っており、ROEも高水準を維持しています。世界経済の先行きには不透明感もありますが、事業の分散がリスクを緩和し、業績の安定感につながっています。資源価格が落ち着く中でも、商社の中核銘柄として、今後の見直し買いが入りやすい存在といえるでしょう。
住友化学(4005)
住友化学は、総合化学メーカーとして石油化学、医薬品、農業化学品、情報電子材料など多岐にわたる分野で事業を展開しています。近年は収益の柱であった石油化学分野の採算悪化により、業績が厳しい状況が続いていましたが、2025年3月期は構造改革の一環として赤字事業の見直しや海外拠点の再編が進められました。連結純損益は▲1,045億円の赤字となったものの、2026年3月期には黒字転換を見込んでいます。2025年6月時点の株価は343円、PERは14倍。PBRは約0.6倍と非常に低く、市場平均と比べても割安感が顕著です。東証のPBR改革が進む中、住友化学のように改善余地の大きい企業は、再評価の対象になりやすいと見られています。景気敏感な業種である一方、構造改革が本格化すれば反転のインパクトも大きく、バリュー株の「眠れる巨人」として注目する声も出始めています。初心者にとっては、割安株とは何かを実感しやすい銘柄といえるでしょう。
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