方法や考え方次第で、日本株取引は魅力的かつ実りあふれるものとなります。この記事では、株初心者が注目すべき日本株5選をご紹介します。いずれも、成長性や安定性などを総合的に考慮して選定しています。
最近では、初心者トレーダーには情報量が豊富すぎるあまりに、時に少々圧倒されることもあるようです。以下では、取引を開始する際に考慮すべき点をいくつか紹介します。
市場、取引戦略、リスク管理について学ぶことを優先しましょう。本やウェビナー、ウェブサイト上の教育コンテンツなどを活用して、知識を蓄えることが大切です。
取引計画とは、取引を行う際に守るべき一連のルールです。この計画には、投資目標、リスク許容度、エントリーポイントとエグジットポイント、取引を管理するための戦略などが含まれています。しっかりとした取引計画は取引の判断の目安となり、感情的な取引を避けることができます。
トレーダーは逆指値注文(ストップ注文)や指値注文(リミット注文)などのツールを活用することで、リスクを抑えることができます。逆指値注文では、あらかじめ指定した価格まで株価が下落した場合に、ポジションを終了するように設定できます。指値注文では、現在の価格よりも有利な価格で売買するように設定でき、好ましいエントリー・エグジットポイントを見つけるために市場を常時監視する手間が省けます。
投資の進捗状況を把握して改善点を特定したり、失敗から学んだりするために取引記録をつけましょう。取引記録は取引パターンを表すため、取引判断をより確かなものとします。
株取引の初心者は、日常生活でよく見かける有名企業から取引を始める方が簡単かもしれません。ブランドやサービスを知っていることで、その会社がどれほどうまくいっているかを測りやすくなるでしょう。
取引高や流動性の高い銘柄を選びましょう。取引が多い銘柄は売買をすぐに行うことができ、利益確定の機会が増えます。あまり知られていない小型株の方がリターンが大きい場合もありますが、入念な調査が必要なうえ、取引高が低い傾向があります。
日本株の取引は、初心者にとって始めやすく学びやすいというメリットがある一方で、注意すべきデメリットもあります。メリットとデメリットをしっかりと理解し、自身にとって最適な一歩を踏み出す準備をしましょう。
初心者が日本株に投資する最大のメリットは、なんといっても情報の集めやすさと企業との距離の近さにあります。日本に住んでいれば、日本語で企業のニュースや決算情報をリアルタイムで手軽に入手できます。また、普段の生活で利用しているサービスや身近な商品を作っている企業も多く、どのような事業で利益を上げているのかを具体的にイメージしやすいのも強みです。
例えば、お気に入りの自動車メーカーや、よく行くコンビニエンスストアを思い浮かべてみてください。テレビのニュースや新聞、Webサイトなどで、その企業の新しいサービスや業績に関する話題を自然と目にすることも多いのではないでしょうか。このように、情報収集が簡単で、なじみ深い企業に投資できるという点が、日本株が投資の第一歩として多くの方に選ばれている理由のひとつです。
日本株のデメリットとしては、市場全体の成長が比較的緩やかであることが挙げられます。アメリカなどの株式市場と比較すると、日本市場全体の成長ペースは緩やかな傾向があります。これは、日本の経済が成熟期に入っていることや、少子高齢化といった社会構造の問題が背景にあるためです。
例えば、過去数十年の株価チャートを見てみると、アメリカの代表的な株価指数が右肩上がりで力強く成長してきたのに比べ、日経平均株価は「失われた30年」とも呼ばれる長い停滞を経て、ようやく最高値を更新しました。また、地震や台風といった自然災害が多いという地理的なリスクも、日本株特有の注意点だと言えます。
このように、米国株ほどの急成長は期待しにくい点や、日本特有の社会的・地理的リスクがあることは、日本株への投資を始める前に知っておきたいデメリットです。
このほかにも、初心者の方に役立つ情報をこちらのページで紹介しています。
ここでは、初心者向けの注目銘柄を5つご紹介します(価格と株価推移は12月8日時点の引用です。過去の値動きは、将来の株価動向を示すものではありません)。
三菱重工業は、日本の防衛産業やエネルギー安全保障の中核を担う国策銘柄として、市場からの注目を集めている企業です。日本政府は反撃能力の保有を含む防衛予算の大幅な増額を進めており、三菱重工業はその主な契約企業の一つとして、ミサイル開発や次世代戦闘機の開発を主導しています。
2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~2025年9月30日)の決算では、売上収益が約2兆1,137億円(前年同期比+7.3%)、事業利益は約1,716億円(同+2.1%)、親会社の所有者に帰属する中間利益は約1,149億円(同+7.3%)と、増収・増益を達成しました。
2026年3月期通期では、売上収益が4兆8,000億円(前期比+10.1%)、事業利益は3,900億円(同+9.9%)と売上・利益ともに伸びが予想されている一方、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,300億円(同-6.3%)と減益が見込まれています。これは、子会社でフォークリフト大手の三菱ロジスネクストの売却により、300億円の事業再編損失を計上することが主な要因です。
現在の株価は4,208円、予想PERは約61倍、PBRは約5.7倍と、非常に割高感のある水準です。とはいえ、三菱重工業が防衛やエネルギーといった日本が今後数年以上にわたり重点的に取り組むであろう分野の中核に位置していることを踏まえれば、妥当性は十分にあります。
短期的には為替や政策の微調整による変動があるかもしれませんが、「国策に売りなし」という格言通り、中長期的に保有する上で有望な銘柄の一つと位置づけられます。
日本郵船は、日本の物流を支える海運業界のリーディングカンパニーであり、高い株主還元意識を持つことから、株初心者にも注目されている企業です。同社は、ドライバルク(ばら積み船)やエネルギー輸送事業、世界的な物流網を持つコンテナ船事業をバランスよく展開しています。
2025年5月には発行済み株式の11.1%に当たる4,800万株・1,500億円を上限とする自社株買いを決議したと発表し、市場からの関心を集めました。
2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~2025年9月30日)の決算では、売上高が約1兆1,821億円(前年同期比-10.2%)、経常利益は約1,269億円(同-56.1%)、親会社株主に帰属する中間純利益は約1,023億円(同-61.5%)と、大幅な減益となりました。これは、前年の業績を押し上げていたコンテナ船市況の沈静化や、自動車輸送部門におけるコスト増および為替の影響を受けたものです。
2026年3月期通期では利益が下方修正され、売上高が2兆3,500億円(前期比-9.2%)、経常利益は1,900億円(同-43.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,100億円(同-56.0%)と予想されています。
現在の株価は4,809 円、予想PERは約10倍、PBRは約0.7倍と、割安感のある水準です。配当利回りも約4.7%と非常に高く魅力があります。
日本郵船は現在、コロナ禍以降の特需が落ち着き、苦しい時期となっています。ただし、世界的なインフラ企業としての地位は揺るぎなく、割安な株価水準と手厚い配当は、中長期保有を前提とする投資家にとって十分な投資価値があると言えるでしょう
アドバンテストは、半導体の検査装置で世界トップシェアを誇る企業であり、特に生成AI向け半導体の需要急増を背景に、株初心からも成長株として高い関心を集めています。
2025年10月には、NVIDIAが最新のAI半導体「Blackwell」および次世代デバイスの量産において、アドバンテストのデータ基盤「ACS RTDI™」を採用したことが発表されました。AI半導体の王者であるNVIDIAとの結びつきがより強固になったことは、投資家にとって大きな安心材料だと言えます。
2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~2025年9月30日)の決算では、売上高が約5,267億円(前年同期比+60.0%)、営業利益は約2,324億円(同+145.0%)、親会社の所有者に帰属する中間利益は約1,698億円(同+144.9%)と、収益・利益ともに大幅に伸び、いずれも過去最高を更新しました。
AI関連の高性能半導体向けテスタ需要が大幅に拡大し、今回の増収・増益に寄与しました。一方で、自動車や産業機器関連などの半導体需要は軟調でした。
2026年3月期通期は上方修正され、売上高が9,500億円(前年同期比+21.8%)、営業利益は3,740億円(同+63.9%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,750億円(同+70.6%)へそれぞれ引き上げられました。AI関連向け半導体が市場成長を牽引し、テスタ需要も前年を上回る見通しです。ただし、地政学的リスクや為替変動リスクなど、不確実性も残されています。
現在の株価は20,250円、予想PERは約54倍、PBRは約24.1倍と、割高感が顕著な水準です。ただし、決算で示された力強い増収・増益に加え、NVIDIAとの連携強化を考慮すれば、この評価にも一定の合理性が見いだせます。
アドバンテストは、AI時代のインフラを支える最重要企業の一つです。NVIDIAをはじめとする世界的な半導体メーカーの成長を直接的に享受できる銘柄として、ポートフォリオの主要銘柄に据えるだけの魅力があります。
日立製作所は、国内最大級の総合電機メーカーから、デジタルと環境のグローバル企業へと鮮やかな変貌を遂げつつあり、安定性と成長性を兼ね備えた銘柄です。特に、同社が推進するIoT(モノのインターネット)技術基盤「Lumada(ルマーダ)」の急成長と、世界的なAIインフラ需要の取り込みが評価されています。
2025年10月には、次世代AIインフラ構築とグローバルAIデータセンター拡大で、OpenAIとの戦略的パートナーシップを締結したことが発表されました。さらに、NVIDIAとは「AIファクトリー」の実現に向けて協業しています。
2026年3月期第2四半期の決算では、売上収益が約4兆7,874億円(前年同期比+5.3%)、調整後営業利益は約5,080億円(同+25.5%)、親会社株主に帰属する中間利益は約4,729億円(同+61.8%)と、大幅な増益を達成しました。
売上収益調整後営業利益率が10.6%(前年同期は8.9%)に改善し、収益性が向上しています。特にエナジー部門の業績が好調で、セグメント損益が前年同期比+59.7%という大幅な増加となりました。
2026年3月期通期では、売上収益が10兆3,000億円(前期比+5.3%)、調整後営業利益は1兆1,030億円(同+13.5%)、親会社株主に帰属する当期利益は7,500億円(同+21.8%)と、増収・増益を見込んでいます。
現在の株価は4,911円、予想PERは約30倍、PBRは約3.6倍と、割高感のある水準です。従来の製造業の枠を超えた成長企業として、市場から高い評価を受けていることが株価に反映されています。
日立製作所は、製造業で培った技術力と最先端のAI・デジタル技術を融合させた希少な企業であり、中長期的な資産形成を目指す初心者にとって、ポートフォリオの守りと攻めを兼ね備えた頼もしい存在です。
トヨタ自動車は、日本市場で時価総額が最も大きい企業です。EV(電気自動車)だけでなくハイブリッド車(HV)や水素エンジンなど多様な選択肢を提供する「マルチパスウェイ戦略」を掲げていることもあり、中長期的な安定成長を目指す株初心者に向いている銘柄といえます。
懸念されていた型式指定申請に関する不正問題については、2025年9月に国土交通省へ再発防止策の進捗報告を行っており、ガバナンス改革を着実に進めている点が市場に安心感を与えつつあります。
2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~2025年9月30日)の決算では、営業収益が約24兆6,308億円(前年同期比+5.8%)に増加した一方、営業利益は約2兆57億円(同-18.6%)、親会社の所有者に帰属する中間利益は約1兆7,734億円(同-7.0%)と減益となりました。営業収益が同期として過去最高を更新したものの、諸経費の増加や為替変動の影響などが利益面での重石となりました。
2026年3月期通期では、営業収益が49兆円(前期比+2.0%)、営業利益は3兆4,000億円(同-29.1%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2兆9,300億円(同-38.5%)と大幅な減益を見込んでいます。
これは、米国における関税政策の通期分の営業利益への減益影響見込みとして、1兆4,500億円を織り込んでいることが背景にあります。しかし、トランプ関税についてはその不当性が裁判で争われており、違法判決が出た場合は返還されることも考えられます。
現在の株価は3,060円、予想PERは約14倍、PBRは約1.1倍と、過熱感はありません。約3.1%という高い配当利回りも魅力となっています。
このように、トヨタ自動車は課題を抱えつつも、圧倒的な財務基盤と技術力でそれを乗り越えようとしています。世界トップクラスの自動車メーカーとしての地位は揺るぎなく、ポートフォリオに組み入れる意義は大きいとみられます。
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